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学術選書 067

愛国とは何か

ヴェトナム戦争回顧録を読む

ヴォー・グエン・ザップ 古川 久雄 訳・解題

四六並製・489頁

ISBN: 9784876988679

発行年月: 2014/12

  • 本体: 2,800円(税込 3,080円
  • 在庫あり
 
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推薦

*推 薦*
とても良い本です。私自身,ベトナム戦争を撮影したカメラマンとして貴重な資料になりました。なにより読んでいて胸が躍り,第二次世界大戦後,最大の戦争となったベトナム戦争の全体が分かります。私はザップ将軍を1973年から2005年まで4回撮影しましたが,フランス・アメリカから恐れられていた将軍も,普段は優しいおじさんでした。
石川文洋(報道写真家)

1975年春,ベトナム戦争は解放勢力の勝利で終わった。日本,フランス,アメリカという侵略軍と戦ったベトナムの民衆。その抵抗戦争を35年にわたって指揮し,最強の米軍をも敗退させたのがヴォー・グエン・ザップである。本書は,血のにじむ勝利の背後に優れた民族独立の思想と,緻密な戦略が存在したことを明らかにする。
中村梧郎(フォトジャーナリスト)

内容

ヴォー・グエン・ザップによるヴェトナム戦争回顧録は、ヴェトナム戦争に関する第一級の史料であるとともに、なぜヴェトナムはアメリカに勝利することができたかという疑問に明確な答えをあたえている。それは民衆の祖国愛、愛国心であった。「愛国主義」という言葉が忘れられがちな今日、改めてその意味を考えるのに最適の書物となるだろう。

書評

『京都新聞』2015年1月11日朝刊、読書面

プロフィール

古川 久雄 (ふるかわ ひさお)
 
1940年神戸生まれ。1963年京都大学農学部農芸化学科卒業。1968年京都大学大学院農学研究科中退、京都大学農学部助手、1978年京都大学東南アジア研究センター助教授、1988年同教授、1998年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究科教授。2003年退職。京都大学農学博士、同名誉教授。現在、NPO 法人平和環境もやいネット理事長。

著書:『オアシス農業起源論』(2011年京都大学学術出版会)、Ecological Destruction, Health, and Development: Advancing Asian Paradigms, co-edited, Kyoto University Press- Trans Pacific Press, 2004、『民族生態—從金沙江到紅河』(尹紹亭と共編著、2003年雲南教育出版社)、『植民地支配と環境破壊』(2001年弘文堂)、『事典東南アジア:風土・生態・環境』(共編著、1997年弘文堂)、Coastal Wetlands of Indonesia: Environment, Subsistence and Exploitation, Kyoto University Press, 1994、『中国先史・古代農耕関係資料集成』(渡部武と共編著、1993年京都大学東南アジア研究センター)、『インドネシアの低湿地』(1992年勁草書房)。
訳書:『中国農業史』(フランチェスカ・ブレイ著、2007年京都大学学術出版会)、『ホーチミン・ルート従軍記』(レ・カオ・ダイ著、2009年岩波書店)。

目次

はじめに
第1章…空のディエンビエンフー戦
    B52撃墜法を工夫せよ
    ラインバッカーII北爆作戦のB52撃墜
    怒り、支援、闘志
    ハノイ中心部に絨緞爆撃
    独立と自由ほど貴重なものはない
    米戦略空軍を破る
    和平協定調印
第2章…歴史的会議
    一九七二年、解放運動の大前進
    和平協定調印後、デタント?
    南側、平定・侵食作戦で攻勢
    戦略輸送に東部チュオンソン道路新設
    空のディエンビエンフー戦を学び直す
    和平協定後の包括的方針は?
    戦場と五五九軍団を現地に見る
    米・傀儡に和平協定履行を迫る作戦方針
    米撤退、だがサイゴンははるか彼方
    B2幹部から南の実情を学ぶ
    和平協定侵犯に対し反撃・反攻を
    和平協定順守の共同声明
    B2戦場の要請に断固支援を
    苦境に立つ米・サイゴン政権
    第二一回党中委総会
    勝利展望二つの予測
    南解放の手順、二つの見解
    カストロ首相、ヴェトナム訪問
    米侵略戦争の諸段階と、最終勝利の課題
第3章…戦略基本案と勝機案
    治療で戦線離脱
    米・傀儡の「平定」計画凋落、北は初の軍団設立
    主力軍、地方軍、民兵・ゲリラの連携強化
    導火線はタイグエンかナムボ東部か?
    ニクソン政権麻痺、二年以内に敵打倒の可能性
    レ・ズアンの現状分析
    ニクソン辞任
    わが方機動主力軍の方が強い!
    戦略草稿案を練る
    機動主力軍軍団を編成
    導火線はバンメトートだ
    基本戦略七次案、二年で勝利を
第4章…戦略的決断
    大砲砲弾不足、目標選定にも影響
    一九七四年後半、わが方優勢に
    タイグエンの敵兵力、配置に隙と分散
    一九七四年一二月の政治局拡大会議
    人民軍三〇周年記念日の祭典
    フォックロン省解放、B2の予想的中
    タイグエン作戦計画
    ヴェトナム人民戦争の大義
第5章…痛点への打撃
    総司令部幹部団、タイグエン作戦を指揮
    クアンチ=トゥアティエン戦線で連携行動
    タイグエンで包囲・陽動作戦
    バンメトート攻略作戦
    バンメトート省都解放!
    チュー、東部沿岸で兵力再編の意図
    バンメトート奪回作戦を打破
    南側、全体にわたる戦略的再編の兆候
    チュー、対応を誤り大惨事へ
第6章…攻勢を総攻勢へ
    タイグエン作戦完勝、戦略勝機案に移行せよ
    一九七五年中に完全勝利を
    農民英雄グエン・フエの迅速行軍を見習うべし
    南側、チ=ティエン=フエ放棄
    南側指揮混乱の悲喜劇
    フエ王城に解放旗、五月のサイゴン解放を
    クアンダ前線の開設
    南支援評議会の設立
    ダナン解放戦
    なすすべのないアメリカとチュー
第7章…サイゴン包囲作戦開始
    大速力、大胆、奇襲、勝利の確信
    南側のサイゴン防衛戦略
    南中央局のサイゴン作戦案
    チュンボ・ナムボ東部解放戦
    サイゴン・ザディン作戦司令部設置
    敵、スアンロクを堅持
    東部軍の編成
    サイゴン攻略の準備完了
第8章…チュオンサ島嶼の解放
第9章…ホーチミン作戦
    総参謀部作戦案完了、決めるのは現地指揮官だ
    蜂起支援に軍事・政治幹部を派遣
    軍は迅速戦闘案で合意
    座から下されたチューのアメリカ非難演説
    サイゴン包囲の着陣
    サイゴン包囲戦
    米国機、タンソンニャット飛行場爆撃
    南の軍・政権崩壊、米大使逃亡
    ホーチミン作戦全面勝利
    南の完全解放
    勝利の決定的要因、ヴェトナム精神
第10章…回想

解 題

訳者あとがき
図版・地図
索 引
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