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発生の数理

三浦 岳

A5並製・226頁

ISBN: 9784876988877

発行年月: 2015/12

  • 本体: 3,600円(税込 3,960円
  • 在庫あり
 
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内容

生物は不思議な形をしている.この形作りはどのように行われるのか? さまざまな因子が相互作用して形態形成が起こるメカニズムの謎に、数学を武器として切り込む。パターン形成の数理を発生生物学に導入することで、さまざまな現象を定式化して理解でき、新しい実験のデザインにも応用できる。発生現象の理論とモデルに数理から迫る唯一の書。

書評

『数理科学』2017年1月号、59頁、評者:昌子浩登氏

プロフィール

三浦 岳(みうら たかし)
1971 年 宮城県生まれ
九州大学大学院医学研究院 教授
京都大学大学院医学研究科博士課程卒業
専攻 発生生物学,数理生物学

目次

第1章 生物の形づくりの数理モデルの歴史
1.1 生物の形作りをどう理解するか
1.2 生物学の理論のあり方
第2章 Mathematicaの基本的な使い方
2.1 Mathematicaとは
2.2 ノートブック形式
2.3 電卓としての使い方
2.4 変数の扱い
2.5 関数の書き方
2.6 行列の表し方
2.7 繰り返し演算(ルーフ?)
2.8 結果の出力
2.9 方程式の解法
第3章 数学的な道具
3.1 はじめに
3.2 行列とベクトル
3.3 フーリエ変換
3.4 級数展開
3.5 オイラーの法則
3.6 偏微分
3.7 畳み込み積分
第4章 モルフォゲンの濃度勾配
4.1 モルフォゲンの濃度勾配によるパターン形成
4.2 Mathematicaによる定式化
4.3 ソース-シンク・モデルとスケール不変性
4.4 SDD モデル (Source-Diffusion-Degradation model)
4.5 数値誤差と陰解法
4.6 応用例:遺伝子量に対する濃度勾配のロバストネス
4.7 チューリング vs. ウォルパート —自発的パターン形成と濃度勾配モデル
第5章 拡散を測る
5.1 細胞間のシグナル伝達
5.2 直接計測
5.3 FRAP(蛍光褪色後回復法)
5.4 FCS(蛍光相関分光法)
5.5 おわりに
第6章 軟骨形成とチューリングパターン
6.1 肢芽の発生
6.2 チューリンクグパターンとは
6.3 Mathematica によるチューリングパターンの数値計算
6.4 なぜパターンができるのか?? —線形安定性解析
6.5 領域成長(Domaingrowth)
6.6 二次元パターン —陰解法の効果
6.7 パターンの出現速度 —線形安定性解析
6.8 縞模様か水玉模様か?系の反転対称性
6.9 おわりに —肢芽発生の現代的なモデリング
第7章 創傷治癒
7.1 創傷治癒と細胞集団運動
7.2 古典的モデル —進行波解
7.3 細胞個々の挙動 —バネ質点モデル
7.4 おわりに
第8章 枝分かれ構造形成
8.1 生物,無生物の枝分かれ構造形成
8.2 拡散律速凝集
8.3 Phase Field 法による枝分かれ構造形成の実装
8.4 枝分かれ構造形成のモデル
8.5 ルールベースの枝分かれ形成 —Lシステム
8.6 おわりに
第9章 頭蓋骨縫合線の湾曲構造形成
9.1 頭蓋骨縫合線の発生
9.2 現象の定式化
9.3 数値計算
9.4 なぜ未分化な領域が保存されるか? —一次元の例
9.5 二次元での数値計算
9.6 おわりに
第10章 座屈現象
10.1 はじめに
10.2 座屈現象の数値計算1
10.3 基礎方程式の導出 —直接相互作用から
10.4 基礎方程式の導出 —エネルギーを経由する場合
10.5 座屈現象の数値計算2
10.6 線形安定性解析
あとがきにかえて — 粒子多体系
 現象との対応の価値
 Swarm oscillators
 大脳皮質のエレベーター運動

参考文献
索 引
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