プリミエ・コレクション 69
レトリックと意味の創造性
言葉の逸脱と認知言語学

小松原 哲太

A5上製・338頁・税込 4,320円
ISBN: 9784814000166
発行年月: 2016/03
在庫あり

内容

言葉の表現で逸脱した用法が、かえって新鮮味をもち、新たな創造へのきっかけとなる。夏目漱石、川端康成などの近代作家の文例を、従来の文法規則論からではなく、認知言語学による新しいアプローチから考察する。

目次

序 論 言葉の修辞性

第1章 レトリック研究の視座
1.1 修辞現象
 1.1.1 選択としての修辞現象
 1.1.2 動機としての修辞現象
 1.1.3 逸脱としての修辞現象
 1.1.4 効果としての修辞現象
1.2 レトリックの性質
1.3 レトリック研究の三つの側面
 1.3.1 修辞現象の諸相
 1.3.2 第一の側面:修辞性
 1.3.3 第二の側面:修辞的認知
 1.3.4 第三の側面:修辞的効果
 1.3.5 修辞分析のフレームワーク

第2章 意味の伸縮——意味論とレトリック
2.1 意味の柔軟性
2.2 換喩の特性と類型
 2.2.1 換喩的認知
 2.2.2 換喩の類型
2.3 換喩的イメージ
 2.3.1 換喩の機能の二つの変種
 2.3.2 換喩的イメージの二つのタイプ
 2.3.3 概念分析の認知モード
 2.3.4 参照点構文と修辞性
 2.3.5 換喩的認知の諸相
 2.3.6 換喩の修辞的効呆
2.4 提喩と転喩
 2.4.1 カテゴリー化と抽象化
 2.4.2 事態認知と因果関係
2.5 連想のレトリック
2.6 言葉遊びへのアプローチ
 2.6.1 言葉遊びとレトリック感覚
 2.6.2 言葉遊びの類型
2.7 言葉遊びの修辞性
 2.7.1 言葉遊びの認知解釈
 2.7.2 意味の二重性
 2.7.3 言葉遊びの構文パターン
2.8 反復の認知と言葉遊び
 2.8.1 反復のレトリック
 2.8.2 遊戯的機能と詩的機能
 2.8.3 言葉遊びであることへの言及
2.9 レトリックと意味研究

第3章 文法のゆらぎ——文法論とレトリック
3.1 文法と修辞性
 3.1.1 修飾表現の典型例
 3.1.2 修辞性の指標
 3.1.3 修飾のレトリック
3.2 レトリックと数量詞
 3.2.1 数量調の転移修飾
 3.2.2 数詞と助数詞
 3.2.3 助数詞の修辞的機能
 3.2.4 転移修飾の認知的動機づけ
 3.2.5 助数詞選択と修辞性
3.3 修飾関係のゆらぎ
3.4 修飾関係の反転
 3.4.1 反転修飾
 3.4.2 修飾関係の反転可能性
 3.4.3 際立ちの原則と修飾の適切性
 3.4.4 コンテクストと焦点化
 3.4.5 修飾の反転とレトリック
3.5 レトリックと文法研究

第4章 対話の弾力性——語用論とレトリック
4.1 レトリックと主観性
4.2 比喩標識と認識の創造性
 4.2.1 助動詞の意味の諸相
 4.2.2 直喩性
 4.2.3 比喩と推論
 4.2.4 類似性と投影効果
 4.2.5 反事実性と比喩的認識
 4.2.6 モダリティの不発効果
 4.2.7 主観的認識の修辞性
4.3 モダリティと発話行為
4.4 発話行為の類型と認知的基盤
 4.4.1 発話行為の類型
 4.4.2 シナリオ知識と発話行為
4.5 換喩的発話行為
 4.5.1 間接発話行為の修辞性
 4.5.2 発話行為レベルの換喩
4.6 間接発話行為の修辞的認知
 4.6.1 対話のコントロールサイクル
 4.6.2 間接発話行為の認知的基盤
 4.6.3 適切性条件の認知的際立ち
 4.6.4 逸脱的な応答の制約
 4.6.5 自然経路とインポライトネス
4.7 レトリックとコミュニケーション研究

第5章 結語と展望
5.1 レトリックの普遍性と両義性
 5.1.1 レトリック研究の意義
 5.1.2 「逸脱」の二つの側面——異常と創造
5.2 レトリック研究の展望
 5.2.1 言語研究の修辞的基盤
 5.2.2 認知科学としてのレトリック研究
 5.2.3 修辞的効果とコミュニケーション

あとがき

レトリック用語集
引用例出典
参考文献
索 引

プロフィール

小松原哲太(こまつばら てつた)

立命館大学外国語嘱託講師(2016年4月から)
2012年から2015年まで日本学術振興会特別研究員(OCI・言語学) /2015年京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了(人間・環境学博士) /2015年から2016年まで関西大学他非常勤講師

主な著作
「言葉遊びであることへのメタ言語的言及J 『語用論研究』17. 日本語用論学会. 2016年.
「換喩的発話行為—日英語における発話行為の修辞性—」山梨正明他(編) 『認知言語学論考 No.12』,ひつじ書房. 2015年.
「日本語における連体修飾関係の反転現象」『日本語文法』 13 (2) , くろしお出版. 2013年