プリミエ・コレクション 62
パーク・バレル・ポリティクス
委員会制度の政治経済学

大久保 和宣

A5上製・320頁・税込 4,320円
ISBN: 9784876981489
発行年月: 2015/03
在庫あり

内容

特定の政策領域を管轄する委員会を議会に設ければ、専門性と分業化によって効率的に法案を審議できる。しかし、構成員は固定されがちで、既得権益の維持を志向する集団になりやすい。自然公園や歴史公園の設置と運営を支援するアメリカ連邦政府の補助金の分配を事例として、計量的な実証研究によって、「委員会による統治」の最適解を探る。

目次

はじめに

第1部 問題,対象,方法,その他の準備

第1章 委員会と便益の分配

1 何が問題なのか,なぜ問題なのか
2 パーク・バレル・ポリティクス
3 重回帰分析と共分散構造分析
4 本書の構成

第2章 利権としての公園事業補助金

1 なぜ公園事業補助金なのか
2 国立公園局の歴史
3 利権としての公園補助金
4 公園事業の経済的インパクト
5 国立公園局と連邦議会の小委員会
6 まとめ

第3章 分配理論と便益仮説

1 はじめに
2 分配理論の起源と発展
3 分配理論の弱点
4 多様性と変化の要因——実証研究例から

第4章 変数とデータ

1 変数の採用理由,定義,測定法
2 被説明変数
3 説明変数
4 データの出所

第5章 データの選択基準

1 単年度データか,複数年度データか
2 方法的問題と混合した結果
3 なぜ委員会メンバーシップと獲得される便益の関係は短期的に変動するのか
4 方法
5 結果
6 結論——実証研究におけるデータの選択基準

第2部 実証研究

第6章 配分過程の透明性および競争性の影響

1 補助金の配分過程の透明性と競争性
2 理論と実際のギャップ——制度の多様性
3 歴史保存補助金とアウトドア・レクリエーション補助金の制度
4 仮説と方法
5 分布と相関
6 結果
7 代替的な説明の検討——制度か選好か
8 結論——制度的制約が便益の分配に及ぼす影響

第7章 多数党の交代の影響

1 委員会と政党
2 どのようにして政党は委員会をコントロールできるようになったのか
3 議会の組織と行動への政党の影響に関する理論研究
4 便益の分配への政党の影響に関する実証研究
5 残された課題——政党の影響のメカニズムの特定
6 仮説の特定化
7 計量モデルとメカニズムの識別戦略
8 分布と相関
9 結果
10 考察——メカニズムの特定
11 結論——政党が便益の分配に及ぼす影響

第8章 再選戦略あるいは所属動機の影響

1 委員会と代表
2 「土地と水域の保全のための基金」
3 情報理論・分配理論・政党理論
4 委員指名過程を支配しているのは誰か
5 指名要求や委員会の構成に影響を及ぼす変数は何か
6 残された課題——委員指名過程と政策決定過程の同時的検証
7 仮説の特定化
8 方法
9 分布と相関
10 結果
11 結論:委員会への所属動機が便益の分配に及ぼす影響

第3部 結論と展望

第9章 委員会研究の重要性と可能性

1 問題の再訪とそれらへの解答
2 インプリケーション
3 知見やインプリケーションの一般化可能性
4 委員会研究の重要性と可能性

参考文献
あとがき
索  引

コラム
A 連邦議会の委員会制度と法案審議過程
B 米国の連邦政府の予算過程(裁量的経費の承認を中心として)
C 授権と歳出
D 議題設定権と議会の意思決定
E 議場レベルで政党の影響を表わす変数
F 地域とイデオロギー,イデオロギーとシニオリティ
G 各州の人口1人あたり補助金受給額への委員会メンバーシップ変数以外の変数の影響
H 間接効果の有意性検定

プロフィール

大久保和宣(おおくぼ かずのぶ)
1974年埼玉県浦和市(現さいたま市)生まれ
1997年早稲田大学法学部卒業
化学メーカー勤務を経て
2006年京都大学大学院入学
2015年京都大学博士(経済学)取得
現在京都大学大学院経済学研究科プロジェクト研究員