プリミエ・コレクション9
長城と北京の朝政
明代内閣政治の展開と変容

城地 孝

A5上製・440頁・税込 4,860円
ISBN: 9784876982318
発行年月: 2012/06
在庫あり

書評

『東方』378号(2012年8月)、40頁
『新史學』第23巻第4期(2012年12月)、247-256頁、評者:尤淑君氏
『史学』第82巻第1・2号、217-225頁、評者:奥山憲夫氏
『東洋史研究』第72巻第2號、344-352頁、評者:川越泰博氏
『集刊東洋学』第110号、126-140頁、評者:高橋亨氏

内容

16世紀後半の中国明朝において、長城をはさんで対峙する遊牧民族モンゴルの圧力にいかに対応するかという問題はきわめておおきなウェイトを占めていた。本書は、対モンゴル問題をめぐる政治過程を軸として明の朝政の展開のありようをいきいきと描き出すとともに、その背後に存在する意思決定プロセスの論理にもせまろうとするものである。

目次

序 章
第一章 皇帝「親裁」に翻弄されたオルドス回復計画:総督曽銑の「復套」をめぐって
  はじめに
  第一節 総督曽銑の建議
  第二節 計画の推移
  第三節 突然の計画中止と世宗の「親裁」
  おわりに
第二章 朝貢の理念と現実:嘉靖馬市をめぐる政治過程
  はじめに
  第一節 アルタンの北京包囲と朝貢要求への対応
  第二節 世宗によるアルタン征討の提起と馬市構想の浮上
  第三節 反対論の提起と馬市実施の決定
  第四節 馬市実施から破綻まで
  おわりに
第三章 「顧問団」から「行政府」へ:対モンゴル問題への対応にみる隆慶時代の内閣政治の展開
  はじめに
  第一節 世宗と穆宗
  第二節 首輔徐階の政治運営
  第三節 徐階辞任後の内閣
  第四節 北辺官の処分をめぐる閣内対立
  第五節 高拱の首輔就任と内閣の「行政府」化
  おわりに
付 章 『少保鑑川王公督府奏議』と『兵部奏疏』
  第一節 北京大学図書館蔵『少保鑑川王公督府奏議』
  第二節 中国国家図書館蔵『兵部奏疏』の内容と史料的価値
  第三節 『兵部奏疏』成立の背景
第四章 「行政府」型内閣の光と影(一):アルタン封貢をめぐる政治過程
  はじめに
  第一節 バハンナギ投降事件への対応
  第二節 封貢・互市の実施へむけて
  第三節 「封貢八議」の提出とアルタン封貢の決定
  第四節 互市実施要領の策定
   (ⅰ) 山西の互市場
   (ⅱ) 互市・撫賞の財源
   (ⅲ) 鉄鍋の取引
  おわりに
第五章 「行政府」型内閣の光と影(二):陝西における互市実施をめぐる政治過程
  はじめに
  第一節 陝西の地方官の認識と総督王之誥の建議
  第二節 互市実施をめざす内閣と王崇古の建議
  第三節 おしきられた総督戴才
  おわりに
第六章 朝政の舞台裏:丹陽布衣邵芳伝
  はじめに
  第一節 「布衣」邵芳と胡宗憲幕府
  第二節 大学士高拱の幕客として
  第三節 暗躍する政客たち
  おわりに
第七章 明代廷議における意見集約をめぐって
  はじめに
  第一節 意見集約の原則
   (ⅰ) 王守仁の文廟従祀問題
   (ⅱ) アルタン封貢問題
   (ⅲ) 「僉同」の意味するところ
  第二節 覆疏作成のプロセス
   (ⅰ) 口頭から文書へ
   (ⅱ) 意見書と覆疏
  おわりに
終  章
 
引用文献一覧
引用史料一覧
あとがき
索 引
中文摘要

プロフィール

城地 孝(じょうち たかし)
   日本学術振興会特別研究員PD
   (京都大学人文科学研究所)
 1978年 北海道生まれ
 2010年 北海道大学大学院文学研究科博士後期課程(東洋史学専修)修了
   博士(文学)取得

主要論文
 「丹陽布衣邵芳考政客の活動をとおして見る明代後期の政治世界」(『東洋史研究』第68巻第3号、2009年)
 「明嘉靖馬市考」(『史学雑誌』第120編第3号、2011年)