プリミエ・コレクション 30
人生の意味の心理学
実存的な問いを生むこころ

浦田 悠

A5上製・360頁・税込 4,752円
ISBN: 9784876982677
発行年月: 2013/03
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書評

『人間性心理学研究』第31巻第2号(2014年3月)、237-238頁、評者:村久保雅孝氏

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内容

「私は何のために生きているのか?」本書の主人公は,このような実存的な問いを問わずにいられない「人」でありその「心」である。人はどのように人生の意味を問い,どう答えるのか。本書はこの問題に心理学の立場から量的・質的分析を試みる。さらに哲学・人間学の議論も踏まえたモデルを構築し,人生観の幅と深みを鮮やかに描き出す。

目次

序章 人生の意味への問い
 1 意味を問う人間
 (1) 永遠の問いとして
 (2) 現代的な問いとして
 (3) 学問上の問いとして
 2 本書の構成

第Ⅰ部 人生の意味の哲学と心理学

1章 人生の意味の哲学
 1―1 哲学から見た人生の意味
 (1) 人生の意味を扱うことの問題点
 (2) 哲学と心理学における人生の意味の概念
 1―2 人生の意味論の諸相
 (1) 意味は与えられるとする立場
 (2) 意味は創造されるとする立場(主観的意味)
 (3) 無意味(ニヒリズム)
 (4) 前意味・超意味・脱意味
 (5) 物語としての人生の意味
 (6) 人生の意味をめぐる用語の混乱
Topic 1 様々な人が語る人生の意味
2章 人生の意味の心理学
 2―1 人生の意味の心理学の歴史
 (1) 心理学の源流における人生の意味(~1970年代)
 (2) 現代心理学へ(1980年代~)
 2―2 フランクルの理論
 (1) 意味への意志
 (2) 実存的空虚
 (3) 人生の意味についての問いのコペルニクス的転回
 (4) 超意味
 (5) 自己超越
 (6) 3つの価値
 (7) フランクル心理学の現在
 2―3 人生の意味の理論モデルおよび知見
 (1) 意味の構成要素
 (2) 意味の源と幅
 (3) 意味の深さ(レベル)
 (4) ナラティヴとしての人生の意味
 (5) システムとしての人生の意味
 (6) 意味の階層モデル
 2―4 人生の意味を測定する――代表的な心理尺度の概要
 (1) 人生の意味に関する心理尺度
 (2) 代表的な心理尺度の概要と問題点
 2―5 これまでの心理学的研究における課題
 (1) 概念をめぐる問題点
 (2) 方法論上の問題

第Ⅱ部 人生の意味を心理学する

3章 人生の意味の喪失
――実存的空虚を測定する
 3―1 実存的空虚尺度(EVS)の開発(調査1)
    ――PIL の問題点を踏まえて
 (1) 実存的空虚に関する項目の作成
 (2) 尺度項目の選定とPIL との関連の検討
 3―2 実存的空虚に関連する要因は何か(調査2)
 (1) 実存的空虚と関連要因についての質問紙調査
 (2) 人生の意味への態度と実存的空虚
Topic 2 無常観について
4章 人生の意味への問い――問いの諸相
 4―1 人生の意味への問いの諸相(調査3)
 (1) 意味への問いの質問紙調査の実施
 (2) 人生の意味への問いの分析
 4―2 「語り」から見る自我体験と人生の意味への問いとの関連(調査4)
 (1) 意味への問いについてのインタビュー調査
 (2) 自我体験者の語りにおける人生の意味への問い
 (3) 自我体験者にとっての意味への問いとは
 4―3 人生の意味への問いの文脈(調査5)
 (1) 人生の意味への問いについてのインタビュー調査
 (2) 質的コード化によるインタビューデータの分析
 (3) 3パターンの人生の意味への問い
 (4) 語りから見えてきたもの
Topic 3 人はなぜ「なぜ」を問うのか?
5章 人生の意味の追求と実現
――意味の内容と構造を掘り下げる
 5―1 人生の意味の内容――源と幅,深さの検討(調査6)
 (1) 意味の源についての質問紙調査の実施
 (2) 意味の源・深さ,実存的空虚の関連
 5―2 意味の源を評価する尺度の開発(調査7)
    ――Important Meaning Index(IMI)の構成
 (1) 意味の源を評価する新たな尺度の開発
 (2) Important Meaning Index(IMI)の作成にあたっての準備
Topic 4 究極的な人生の意味を捉える試み――意味の木を描く

第Ⅲ部 人生の意味のモデル構成とその応用

6章 人生の意味のモデルの構成
――哲学と心理学の知見の融合
 6―1 人生の意味の場所モデルの構成
 (1) モデル構成の方法論
 (2) 本研究におけるモデルの捉え方
 6―2 モデル構成
 (1) 基本枠組み
 (2) 基本要素
 (3) 基本構図
 6―3 諸概念・諸知見の整理および仮説の生成
 (1) 人生の意味の場所モデルによる先行知見の整理
 (2) フランクル理論のモデルへの位置づけ
 (3) 場所モデルによる仮説の生成
 6―4 人生の意味の場所モデルから人生の意味を捉えなおす
 (1) 人生の意味の包括的定義
 (2) 場所モデルを採用することの意義
 (3) モデル構成という方法論の可能性
 (4) 残された問題
7章 意味システム・アプローチの検討
――人生の意味の構造の分析
 7―1 カクテルとしての人生の意味
 7―2 意味システム・アプローチの応用による語りの分析
 (1) 人生の意味が述べられた事例
 (2) 生活の意味が述べられた事例
 (3) その他の事例
 7―3 人生の意味を包括的・多次元的に捉えるモデルとして
Topic 5 宗教と人生の意味
終章 人生の意味のさらなる探究のために
 1 心理学で人生の意味を取り上げる意味とは何か?
 2 本書で得られた知見とその意義
 (1) 人生の意味の概念の明確化
 (2) 新たな方法論の発展
 (3) 臨床的・実践的なモデルの提示
 3 人生の意味の心理学の未来
 (1) 隣接領域との概念統合
 (2) 尺度研究の限界
 (3) 多様な領域での基礎づけと応用
 4 フランクルの遺産を継承して
 5 おわりに――本書における人生の意味への答え

付録(本書で用いた調査紙の質問項目)
付記
あとがき
引用文献
索引(事項・人名)

プロフィール

浦田 悠(うらた ゆう)
2003年,大阪大学人間科学部卒業。2005年,同大学院修了後,京都大学大学院教育学研究科博士後期課程に編入学し,2011年に博士(教育学)。現在,京都大学大学院教育学研究科研究員,立命館大学衣笠総合研究機構研究員。
著書に,『自己心理学の最先端』(分担執筆,あいり出版,2011),『現代心理学の視点シリーズ カウンセリング心理学』(分担執筆,おうふう,2011),『質的心理学の方法』(分担執筆,新曜社,2007)などが,翻訳書にパーマー&ワイブラウ『コーチング心理学ハンドブック』(分担翻訳,金子書房,2011)などがある。