プリミエ・コレクション 54
“異”なるものと出遭う
揺らぎと境界の心理臨床学

田中 崇恵

A5上製・238頁・税込 3,240円
ISBN: 9784876983681
発行年月: 2015/03
在庫あり

内容

突然日常とは違う世界が開けたり「わたし」という感覚が揺らいだりするような何かに出くわしたとき、わたしたちはどう振る舞うのか、あるいは振る舞うことを強いられるのか。心理臨床事例や学生を対象とした調査、あるいは芸術家へのインタビューから「異者体験」を読み解く。

目次

序章 異者を問う ――脱自己中心的な1つの試み
  可知の領域と不可知の領域
  民俗学・文化人類学における「異人」論
  心理臨床における異者への視点
  フロイトの『不気味なもの』
  臨床心理学に現れる異者
  心理臨床の内から「異者」を問う――本書で目指されること
  語る主体は異者にある――心理臨床の方法論
  本書の構成

第1部 心理臨床における異者

第1章 “異”なるもの《病い》 ――キョウカさんの夢に訪れた異者
  1 「それ」が訪れるとき
  2 「他者」と「異者」
  3 異者としての病い
  4 「外で何かが起こっている」――事例1キョウカさんの夢
  5 超越のもたらす変容
  6 意図を超える訪れ


第2章 “異”なるもの《身体》 ――「ひとところにいられない」と語るマミさんとの面接過程より
  1 自分の身体が異者になるとき
  2 心理臨床と身体
  3 世界とつながる身体――事例2 マミさんの身体観

第3章 異界との出会い ――「リストカットをやめたい」と訴えるトウコさんとの面接過程より
  1 異界への誘い
  2 異界についての先行研究
  3 解離的な世界への亀裂――事例3 トウコさんのテーマパークXと被災体験
  4 異界とは何だったのか

第2部 「わたし」と異者

第4章 異者と創造性
  1 創造という未知の領域へ
  2 芸術家・名和晃平の語り
  3 体験の語りから見えるもの
  4 「もの」を創るということ

第5章 異者体験に迫る ――非臨床群大学生・大学院生への調査から
  1 異者は我々のそばにある
  2 誰にも体験しうる「異者」――質問紙による調査
  3 異者体験の語りを聞く――面接調査
  4 異者といかに関わるか

第6章 「わたし」の中の異者と出遭う
  1 「わたし」という異者
  2 「わたし」が揺らぐということ
  3 「わたし」の揺らぎを調査する
  4 異者が引き起こす自己融解と再統合のダイナミズム

終章 “異”なるものから問われる ――死・生成・境界と心理臨床 
  「体験される運動体」としての異者との出会い
  「わたし」の死と〈わたし〉の生成―臨床性との関わり
  境界への視座
  異者への不断のアプローチ

引用・参考文献
初出一覧
あとがき
索引

プロフィール

田中 崇恵(たなか たかえ)
1984年生まれ。2008年京都大学教育学部卒業,2010年京都大学大学院教育学研究科修士課程修了,2013年同博士後期課程修了(博士(教育学))。臨床心理士。現在,東京大学学生相談ネットワーク本部学生相談所助教。専門は臨床心理学。
主な論文に「パーソナリティにおける揺らぎの様相」(『心理臨床学研究』第28巻3号,pp. 324―335),「“異”なるものとの出会いとしての臨床性」(皆藤章・松下姫歌編『京大心理臨床シリーズ〈10〉 心理療法における「私」との出会い 心理療法・表現療法の本質を問い直す』創元社,2014)など。