プリミエ・コレクション7
体制転換と社会保障制度の再編
ハンガリーの年金制度改革

柳原 剛司

A5上製・330頁・税込 3,672円
ISBN: 9784876985661
発行年月: 2011/06
在庫あり

内容

人口減少と財政縮減の下,社会保障制度改革は世界の先進諸国にとって共通した困難な課題である。いま,ハンガリーが社会主義計画経済から移行する体制下で制度改革に成功した好例として注目を集めている。1998年以後10年間の改革過程を丹念に追いながら,その成功の要因を探ると共に,諸国際機関との比較をも試み,導かれる示唆を論じる。

目次

序 章 旧社会主義国における社会保障制度改革:課題設定
 第1節 問題意識と課題設定
 第2節 本書の視角と意義
 第3節 1990年以降のハンガリーの経済政策の変遷と研究動向
 第4節 本書の構成
第1章 ハンガリーにおける移行の「社会的コスト」
 第1節 移行の「社会的コスト」
 第2節 貧困問題の拡大
 第3節 失業(雇用減少)問題
 第4節 小括
第2章 ハンガリーにおける社会政策論争
 第1節 危機から再編へ:西側諸国における福祉国家論の展開
 第2節 時期尚早の福祉国家:旧東側諸国における福祉国家の展開と体制転換
 第3節 小括
第3章 ハンガリーの年金制度改革:1998年改革の実行とそこからの逸脱
 第1節 1990年代半ばごろまでのハンガリーの年金制度
 第2節 1998年の年金制度改革とフィデス主導政権による制度修正
 第3節 1998年の年金制度改革およびその後の制度修正の特性及び問題点
 第4節 小括
第4章 年金制度改革と高齢者の所得保障問題
 第1節 ハンガリーの高齢者の所得保障
 第2節 高齢者の貧困
 第3節 年金制度改革の推移と高齢者の所得保障に関連する制度状況
 第4節 高齢者の所得保障という観点からの論点・問題点
 第5節 小括
第5章 年金制度周辺の諸制度の改革との整合性
 第1節 総合的な改革の方向性の欠如(1990年代半ば)
 第2節 EU加盟以後の社会的領域の制度改革の傾向
 第3節 小括
第6章 世界銀行の年金戦略とハンガリーの年金制度改革:国際的な影響(1)
 第1節 世界銀行の年金戦略
 第2節 世界銀行による1998年の年金制度改革の評価
 第3節 小括
第7章 EU内政策調整とハンガリーの年金制度改革:国際的な影響(2)
 第1節 年金分野におけるOMCを通じたEU内政策協力
 第2節 年金OMCとハンガリーの年金改革
 第3節 過剰財政赤字是正手続きと年金制度改革
 第4節 小括
終章 総括と展望
 第1節 各章における議論のとりまとめと全体の含意
 第2節 今後の展望

参考文献
あとがき
索引

プロフィール

柳原 剛司(やなぎはら つよし)
1975年 兵庫県生まれ。
1999年 京都大学経済学部卒業。
2004年 在ハンガリー日本国大使館専門調査員(~2006年)。
2010年 京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。
博士(経済学)。
現在,京都大学大学院文学研究科グローバルCOE研究員。

主な著作
共著 Varieties of Capitalisms and Transformation, BUNRIKAKU Publisher (2008).
共著 『世界の社会福祉年鑑2008年版』旬報社(2008年)。
論文「年金分野におけるEU内協力とハンガリーの年金改革」『比較経済体制研究』第15号(2009年)。