プリミエ・コレクション8
ツツバ語 記述言語学的研究

内藤 真帆

A5上製・526頁・税込 7,560円 CD-ROM
ISBN: 9784876985708
発行年月: 2011/08
在庫あり

受賞

平成24年度 新村出研究奨励賞
第1回日本言語学会論文賞 受賞論文の内容を収載

書評

『人環フォーラム』No.30、52頁、評者:梶茂樹氏

内容

現在約2500と言われる消滅危機言語。その多くが南太平洋の島々に点在する。その一つツツバ島の固有語の音韻,構文,品詞や意味論の体系全てを記述。現代言語学の最大使命を厳しくもロマンに満ちた臨地調査の末に果たした大作。記述それ自体も,途中にちりばめられた愉快なコラムも,全てが21世紀の言語学のleadingである。

目次

はじめに

1章 ツツバ語の背景
1.1. ヴァヌアツ共和国
 1.1.1. 学校教育で使用される言語
 1.1.2. 就学経験
 1.1.3. 家庭で話される言語
1.2. ツツバ語とツツバ島
 1.2.1. 先行研究
 1.2.2. 研究のデータ
1.3. 本書の構成
1.4. 略号一覧
COLUMN ツツバ島の一日

2章 音素・音韻
2.1. 母音
 2.1.1. 母音の最小対
 2.1.2. 母音の音価
 2.1.3. 母音の音声的特徴
2.2. 子音
 2.2.1. 子音の最小対
 2.2.2. 祖語との対応
 2.2.3. 子音の音価
2.3. ツツバ語の舌唇音
 2.3.1. 舌唇音の先行研究
 2.3.2. 舌唇音の音変化と仮説
 2.3.3. 舌唇音/【m】/,/【b】/,/【v】/
 2.3.4. 舌唇音の衰退
 2.3.5. 音変化の要因
2.4. 音素配列
 2.4.1. 音節構造
 2.4.2. 母音連続
 2.4.3. 子音連続
 2.4.4. 同化
 2.4.5. 異化
 2.4.6. 脱落
2.5. アクセント
2.6. イントネーション
 2.6.1. 平常文
 2.6.2. 疑問文
 2.6.3. 命令文
COLUMN 自然の恵み

3章 形態論
3.1. 自由語基と拘束語基,接辞と接語
 3.1.1. 自由語基
 3.1.2. 拘束語基
 3.1.3. 接辞と接語
3.2. 語形成
 3.2.1. 接頭辞
 3.2.2. 接尾辞
 3.2.3. 重複
 3.2.4. 複合
3.3. 形態論まとめ
COLUMN 食事

4章 品詞
4.1. 名詞
4.2. 動詞
4.3. 形容詞
4.4. 副詞
4.5. 名詞,動詞,形容詞,副詞の統語機能比較
4.6. 前置詞
4.7. 接続詞
 4.7.1. 等位接続詞
 4.7.2. 従属接続詞
4.8. 冠詞
 4.8.1. 定冠詞na
 4.8.2. 不定冠詞te
4.9. 間投詞
4.10. 小詞
 4.10.1. 義務,相,否定の小詞
 4.10.2. 類別詞
 4.10.3. 連結辞
COLUMN 学校

5章 文の構造
5.1. 基本語順
5.2. 主要部と従属部
5.3. 文法範疇
5.4. 述語
 5.4.1. 動詞述語文と形容詞述語文
 5.4.2. 名詞述語文
 5.4.3. 副詞述語文
5.5. 主語と補語
 5.5.1. 主語
 5.5.2. 補語
5.6. 付加詞
 5.6.1. 頻度をあらわす付加詞
 5.6.2. 場所をあらわす付加詞
 5.6.3. 時をあらわす付加詞
 5.6.4. 様態をあらわす付加詞
 5.6.5. 道具および手段,その他の付加詞
5.7. 焦点化
5.8. 法
5.9. 否定・義務
5.10. 相(アスペクト)
COLUMN 数の数え方

6章 名詞と名詞句
6.1. 名詞の種類
 6.1.1. 普通名詞
 6.1.2. 固有名詞
 6.1.3. 数詞
 6.1.4. 数量詞
 6.1.5. 代名詞類
 6.1.6. 名詞の種類まとめ
6.2. 名詞句の構造と機能
 6.2.1. 名詞句の構造
 6.2.2. 名詞句の機能
6.3. 名詞句主要部を修飾する名詞以外の要素
 6.3.1. 冠詞
 6.3.2. 類別詞と所有表現
 6.3.3. 関係節
 6.3.4. 名詞句に後置される名詞句
6.4. 前方照応の接尾辞が付加する要素
 6.4.1. 名詞句末に主要部がある場合
 6.4.2. 名詞句末が普通名詞や固有名詞の場合
 6.4.3. 名詞句末が形容詞の場合
 6.4.4. 名詞句末が指示代名詞の場合
 6.4.5. 名詞句末が数詞の場合
 6.4.6. 名詞句末が数量詞の場合
 6.4.7. 名詞句末が類別詞の場合
 6.4.8. 前方照応の接尾辞まとめ
6.5. 指示代名詞
 6.5.1. 指定の指示代名詞
 6.5.2. 物をあらわす指示代名詞
 6.5.3. 場所をあらわす指示代名詞
 6.5.4. 方向をあらわす指示代名詞
 6.5.5. 指示代名詞まとめ
6.6. 所有表現
 6.6.1. 名詞の修飾と所有
 6.6.2. 所有形式と意味
 6.6.3. 所有形式と指示物
 6.6.4. 所有物の省略
 6.6.5. 所有表現まとめ
COLUMN 連絡方法

7章 動詞と動詞句
7.1. 自動詞と他動詞の形態的な違い
 7.1.1. 両用動詞
 7.1.2. 他動詞の形態的な特徴
7.2. 自動詞
 7.2.1. 非人称動詞
 7.2.2. 人称動詞
 7.2.3. 派生した人称の自動詞
7.3. 他動詞
 7.3.1. 主格を支配する他動詞
 7.3.2. 対格を支配する他動詞
 7.3.3. 斜格を支配する他動詞
 7.3.4. 拡張した他動詞
7.4. 移動動詞
 7.4.1. ツツバ語とオセアニア祖語の移動動詞
 7.4.2. ツツバ島内の方向表現
 7.4.3. サント島内の移動表現
 7.4.4. 他島への移動表現
 7.4.5. 移動動詞と空間分割
7.5. 動詞句
 7.5.1. 動詞句の構造
 7.5.2. 動詞句の構成要素
7.6. 動詞連続
 7.6.1. 述語連続
 7.6.2. 述部連結
COLUMN 命がけのボート

8章 形容詞
8.1. 形容詞と動詞,名詞
8.2. 形容詞の基本的機能
 8.2.1. 述語になる形容詞
 8.2.2. 名詞を修飾する形容詞
8.3. 形態と意味との相関関係
 8.3.1. 重複
 8.3.2. 形容詞に付加する接尾辞
8.4. 意味に基づく下位分類
 8.4.1. 形容詞の意味グループ
 8.4.2. 形容詞の意味
 8.4.3. 名詞修飾時の形容詞の語順
8.5. 拡張された形容詞
 8.5.1. 動詞的機能の拡張
 8.5.2. 副詞的用法
 8.5.3. 名詞的用法
8.6. 法,相,否定との共起制限
 8.6.1. 既然法と未然法
 8.6.2. 命令法
 8.6.3. 進行相
 8.6.4. 反復相
 8.6.5. 未完了相
 8.6.6. 起動相
 8.6.7. 否定
8.7. 形容詞まとめ
COLUMN 医療

9章 副詞
9.1. 文修飾の副詞
 9.1.1. 文頭に現れる副詞
 9.1.2. 文頭または文末に現れる副詞
9.2. 動詞修飾の副詞
 9.2.1. 補語の直前に現れる副詞
 9.2.2. 補語の直後に現れる副詞
 9.2.3. 副詞の拡張された機能
9.3. 副詞まとめ
COLUMN ツツバ島のお礼

10章 前置詞と前置詞句
10.1. 方向,対象,受益をあらわすtel
10.2. 受益をあらわすlave
10.3. 起点をあらわすtiu
10.4. 理由,目的,話題をあらわすsur
10.5. 理由,目的,話題をあらわすmatan
10.6. 方向,場所,時をあらわすna
10.7. 随伴をあらわすtuan
10.8. 前置詞まとめ
COLUMN 結婚式

11章 重文
11.1. 等位接続詞の文
 11.1.1. 添加・順接の接続詞ro
 11.1.2. 反意の接続詞 na
 11.1.3. 選択の接続詞 te
 11.1.4. 時の経過の接続詞 mevroとaevro
 11.1.5. 因由の接続詞balro
11.2. 並置
 11.2.1. 述部連結と並置の違い
11.3. 繰り返しによる接続
 11.3.1. 繰り返しによる接続と相
COLUMN 豚の価値

12章 複文
12.1. 副詞節
 12.1.1. 並置された二節の意味
 12.1.2. 主節と副詞節の順番
 12.1.3. 主節と副詞節の法
 12.1.4. 時をあらわす節
 12.1.5. 理由,目的をあらわす節
 12.1.6. 条件をあらわす節
12.2. 関係節
 12.2.1. 指示代名詞の機能
 12.2.2. 指示代名詞と関係代名詞
 12.2.3. 関係代名詞の省略
 12.2.4. 関係節のプロソディー
 12.2.5. 関係節における先行詞の文法的役割
 12.2.6. 名詞句の接近可能性
 12.2.7. 関係節における先行詞の数
 12.2.8. 主節と関係節の法,相
12.3. 補語節
 12.3.1. 補語節標識
 12.3.2. 直接話法と間接話法
 12.3.3. 主節と補語節の法,相に関する制約
 12.3.4. 補語節をとりうる動詞
COLUMN 首長と豚

参考文献
参考論文
資料
あとがき
索引

プロフィール

内藤真帆(ないとう まほ)

1976年鹿児島県生まれ.博士(人間・環境学)(京都大学,2008年).2001年東京女子大学現代文化学部言語文化学科卒業,2003年,京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了.2008年3月,同博士課程修了.2008年4月から2011年3月まで日本学術振興会特別研究員,2011年4月より京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科研究員,大阪大学非常勤講師.専門は言語学.

主な著作に「ツツバ語の移動動詞と空間分割」(『言語研究』136,2009年),Tutuba Apicolabials: Factors Influencing the Phonetic Transition from Apicolabials to Labials(Oceanic Linguistics 45(1),2006),「ツツバ語の所有表現」(『DYNAMIS—ことばと文化—』9,2005年)など.