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プリミエ・コレクション 14

『純粋理性批判』の方法と原理

概念史によるカント解釈

渡邉 浩一

A5上製・240頁

ISBN: 9784876982332

発行年月: 2012/06

  • 本体: 3,400円(税込 3,740円
  • 在庫あり

*推 薦*
哲学史上の巨人、カントの哲学における重要な概念ひとつひとつを徹底的に深く追求しつつその内容を暴いていくことによって、カント哲学とその時代を、かえってひろがりをもって私たちの目の前に立ち現せることに成功した力作である。筆者自身を徹底的に透明にしようとすることで、史上稀にみる偉大な思想家のヴェールを一枚一枚剥ぎ取られていくその筆は力強く、読者はいつのまにかカント哲学の深淵にひきこまれてゆくだろう。……戸田剛文(京都大学准教授)

 
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内容

カントの主著『純粋理性批判』は難解で知られるが,「批判」「仮説」「実験」「多様」「表象」「形象」という主要概念の分析という従来とはまったく異なる手法で読み解く.外界の現象を受け入れるのが認識ではなく,認識が現象を構成すると説くいわゆる「コペルニクス的転回」は,体系の「仮説」性と関係するなど,大胆な新見解を主張する.

プロフィール

渡邉 浩一(わたなべ こういち)

1981年大阪生まれ。
2004年3月、京都大学総合人間学部卒業。
2011年3月、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。
京都府医師会看護専門学校、京都女子大学、大阪工業大学非常勤講師。

主な論文
「感性的直観の多様について」『人間存在論』第13号
「「コペルニクスの仮説」と『純粋理性批判』の方法」『アルケー』No. 17

目次

自序
凡例
緒論
第一部 方法としての「批判」

第一章 《批判主義》と「批判」
第一節 「ここでは懐疑的方法が目的である、すなわち批判が」
第二節 「ドクトリンと批判とは互いに区別される」
第三節 「主体に即して哲学する」

第二章 《コペルニクス的転回》と「コペルニクスの仮説」
第一節 コペルニクス的「転回」?
第二節 コペルニクスとアリスタルコス、ティコ、およびニュートン
第三節 コペルニクスの「逆説」および「仮説」
第四節 方法としての「コペルニクスの仮説」
第五節 コペルニクスの仮説と「ニュートンの方法」

第三章 《実験的投げ入れ》と「実験」
第一節 「投げ入れ」とカントの実験理解(用例一)
第二節 「純粋理性の諸命題の検証」のための実験(用例二・三)
第三節 形而上学の実験の「設定」(用例四・五)
第四節 実験の「手続き」とその条件としての「全体」(用例六・七)
第五節 第一部のまとめと結論

第二部 「多様の総合的統一」という原理

第四章 「多様」の課題、または形式的観念論
第一節 『証明根拠』の自然神学構想と「多様」の課題
第二節 論理学における表象の部分―全体関係
第三節 直観と概念の論理的な区別
第四節 感性と知性の区別/形式と質料の区別
第五節 「直観の多様」と「アプリオリな多様の総合的統一」
第六節 『批判』の形式的観念論の二重の課題

第五章 統一の前提、または「表象」
第一節 出発点としての表象の定義不可性
第二節 「死せる物質」と「内的な活動性」の二元論
第三節 二段階の形式化と「現象」と「物自体」の区別
第四節 形式化の帰結としての「内感」の優位

第六章 総合の意味、または「species」
第一節 『批判』第二版の「形象的総合(synthesis speciosa)」
第二節 ライプニッツ―ヴォルフ学派とfigürlich/speciosusな認識
第三節 species:カントの『形式と原理』とヴォルフの『合理的心理学』
第四節 トマスの「可知的形象」とカントの「形象的総合」
第五節 「図式」による形式の形象化・現実化
第六節 第二部のまとめと本書の結論



文献表
索引
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