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地域研究のフロンティア 3

国境と仏教実践

小島 敬裕

菊上製・338頁

ISBN: 9784876983858

発行年月: 2014/02

  • 本体: 4,600円(税込 5,060円
  • 在庫あり
 
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内容

ミャンマーとの国境に面した雲南省徳宏州。そこで筆者が目にしたのは、戒律を遵守する出家者を地域の宗教実践にとって不可欠の存在とする「上座仏教徒社会の常識」がまるで通用しない独自の宗教実践であった。在家の儀礼専門家(ホールー)、女性修行者、村の老人——多種多様なアクターたちが、2つの政治権力の狭間を揺れ動きながら形作る多彩な実践を、誠実かつ緻密な描写で生き生きと描き出す。
貴重な実践を記録した動画資料へのQRコード収載。

書評

『アジア・アフリカ地域研究』2014 第14-1号、124-127頁、評者:蔵本龍介氏
『東南アジア研究』52-2(2015年1月)、346-348頁、評者:長谷千代子氏
『東南アジア−歴史と文化』44号、2015年5月30日、222−225頁、評者:村上忠良氏
『宗教と社会』21号、2015年6月、86−90頁、評者:飯國有佳子氏
『宗教研究』89(1)、2015年6月30日、95−100頁、評者:矢野秀武氏

プロフィール

小島敬裕(こじま たかひろ)
1969 年生まれ。1994年,北海道大学文学部文学科中国文学専攻課程卒業。札幌北斗高等学校,WIN日本語学校(在ミャンマー)勤務の後,ヤンゴン外国語大学に留学。帰国後,京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程に入学し,雲南民族大学留学を経て2010 年に修了。博士(地域研究)。単著に『中国・ミャンマー国境地域の仏教実践——徳宏タイ族の上座仏教と地域社会』(2011年,風響社) ,共著に『〈境域〉の実践宗教——大陸部東南アジア地域と宗教のトポロジー』 (2009年,京都大学学術出版会),『静と動の仏教——新アジア仏教史04 スリランカ・東南アジア』(2011年,佼成出版社)等がある。

目次

口絵
序章 本書の課題と目的
1. 研究の背景——在家者が主導する上座仏教
2. 上座仏教徒社会の先行研究と課題
3. 本書の構成
第 1 章 「境域」空間をなす徳宏
1. 徳宏の主要都市——芒市と瑞麗
2. 徳宏タイ族
3. 徳宏の地域史
4. 調査村TL村
コラム
第 2 章 徳宏タイ族の宗教的特徴
1. 他地域との比較から
2. 西双版納と徳宏
3. 徳宏において出家者が少数にとどまる背景
4. 出家者の止住を必要としない村落
5. TL村の宗教構成
6. 宗教実践の場
コラム
第 3 章 「在家」が織りなす信仰空間
1. TL村の年中儀礼
2. 村人の人生と儀礼
3. 死者供養の儀礼
4. 在家者と仏
5. 在家者と出家者
6. 精霊信仰と仏教
コラム
第 4 章 担い手から見る宗教実践
1. ホールー
2. 女性修行者
3. 出家者
4. サーラー
5. ザウザーイ・ザウラーン
コラム
第 5 章 ホールーの越境と実践の動態
1. ホールーの役割
2. ヒン・ラーイの寺籠りとホールー
3. 越境するホールー
4. 誦経・説法に関する実践の変容
5. 継続する声の実践
コラム
第 6 章 仏教実践と政治権力
1. 戒律実践の多様性
2. 多様性を生む要因
3. ミャンマ一政府の宗教政策と地域の実践
4. 中国政府の宗教政策と実践の変容
5. 政治権力と宗教実践
コラム
終章 徳宏タイ族の仏教実践とその行方
1. 在家者が主導する仏教実践
2. 課題と展望
3. TL村の生活変化と仏教実践の行方
参考資料
1. 用語集
2. 年表
あとがき
文献一覧
索 引
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