ホーム > 書籍詳細ページ

学術選書 043 諸文明の起源 8

ビザンツ 文明の継承と変容

井上 浩一

四六並製・350頁

ISBN: 9784876988433

発行年月: 2009/06

  • 本体: 1,800円(税込 1,980円
  • 在庫なし
 
  • mixiチェック

内容

ビザンツ帝国は、「文明の十字路」コンスタンティノープルを帝都に、約千年にわたる長いあいだ徐々に独自の文明を形成してきた。専制皇帝の絶大な権力、宦官の活躍で整備された官僚制、戦いに明け暮れながらも必要悪としか考えない戦争観——ここには、古代ギリシア・ローマ文明の都市文明を継承しつつも、明らかに異なった文明への変容がみられる。その過程を、社会構造と人間類型の転換として描く。

書評

『比較文明』26(2010)、307-310頁、評者:飯島章仁氏

プロフィール

井上 浩一(いのうえ こういち)

 大阪市立大学大学院文学研究科教授。専門は西洋史。
 1947年、京都市出身。71年、京都大学文学部卒業。76年、同大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。大阪市立大学文学部助手・講師・助教授を経て、現職。
 ビザンツ帝国の政治と社会を研究し、皇帝・貴族から農民・市民にいたる諸階層が織りなす歴史の解明をめざしている。

[主な著書]
『ビザンツ帝国』(岩波書店)、『生き残った帝国ビザンティン』(講談社現代新書、同学術文庫)、『ビザンツ皇妃列伝』(筑摩書房)、『ビザンツとスラヴ』(中央公論世界の歴史11。栗生澤猛夫と共著)、訳書に『黄金のビザンティン帝国』(M.カプラン著、創元社)がある。

目次

口 絵
目 次

序 章……世界史のなかのビザンツ文明
1 ビザンツ文明とは——トインビー『歴史の研究』を手がかりに
2 ビザンツ人のギリシア・ローマ文明観
3 西欧文明のビザンツ観
4 ビザンツ文明の再検討——本書の構成

第1部 都市の変貌——ギリシア・ローマ文明からビザンツ文明へ

第1章……ローマ都市とビザンツ都市
1 ローマ都市の連続・断絶・変容
2 ポリスからカストロンへ——都市景観の変貌
3 古代都市ポリスの特徴
4 都市文明とキリスト教
第2章……都市自治の終焉
1 都市自治の消滅をめぐって——四〜六世紀
2 コンスタンティノープル——「青と緑のデーモス」
3 地方都市の自治
4 都市自治の変容と終焉
第3章……「パンとサーカス」のゆくえ
1 円形闘技場と剣闘士競技
2 競馬場と戦車競走
3 劇場と古代演劇
4 公共浴場と社交生活
5 「パンとサーカス」の化石
第4章……都市からみたビザンツ文明の起源と特徴
1 自治、「パンとサーカス」——ポリス市民の帰属意識
2 大衆社会の出現と個人主義の抬頭
3 デーモスとプローテウオーン——都市自治からみた過渡期
4 都市の変貌とキリスト教
5 ビザンツ文明の特徴

第2部 皇帝・宦官・戦争——ビザンツ文明の諸相

第5章……皇帝——「神の代理人」
1 世界を支配する専制君主
2 専制皇帝の起源
3 ローマ皇帝とビザンツ皇帝——「制限君主制論」批判
4 皇帝権力の射程と限界
5 皇帝からみたビザンツ文明
第6章……宦官——「皇帝の奴隷」
1 ビザンツ官僚制と宦官
2 宦官のいる文明、いない文明
3 宦官の群像——政治家・軍人・総主教
4 宦官の光と影
5 宦官からみたビザンツ文明
第7章……戦争——必要悪
1 「戦争の西欧的流儀」とキリスト教
2 ビザンツ帝国における戦争と戦争観
3 ビザンツ帝国と聖戦——十字軍を中心に
4 戦争からみたビザンツ文明

終 章……ビザンツ文明と現代
1 専制政治と環境問題——甦るビザンツ文明
2 戦争と平和——ビザンツ文明を越えて

あとがき
参考文献
皇帝一覧表
索引
このページの先頭へ