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  • A5判上製

全巻揃価格

  • 定価:20628円(税込)

各界からのご推薦

2016年4月 全巻発売


アフリカ潜在力 [全5巻]     シリーズ総編集:太田 至

内戦,飢餓,アパルトヘイト――植民地主義と急速な近代化の「負の遺産」の中で生じた20世紀の混乱を乗り越えてきたアフリカ。そこには,伝統社会がもともと持っていた紛争回避の独特の仕組みがあり,その上に,紛争を乗り越える中で醸成された修復の知恵がある。テロと対立に揺らぐ現代がアフリカから学ぶべきは何か? 日本のアフリカ研究の総力で迫る。

各巻内容

第1巻
紛争をおさめる文化
──不完全性とブリコラージュの実践

松田素二・平野(野元)美佐 編
4,212 円
  誰もが不完全であることを認める。これこそが,アフリカ文化に内在した世界観である。自らの「完全」性を信じ,それ以外のものへの不寛容や攻撃を「遅れたものを救済する」正義として正当化してきた西洋的近代の誤謬を糺す可能性がそこにはある。緻密な民族誌から,アフリカの日常的実践の持つ,紛争を回避し和解を進める力を析出する。


第2巻
武力紛争を越える
──せめぎ合う制度と戦略のなかで

遠藤 貢 編
4,104 円
  植民地主義の負の遺産と新自由主義的近代化がもたらした凄惨な混乱から脱しつつあるアフリカ諸国。国家と法による断罪・懲罰(応報的正義)とは異なる,被害者の要求(真相の開示,経験の語り,謝罪賠償等)に注意を払い,犯罪によって歪められた人々の関係を正す「修復的正義」を本質とした,アフリカの「移行期正義」の内実に迫る.


第3巻
開発と共生のはざまで
──国家と市場の変動を生きる

高橋基樹・大山修一 編
4,212 円
  一次産品ブームによる成長や格差の拡大,開発の活発化……これらは自ずと,土地や資源を巡る対立に結びつく.ならば,アフリカは大小の紛争だらけなのか? いやほとんどの地域で,人々は時にぶつかり合いつつも共存している.日常的な対立や調整の現場から,アフリカの人々の交渉力・調整力の特徴を見い出し,紛争を回避する知恵を探る。


第4巻
争わないための生業実践
──生態資源と人びとの関わり

重田眞義・伊谷樹一 編
4,104 円
  異なる社会・文化的集団の接触や人の越境は,新たな技術を創出する.資源を巡る対立はしばしば紛争の原因となるが,こうした革新は新たな利用の道を開き,それが日常のマンパワーを基盤とするかぎり,利用/再生の均衡は保たれる.多様な技術や価値観の混合によって自然資源の共有を図る人々の営みに,平和的・持続的な社会の形を見る.


第5巻
自然は誰のものか
──住民参加型保全の逆説を乗り越える

山越 言・目黒紀夫・佐藤 哲 編
3,996 円
  欧米の自然保護思想をそのままアフリカに持ち込んだトップダウンの保全策は,さまざまな対立をもたらす.それは,地域の人々とよそ者の対立であったり,自然の側に立つよそ者と人間の側に立つよそ者との対立であったり,地域住民のなかのさまざまなアクター間の争いであったりする。「住民参加型保全」は解決策たり得るか,その将来像を探る.



各界からのご推薦

● 立本成文氏

 (大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 機構長)

ダイナミックで融通無碍な文化の技法——アフリカ潜在力!! 紛争の国々アフリカで醸成された新しい紛争解決の智慧が明らかになった。アフリカ社会の生の現場での,日本人とアフリカ人研究者との5年にわたる知的格闘の成果がここにある。危機に瀕している人間文化を見直し,これからのあるべき生き方に指針を与える人類の共通財産である。(第1巻に寄せて)



● 長有紀枝氏

 (立教大学社会学部教授・認定NPO法人難民を助ける会理事長)

アフリカの,特に紛争地に関わったことがある人なら誰でも抱くであろう相反する二つの感情がある。深い絶望と希望と。アフリカ研究の第一線に関わってきた執筆陣による本書には,その絶望を絶望に終わらせず,希望を単なるスローガンにしないための処方箋が詰まっている。抑止と対応と紛争後という3段階における知恵——アフリカの人々が培ってきた「潜在力」を知る必読の書である。(第2巻に寄せて)



● 松本仁一氏

 (元朝日新聞編集委員)

貧困や混乱が続くアフリカ。一方で資源ブームと成長のイメージで語られるアフリカ。両極端の状況のなかで人びとはどのような暮らしを送っているのか。本書が生きいきと描き出しているのは,変化に直面するアフリカの人びとが開発の担い手となり,ときには格差の拡大をくいとめ,しなやかに共生を実現しようとする姿である。(第3巻に寄せて)



● 嘉田由紀子氏

 (前 滋賀県知事,びわこ成蹊スポーツ大学 学長)

1970年代,学生時代に女ひとりアフリカへ向かった私は,タンザニアの農村に暮らしていて,ここは何と安全で平和なんだろうと感銘を受けました。1990年代以降は毎年,マラウィ湖畔の村で住み込み調査をしました。アフリカでは紛争イメージが先行していますが,その暮らしの深部にせまれば,40年前に私の抱いた感慨が正しかったことを本書は教えてくれます。(第4巻に寄せて)



● 山極壽一氏

 (京都大学 総長)

自然保護とは,自然に関する実像と虚像をめぐる人々の合意と了解のプロセスである。その主役は地元住民であり,その実践にはあらゆる学問を総動員する必要がある。それを私はゴリラの研究と保護から学んだ。本書はアフリカを舞台に今展開している保護の実態をフィールドワーカーの視点から語る最良の報告と新たな提案である。(第5巻に寄せて)