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『科学論文の英語用法百科』とは

 英語で論理的な文章を書くということは,口頭でのコミュニケーションに不自由を感じていない方でも,特別の難しさがあります.しかも「普通の言葉」や冠詞こそが難しい.専門用語なら辞書に載っていますが,普通の言葉の用法や冠詞の使いこなしというのは,辞書には載っていないからです.
 『科学論文の英語用法百科』は,書くためにこそ必要な「正確な英語理解」を,実用的に提供します.世界的な物理学誌“Progress of Theoretical Physics”(企画当時,理論物理学刊行会発行)の英文校閲者を長年務めた著者が,日本人の論文に集中してあらわれる英語の誤用を,実例を多数挙げながら,ニュアンスまで明快に解説します.基本的な英語表現に蔓延する誤用を取り上げた第1編に続き,新刊の第2編では,いわば書く英語の最難関,冠詞の世界を2時間読めば読了できるコンパクトなボリュームで解説します.
 英語ネイティブの著者自らが,日本人のために日本語で書きあげているだけあって,日本人がどのように考え誤用表現にいきつくのか,日本人の立場に立った解説は,どう書く/書かざるべきかに留まらない,「腑に落ちる」感覚――理工系分野に限らず,正確性を求められる英語を書くすべての人に,“読めば冷や汗をかかずにいられない”『科学論文の英語用法百科』をおすすめします.

 
第1編
よく誤用される単語と表現
714頁 価格:本体5500円+税
ISBN 978-4-87698-629-3

第2編
冠詞用法 新刊
322頁 定価:本体2600円+税
ISBN 978-4-8140-0048-7

本書を推薦します

山極壽一 氏(京都大学総長)
私のような,ゴリラの個体や個別の行動を問題にする研究の場合,英語論文を書く際に,物事を特定する冠詞選びを間違うと,読者に大きな誤解を与えることになります.ところが日本人にとって,一番難しいのがこの冠詞なのです.なぜこの語にtheが付くのか付かないのか,英米人には直感的に分かるらしいのですが,いくら英語上級者といえども,日本人にはなかなか理解出来ません.本書は,小林-益川のノーベル賞論文で名高い理論物理学誌の校閲者として,非英米人の英語を添削してきたパケット氏の豊富な経験に基づいて,そもそもの英語の考え方から説明する,とても本質的で実用的な本です.ぜひ,本書を活用して,誤解のない英語論文を書いていきたいものです.

佐藤文隆 氏(京都大学名誉教授)
日本の科学論文の英文校正を長年手がけた米国の物理学者による5巻本の第2編であるが,「誤り」の3〜5割が冠詞だという.近年の論文急増の国際的な競争の場で読者の目を捉えるには,正確な簡明さが求められる.そのためには誤解を与えない冠詞や代名詞の使い方が不可欠だ.近代科学を育んだ欧州語と違って冠詞のない日本語での表現者には最も不得意なテーマだが,その克服法を多くの誤用例を示して指南する.加算–不加算,物体–物質,普通の物質–普遍体–理想といった哲学めいた概念論から,想定読者を意識した言葉の同定法,果ては誤解を与えない謝辞の書き方まで,あくまで科学論文作成の指南に徹しているが,一つの日本人論にも読める.

青木 薫 氏(翻訳家)
日本語ネイティブにとって冠詞は鬼門だ.パケット氏がこれまでに校閲された膨大な英文において,誤りの3割から5割ほどもが冠詞用法の間違いだという.冠詞はかくも分厚い壁なのだ.この壁を乗り越えるためには,断片的な「冠詞の使い方」をつまみ食いしてもダメで,総体的な「冠詞的世界観」を知る必要がある.本書はまさにその冠詞ワールドを,日本語ネイティブのためにつぶさに見せてくれる本である.私は本書を読んでようやく隅々まですっきりした.英語を書かなければならない人だけでなく,英語を読む人にも本書をお薦めする.高い精度で英文を読み取るためには,冠詞に通じることが必須だからである.

第2編 冠詞用法 内容

     本書の内容
序 文 ……日本語の「曖昧さ」と英語の「明確さ」が冠詞に影響する?
パートI  冠詞用法の基礎  
Chapter 1 序論 ……名詞の意味は何で決まるか?
Chapter 2 算性 ……分かったようで分からない不可算名詞
Chapter 3 同定性 ……名詞の複数形が表す様々な可能性
Chapter 4 冠詞用法の基本ルール ……まとめ
パートII  基本的概念の解明  
Chapter 5 算性 ……ビールに冠詞が付く,付かないでどう変わる?
Chapter 6 同定性 ……a person/the personでどんな混乱が起きるか?
パートⅢ 算性の誤った用例に基づく扱い  
Chapter 7 名詞が表す意味の一般性 ……可算/不可算の区別は思った以上に難しい
Chapter 8 明確な境界vs 不明確な境界 ……数学などの理論では冠詞の誤用が頻出する
Chapter 9 行為や過程の「全体」vs「内容」 ……冠詞の有無で行為は完了していないことになる?
Chapter 10 実際の物質vs 物質の種類 ……ボルドー・ワインは冠詞の有無で数が変わる?
パートⅣ 同定性の誤った用例に基づく扱い  
Chapter 11 可同定化されたvs 明示的に特定された ……何か,誰か,分からなくても定冠詞が付く?
Chapter 12 現行情報の十分さが受け手に知られていない場合 ……a solution/ the solutionで解決の完了・未完了が分かる
Chapter 13 階層的な現行状況 ……どの昆虫か分からないのに脳に定冠詞が付くのはなぜ?
Chapter 14 限定修飾語句vs 非限定修飾語句 ……ボブ・ディランの兄弟は,修飾語によって数が変わる
Chapter 15 現行情報が不十分な場合 ……日本人によくある冠詞の誤用は,情報不足から?
Chapter 16 複数形名詞と本来不可算的名詞における同定性 ……窒素にむやみに定冠詞を付けると,世界中の窒素がなくなってしまう?
Chapter 17 文脈の役割 ……「ボートが沈んでいる!」冠詞の有無で君がどこにいるかが分かる
Chapter 18 カテゴリー ……冠詞で一意に決まる東京の猫の数
Chapter 19 名詞が常に可同定となる用法 ……灰色オオカミに定冠詞が付くと一匹オオカミでなくなる?
Chapter 20 英語における情報構造 ……この指輪の金は特定の金ではない?
Appendix A ~G  

第1編 よく誤用される単語と表現

第1編への推薦の辞  
序  文
Chapter 1 abbreviate
Chapter 2 about
Chapter 3 according to
Chapter 4 adapt とadopt
Chapter 5 adequate
Chapter 6 agree と agreement
Chapter 7 aim、goal、purpose
Chapter 8 all と both
Chapter 9 all of とそれに関連した表現
Chapter 10 already
Chapter 11 and so on、and so forth、etc.
Chapter 12 any
Chapter 13 anymore
Chapter 14 around
Chapter 15 as a result とas the result
Chapter 16 as a result とconsequently
Chapter 17 as for
Chapter 18 as long as とas far as
Chapter 19 as well as
Chapter 20 aspect
Chapter 21 assure と insure、ensure、guarantee
Chapter 22 at first と at last
Chapter 23 at the same time
Chapter 24 available
Chapter 25 based
Chapter 26 because of
Chapter 27 beside と besides
Chapter 28 both
Chapter 29 by
Chapter 30 call
Chapter 31 candidate
Chapter 32 categorize と classify
Chapter 33 cause、 make、 allow 、let
Chapter 34 change
Chapter 35 circumstance
Chapter 36 clue
Chapter 37 common
Chapter 38 compared
Chapter 39 concerned と concerning
Chapter 40 consideration
Chapter 41 contrast
Chapter 42 deal with
Chapter 43 degenerate
Chapter 44 depending
Chapter 45 despite
Chapter 46 difference
Chapter 47 different
Chapter 48 difficult
Chapter 49 direction
Chapter 50 discussion と discuss
Chapter 51 dynamics
Chapter 52 each と every
Chapter 53 each other
Chapter 54 entire
Chapter 55 equal
Chapter 56 especially
Chapter 57 except for および同義の表現
Chapter 58 feature
Chapter 59 for a moment と for the moment
Chapter 60 from now と from now on
Chapter 61 hard と hardly
Chapter 62 have to do with
Chapter 63 have to と must
Chapter 64 hint
Chapter 65 however
Chapter 66 in spite (of)
Chapter 67 indispensable
Chapter 68 information
Chapter 69 instant と instance
Chapter 70 issue
Chapter 71 just
Chapter 72 key
Chapter 73 knowledge
Chapter 74 largely と greatly
Chapter 75 later、earlier と関連した語句
Chapter 76 meaning
Chapter 77 meanwhile
Chapter 78 monotonous と monotonously
Chapter 79 more と less
Chapter 80 multiply
Chapter 81 namely
Chapter 82 neglect と ignore、omit
Chapter 83 no more
Chapter 84 not only
Chapter 85 notation
Chapter 86 nothing but
Chapter 87 notion
Chapter 88 nowadays
Chapter 89 on the basis of
Chapter 90 on the contrary
Chapter 91 on the other hand
Chapter 92 operate
Chapter 93 opposite
Chapter 94 or
Chapter 95 order
Chapter 96 otherwise
Chapter 97 part of
Chapter 98 per
Chapter 99 plural
Chapter 100 popular
Chapter 101 possible と possibility
Chapter 102 problem
Chapter 103 question
Chapter 104 real
Chapter 105 really
Chapter 106 reason
Chapter 107 relative
Chapter 108 remarkable
Chapter 109 research
Chapter 110 rest
Chapter 111 same
Chapter 112 saturate と saturation
Chapter 113 similar
Chapter 114 similarly
Chapter 115 since
Chapter 116 so
Chapter 117 so far
Chapter 118 such as
Chapter 119 such as、such that、so as、so that
Chapter 120 that と this
Chapter 121 the と this
Chapter 122 then
Chapter 123 thus、therefore、hence
Chapter 124 too
Chapter 125 traditional
Chapter 126 units
Chapter 127 until now、up to now、to now とそれに関連した表現
Chapter 128 view と viewpoint
Chapter 129 well と good
Chapter 130 when
Chapter 131 where
Chapter 132 whether or not
Chapter 133 yet

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