プリミエ・コレクション


  • 配本間隔:不定期

プリミエ・コレクション

プリミエ・コレクションの創刊に際して

 「プリミエ」とは,初演を意味するフランス語の「première」から転じた「初演する,主演する」を意味する英語です。本コレクションのタイトルには,初々しい若い知性のデビュー作という意味がこめられています。
いわゆる大学院重点化によって博士学位取得者を増強する計画が始まってから十数年になります。学界,産業界,政界,官界さらには国際機関等に博士学位取得者が歓迎される時代がやがて到来するという当初の見通しは,国内外の諸状況もあって未だ実現せず,そのため,長期の研鑽を積みながら厳しい日々を送っている若手研究者も少なくありません。
 しかしながら,多くの優秀な人材を学界に迎えたことで学術研究は新しい活況を呈し,領域によっては,既存の研究には見られなかった溌剌とした視点や方法が,若い人々によってもたらされています。そうした優れた業績を広く公開することは,学界のみならず,歴史の転換点にある21世紀の社会全体にとっても,未来を拓く大きな資産になることは間違いありません。
 このたび,京都大学では,常にフロンティアに挑戦することで我が国の教育・研究において誉れある幾多の成果をもたらしてきた百有余年の歴史の上に,若手研究者の優れた業績を世に出すための支援制度を設けることに致しました。本コレクションの各巻は,いずれもこの制度のもとに刊行されるモノグラフです。ここでデビューした研究者は,我が国のみならず,国際的な学界において,将来につながる学術研究のリーダーとして活躍が期待される人たちです。関係者,読者の方々共々,このコレクションが健やかに成長していくことを見守っていきたいと祈念します。

2011年5月
第25代 京都大学総長 松本 紘