西洋古典叢書 2017

アイリアノス
動物奇譚集1・2 中務哲郎 訳

前2〜3世紀,主にローマを拠点としながら,ギリシア語を用いて著述活動に専念した人物による本書は,鳥獣魚はもとより,昆虫から植物に至るまで,ありとあらゆる生物にまつわるきわめて多彩なエピソードを800話近くも集めたもの.動物たちのさまざまな生態を活写して,純粋な驚きや知的関心の対象とするだけでなく,彼らが示す美徳や悪徳などの特性にも注意を促すことで,われわれ人間にとっての教訓や反省の材料に供することが企図されている.後代のシートンらによる動物文学の系譜に位置づけられる.原書全17巻を2冊に編み,第1分冊には9巻まで,第2分冊には10巻以降と索引・地図等を収める.本邦初訳.

アンミアヌス・マルケリヌス
ローマ帝政の歴史1 ──ユリアヌス登場 山沢孝至 訳

後4世紀ローマのギリシア系歴史家がラテン語で著わした本書は元来,タキトゥスの後を継ぐものだったが,最初の部分が失われたため,伝存するのはユリアヌス帝を中心とする同時代史の範囲のみ.著者自身も異教徒であり,かつて同帝麾下の軍人でもあったことから,「背教者」と渾名される同帝への傾倒が顕著である.本邦初訳.[全3冊]

デモステネス
弁論集5 杉山晃太郎・木曽明子・葛西康徳・北野雅弘 訳

古代ギリシア最大の弁論家による,私訴を扱った法廷弁論作品のうち,本分冊には第27〜40弁論を収録.そこで争われる事件の性格から,現代とも相通ずる要素が多いことに加え,各裁判の背景をなす当時の日常生活のなかでの生々しい人間関係や,そこに潜む利害得失などは,研究者のみならず,広く一般の関心をも喚起しうる.[全7冊]

プラトン
エウテュプロン/ソクラテスの弁明/クリトン 朴 一功・西尾浩二 訳

敬虔とは何かをめぐる対話『エウテュプロン』,不敬神と若者を堕落させる罪で告発された哲学者の裁判記録『ソクラテスの弁明』,有罪と死刑の判決を受け拘置中の彼が,脱獄を勧める友人を相手にその行為の是非をめぐり意見を戦わす『クリトン』.ソクラテス裁判を中心に,その前後の師の姿を描いたプラトンの3作品が鮮明な新訳で登場.

プルタルコス
モラリア12 三浦 要・中村 健・和田利博 訳

いわゆる『倫理論集』の一部をなす本分冊には,月面に顔が見えるという現象,冷たさの原理性,水と火の有用性などをめぐり,きわめてさまざま学説が紹介・検討される自然学的著作3篇に加え,陸棲および水棲動物の賢さ,非理性的動物の理性使用,肉食批判などが反ストア派的傾向を基調に論じられる動物学的著作3篇を収める.[全14冊]

ロンギノス/ディオニュシオス
古代文芸論集 木曽明子・戸高和弘 訳

ロンギノスの名の下に伝わる『崇高について』に,しばしば同書の真作者に比定されるハリカルナッソスのディオニュシオスによる『模倣論』『トゥキュディデス論』『デイナルコス論』と関連書簡3通を併収.実践的な弁論術・修辞学書であると同時に,規範とすべき著作家らを取りあげ解説することで,古代の貴重な文芸批評にもなっている.