西洋古典叢書 2011

ディオン・クリュソストモス
トロイア陥落せず──弁論集2 内田次信 訳

本論集の著者ディオンは、ローマ帝政期に「黄金の口」の尊称を得たギリシア人雄弁家。禁欲主義的な哲学に親しみ、当時としては異例にも奴隷制や神託の無用性を唱えた。本分冊には、彼が理想とする犬儒派の賢者ディオゲネスを主人公に据えた3篇や、ホメロスを批判しつつトロイア戦伝説の再構築を目論んだ表題作などを収める。本邦初訳。[全6冊]

ウェレイユス・パテルクルス
ローマ世界の歴史 西田卓生 訳

紀元前後を跨いで生きた一将校が、友人の執政官就任を記念して著わしたローマ概略史。トロイ陥落から説き起こし、ティベリウス帝治下の後30年をもって擱筆される。ラテン文学の白銀時代に特徴的な修辞法を多用しつつ、後輩の史家タキトゥスとは対照的な称賛的態度で、歴史的事実よりも人物の伝記のほうに関心が置かれている。本邦初訳。



西洋古典叢書 2012

アイスキネス
弁論集 木曽明子 訳

アッティカ十大弁論家の一人アイスキネスは前4世紀アテナイで活躍、マケドニア王ピリッポス2世からの収賄容疑を巡る宿敵デモステネスとの政争に敗れ、売国奴のレッテルを貼られて流寓の裡に世を去った。その功績は長らく閑却されてきたが、近年は再評価の気運も高まっている。本書には3篇のみ伝わる法廷弁論すべてを収録。本邦初訳。

アリストテレス
生成と消滅について 池田康男 訳

著者の自然学領域に属し、そこでの体系的順序において『自然学』、『天について』の次に来るとともに、後続する『気象論』や生物学領域のための基礎論ともなっている作品。月下の世界の自然的に生成消滅する事物についてが、質料因および始動因の観点から考察される。最近の研究成果にも目を配り、詳細で充実した註と解説を加えた新訳。

エウリピデス
悲劇全集1 丹下和彦 訳

本叢書におけるギリシア悲劇全集の第一弾として、アッティカ三大悲劇詩人の最年少者エウリピデスの現存する全作品を個人新訳にてお送りする。彼の作風はとくに、情念や愛慾にとらわれた女性心理の鋭い分析と描写で定評がある。本分冊には『アルケスティス』『メデイア』『ヘラクレスの子ら』『ヒッポリュトス』の4篇を収録。[全5冊]

プルタルコス
モラリア8 松本仁助 訳

待望の『食卓歓談集』が登場。本書冒頭に置かれた問い「宴席で哲学の議論をしてよいか」への肯定的な答えを前提に展開される論題の数々は、「なぜ恋は人を詩人にするのか」「卵が先か鶏が先か」「アルファがアルファベットの初めにある理由」など、哲学のみならず歴史・文学・医学・自然科学・慣習ときわめて多岐にわたる。本邦初完訳。

ポリュビオス
歴史4 城江良和 訳

ギリシア人の目を通して記録されたローマ同時代史、全40巻の新訳がここに完結を見る。本分冊には第22〜39巻(一部散逸)を収録。著者同席のもと、小スキピオが自らの手でローマの宿敵カルタゴを陥落させながらも、祖国の未来と重ね合わせ落涙する劇的な場面などを含む、前187年から前144年までの事件が扱われる。[全4冊]

ルキアノス
偽預言者アレクサンドロス──全集4 内田次信・戸高和弘・渡辺浩司 訳

「古代のヴォルテール」と称されるルキアノスはシリア出身の諷刺作家。後2世紀の第二次ソフィスト時代にギリシア語で著述した。本分冊には、同時代に実在した新興宗教の教祖的人物を攻撃する表題作や、擬作の疑いはあるものの、現存する「ロバ物語」の一つとして興味深い『ルキオスまたはロバ』など9篇を収録。本邦初完訳。[全8冊]

クインティリアヌス
弁論家の教育3 森谷宇一・戸高和弘・吉田俊一郎 訳

シリーズ3冊目となる本分冊には、全12巻のうち第6〜8巻を収録する。その冒頭で著者は、若い妻と幼い下の息子の相次ぐ死に続いて、将来を有望視し本書を遺産代わりにと考えていた上の息子にも先立たれた直後の喪失感を吐露している。以来、執筆再開は著者自身への慰めとなり、本書は全人類への遺産となった。本邦初完訳。[全5冊]

リウィウス
ローマ建国以来の歴史9──第二次マケドニア戦争、東方諸戦役(1) 吉村忠典・小池和子 訳

本書は全142巻の大著であったが、今日も残るのは35巻分のみ。シリーズ第3弾となる本分冊には、ローマが東方ヘレニズム世界へ勢力を拡張する過程を辿る第31〜45巻の15巻(10巻1組で第4・5デカーデに相当)のうち、前200〜197年の第二次マケドニア戦争を中心に扱う第31〜33巻を収録。本邦初完訳。[全14冊]