近代市民社会の成立を原典から読む新シリーズ

近代社会思想コレクション

刊行にあたって
 わが国は明治以来ヨーロッパのさまざまな文物の移入に努めてきました。近代社会・経済思想と言えども例外ではなく、翻訳あるいは研究書の類も爾来、陸続として刊行されてきたわけです。
 ところが、そうした「翻訳の輸入」には、一つの重要な欠落がありました。すなわち、近代思想を育んだ歴史過程を軽視し、ひとまず「完成した」思想のみ翻訳してきた、ということです。
 21世紀を迎えた今日、西洋列強の圧力の中で急速な近代化を強いられた時期はとうに過ぎ、しかも、経済・政治の混乱と社会規範の変化という形で、近代の枠組そのものが揺らいでいるなかで、「そもそも近代とは何だったのか?」という問い直しをしようとするとき、その形成過程、すなわち「歴史」を知らずには、的確な答えを導くことはできません。
 現代の市民社会がますます錯綜を極めているなかで必要とされるのは、近代思想とは何であったのかをあらためてその源泉に遡って確認し、混迷する社会状況を切り開いていくための新たな指針を打ち出すことにある——当会では、そのように考え、10年来続けてきたギリシャ・ローマの古典紹介(『西洋古典叢書』)の取り組みに加え、この度、近代社会思想を彩った巨人たち、すなわち、グロティウス、ベイコン、ホッブズ、ロック、プーフェンドルフ、ハチスン、ヒューム、ベンサム、ミル等といった人々の足跡を、直接に原典を通じてたどるシリーズ、“近代社会思想コレクション”を刊行することにいたしました。
 コレクションの中には「本邦初訳」のものをなるべく多く取り入れ、また、専門研究者の要望にも応えるべく、いまだ充分に研究されていない著作家の紹介にも配慮しました。このような意味からも本書の翻訳刊行には十分に意義があると信じます。わが国には近代思想に興味をもつ読者は多く、江湖において歓迎されることを願い、年に数冊ずつ刊行する予定であります。

第7回配本 発売中

06. W・トンプソン
富の分配の諸原理2

鎌田武治 訳
5,040 円
  リカード派の社会主義者ウィリアム・トンプソンは、マルクスら後の社会主義者に大きな影響をあたえたが、その主著が本書の『富の分配の諸原理』である。ベンサムの功利主義、オーエンの協働社会主義とならんで三大思潮の一角をなし、社会主義思想を正確に理解するうえで必携の書物の後半部を日本語訳で提供する。本邦初訳

次回配本

'12年4月頃 ホッブズ『人間論』

既 刊

07. W・トンプソン 富の分配の諸原理2 鎌田武治 訳 5,040 円
06. W・トンプソン 富の分配の諸原理1 鎌田武治 訳 4,410 円
05. J・S・ミル 功利主義論集 川名雄一郎・山本圭一郎 訳 3,990 円
04. ヒューム 政治論集 田中秀夫 訳 3,885 円
03. ハチスン 道徳哲学序説 田中秀夫・津田耕一 訳 3,990 円
02. メーザー 郷土愛の夢 肥前榮一・山崎 彰・原田哲史・柴田英樹 訳 3,885 円
01. ホッブズ 市民論 本田裕志 訳 4,095 円