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西洋古代の地震

ゲルハルト・H・ヴァルトヘル/内田次信・竹下哲文・上月翔太 訳

A5上製・362頁

ISBN: 9784814002986

発行年月: 2021/02

  • 本体: 4,800円(税込 5,280円
  • 在庫あり
 
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内容

古代ギリシア・ローマの民は地震を通じて神々の意図を読み取った。海神ポセイドンが起こす地震は,いわば神と人とのコミュニケーションの手段であった。前4世紀から後4世紀にいたる膨大な古典文献を判読し、神話的な説明から哲学者・科学者が脱神話的な原因の探求に至る記録を辿る。

プロフィール

ゲルハルト・H・ヴァルトヘル(Gerhard H. Waldherr, 1956-)
 ドイツのバイエルン州レーゲンスブルク生まれ。専門は西洋古代史。
主な著作
Erdbeben. Das aussergewöhnliche Normale. Zur Rezeption seismischer Aktivitäten in literarischen Quellen vom 4. Jahrhundert v. Chr. bis zum 4. Jahrhundert n. Chr., (Stuttgart, 1997=本書); Nero. Eine Biografie, (Regensburg, 2005), Der Limes. Kontaktzone zwischen den Kulturen, (Stuttgart, 2009); Römisches Regensburg. Ein historischer Stadtführer (Archäologie in Bayern Reiseführer), (Regensburg, 2015).

訳 者
内田 次信(うちだ つぐのぶ)[第1,5-6章]
 大阪大学名誉教授。専門は西洋古典学。
主な著訳書
『ヘラクレスは繰り返し現われる――夢と不安のギリシア神話』(2014年,大阪大学出版会),エウリーピデース「ヘーラクレース」(1991年,『ギリシア悲劇全集6』岩波書店所収),『ルキアノス選集』(1999年,国文社),ピンダロス『祝勝歌集/断片選』(2001年,京都大学学術出版会),ピロストラトス『英雄が語るトロイア戦争 heroikos』(2008年,平凡社),アリストパネース「蛙」(2009年,『ギリシア喜劇全集3』岩波書店所収),ディオン・クリュソストモス『トロイア陥落せず(弁論集2)』(2012年,京都大学学術出版会),プルタルコス・ヘラクレイトス『古代ホメロス論集』(2013年,京都大学学術出版会),ルキアノス『偽預言者アレクサンドロス』(共訳,2013年,京都大学学術出版会),ディオン・クリュソストモス『王政論』(2015年,京都大学学術出版会).

竹下 哲文(たけした てつふみ)[第2-3章]
 京都大学ほか非常勤講師。専門は西洋古典学。
主要論文
「イタリア文献学と古典文献学の間――クローチェ,パスクァーリ,バルビの「方法」を巡る問い」(2018年,『天野惠先生退職記念論文集』所収),「Man. 5.604: Pseudoetymological Figures in Astronomica」(2019年,『フィロロギカ』),「マーニーリウス『アストロノミカ』における百科全書主義」(2020年,『西洋古典学研究』).

上月 翔太(こうづき しょうた)[第4章]
 愛媛大学特任助教。専門は西洋古典学,高等教育論。
主要論文
「ヴィーダ『キリスト物語』におけるピーラートゥス・エピソード――宗教的相克の物語として」(2017年,『神話学研究』),「ルカヌス『内乱』におけるfama」(2017年,『待兼山論叢 芸術篇』),「ヴィーダ『キリスト物語』における「語り行為」――巻構造との関係から」(2018年,『文芸学研究』),「歌われる噂――ヴィーダ『キリスト物語』におけるファーマ」(2019年,『フィロカリア』),「ヴィーダ『キリスト物語』第2巻「シモンの歌」と「最後の晩餐」の関連性――神のアクチュアリティを導く叙事詩」(2020年,『神話学研究』).

目次

本訳書への序(2019年)
凡 例
まえがき

第1章 問題への手引き
1.地震――大災害の研究――諸歴史学
2.歴史地震学―― 1つの学問分野の発展に関する概観
3.地震と古代史――新しい問題提起
4.地震との付きあい方――不安の除去の行為

第2章 地中海圏における地震活動――地震構造的な概観
1.地震の種類
2.地震の地理的な分布
  地中海地域西部/地中海地域中部/地中海地域東部
3.津波

第3章 古代における地震理論
――アリストテレスからアンミアヌス・マルケッリヌスまで
1.アリストテレス
2.テオプラストス
3.ポセイドニオス
4.ティトゥス・ルクレティウス・カルス
5.アレイオス・ディデュモス
6.ストラボン
7.ルキウス・アンナエウス・セネカ
8.ガイウス・プリニウス・セクンドゥス(大プリニウス)
9.『宇宙について』
10.擬プルタルコス『学説について』
11.パウサニアス
12.アンミアヌス・マルケッリヌス
13.まとめ
  アリストテレスとその影響/揺れの影響や方向に基づく古代の地震分類

第4章 地震活動の受けとめ方と記述
――ヘロドトスからアンミアヌス・マルケッリヌスまで
1.ヘロドトス
2.トゥキュディデス
3.マルクス・トゥッリウス・キケロ
4.ティトゥス・リウィウス
  リウィウスの著作における地震の受けとめ方/「予兆」としての地震(要約)
5.プブリウス・コルネリウス・タキトゥス
6.ガイウス・スエトニウス・トランクィッルス
7.カッシウス・ディオ
8.アンミアヌス・マルケッリヌス

第5章 古代ギリシア・ローマにおける神々と人間の間のコミュニケーション手段としての地震
1.ギリシア文化圏――地震の神ポセイドン
2.ローマ文化圏――「男神にであれ,女神にであれ」

第6章 地震――古代の記述の意図と,時間連続体におけるその発展(要約と展望)

訳者あとがき
文献略号一覧
索引(出典/人名・地名/事項)
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