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ダムと環境の科学 III

エコトーンと環境創出

谷田 一三・江崎 保男・一柳 英隆 編著

A5上製・374頁

ISBN: 9784876983803

発行年月: 2014/11

  • 本体: 4,500円(税込 4,950円
  • 在庫あり

■関連書
ダムと環境の科学I ダム下流生態系
ダムと環境の科学II ダム湖生態系と流域環境保全

 
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内容

ダム湖の水位変動帯は水域と陸域の生物が交錯するエコトーン(移行帯)である。本来の季節的水位変動とは異なる人為的な水位管理がなされるその環境は、生物たちにとって決してやさしいものとは言えない。しかし改善できることもあるのではないか。シリーズ第Ⅲ巻ではダム湖エコトーンの物理基盤や植生、動物群集による利用の実態を福島県三春ダムや山形県寒河江ダム、佐賀県嘉瀬川ダムでの調査に基づいて解明し、エコトーンを活用したビオトープ造成や環境影響緩和(ミティゲーション)、さらに環境創出について論じる。また「自然湖沼のダム化」の問題を考えるため、琵琶湖と霞ヶ浦の事例を紹介する。

書評

『森林技術』No.875(2015年2月)、36-37頁、紹介:辻盛生氏

プロフィール

[編著者紹介]
谷田 一三(たにだ かずみ)
大阪府立大学名誉教授,水源地生態研究会水圏生態研究委員会委員長,応用生態工学会会長,大阪自然史センター理事長
専門は,河川生態学,分類学,生物地理学.とくに日本産トビケラ類の分類と生態,東アジアにおける淡水動物の多様性と起源を中心に研究している.著作に『日本産水生昆虫:科・属・種への検索』(編著,東海大学出版会,2005),『ダム湖・ダム河川の生態系と管理:日本における特性・動態・評価』(編著,名古屋大学出版会,2010),『水辺の環境学 上・中・下』(編著,朝倉書店,2014)など.本書では,序章,第7章,あとがき,用語解説を執筆.

江崎 保男(えざき やすお)
兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科教授,水源地生態研究会陸上生態研究委員会委員長
専門は,動物生態学.森林・河川から都市まで幅広い陸域の生態系を対象に,鳥類を主たる材料とする群集研究を行い,2010年からはコウノトリ野生復帰の陣頭指揮をとっている.著作に『水辺の環境保全:生物群集の視点から』(編著,朝倉書店,1998),『生態系ってなに?』(単著,中公新書,2007),『自然を捉えなおす』(単著,中公新書,2012)など.本書では,はじめに,終章,用語解説を執筆.

一柳 英隆(いちやなぎ ひでたか)
一般財団法人水源地環境センター嘱託研究員
専門は,動物生態学.河川,とくに渓流域に生息する動物の生活史や個体群動態,保全について研究している.著作に『ダムと環境の科学Ⅰ ダム下流生態系』(分担,京都大学学術出版会,2009),『河川環境の指標生物学』(分担,北隆館,2010),『ダムと環境の科学Ⅱ ダム湖生態系と流域環境保全』(編著,京都大学学術出版会,2011)など.本書では,第2,8,9,終章,用語解説を執筆.

[著者紹介](五十音順)
浅枝 隆(あさえだ たかし)
埼玉大学大学院理工学研究科教授
専門は,水圏生態学,陸水環境.著作に『大学土木 河川工学』(共著,オーム社,1999),『図説 生態系の環境』(編著,朝倉書店,2011)など.学術雑誌Wetlands Ecology and Management(Springer)編集長.本書では,第1,3,10章を執筆.

浅見 和弘(あざみ かずひろ)
応用地質株式会社地球環境事業部自然環境部長
専門は,植物生態学.著作にThe Restoration of Nature in Japan(分担,Tokai University Press, 2010),『ダム湖・ダム河川の生態系と管理:日本における特性・動態・評価』(分担,名古屋大学出版会,2010),『水辺の環境学 上』(分担,朝倉書店,2014)など.本書では,第3,8,9章,補遺,コラム2を執筆.

東 淳樹(あずま あつき)
岩手大学農学部講師
専門は,保全生物学,動物生態学.著作に『生態学からみた里山の自然と保護』(分担,講談社,2005),『撤退の農村計画』(分担,学芸出版社,2010),『日本のタカ学』(分担,東京大学出版会,2014)など.本書では,コラム6を執筆.

荒井 秋晴(あらい しゅうせい)
九州歯科大学准教授
専門は,動物生態学.著作に『応用生態工学序説』(分担,信山社,1997),『外来種ハンドブック』(分担,地人書館,2002),『新版ヒトと自然(第2版)』(共著,東京教学社,2011)など.本書では,第9章を執筆.

大杉 奉功(おおすぎ とものり)
一般財団法人水源地環境センター環境技術開発室長
専門は,魚類生態学,ダム事業の環境保全.著作に「ダム湖における外来魚の生息状況の把握と防除手法の検討」(共著,ダム水源地環境技術研究所所報,2006),「ダム貯水池周辺における自然環境保全の取り組み」(共著,大ダム:国際大ダム会議日本国内委員会会誌,2006),「フラッシュ放流によるダム下流河川の環境改善」(共著,土木技術,2009)など.本書では,補遺,第12章を執筆.

沖津 二朗(おきつ じろう)
応用地質株式会社応用生態工学研究所所長
専門は,植物生理生態学,河川事業に係る環境保全.著作に「ヒノキ・タムシバの木部圧ポテンシャルの日変化と通水抵抗の比較」(共著,日本林学会論文集,1994),「試験湛水時に冠水したフクジュソウ群落の12年間の変遷」(共著,応用生態工学,2009),「ダム湖の水位低下を利用した定置網による外来魚捕獲とその効果」(共著,応用生態工学,2012)など.本書では,第2章を執筆.

鬼倉 徳雄(おにくら のりお)
九州大学大学院農学研究院助教
専門は,魚類学,河川生態学,水産学.著作に『干潟の海に生きる魚たち 有明海の豊かさと危機』(分担,東海大学出版会,2009),『現代の生態学 9 淡水生態学のフロンティア』(分担,共立出版,2012),『見えない脅威“国内外来魚”』(編著,東海大学出版会,2013)など.本書では,コラム5を執筆.

小山 幸男(おやま ゆきお)
国土交通省東北地方整備局三春ダム管理所所長
本書では,補遺を執筆.

児玉 大介(こだま だいすけ)
新潟大学大学院自然科学研究科大学院生(現 長野県千曲市役所建設部技師)
本書では,第11章を執筆.

佐川 志朗(さがわ しろう)
兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科准教授
専門は,水域生態学,応用生態工学.著作に『野生生物保護の事典』(分担,朝倉書店,2010),『身近な水の環境科学[実習・測定編]:自然の仕組みを調べるために』(分担,朝倉書店,2014),Socio-Ecological Restoration in Paddy-Dominanted Landscapes(分担,Springer,印刷中)など.本書では,コラム8を執筆.

澁谷 慎一(しぶや しんいち)
一般財団法人水源地環境センター研究第三部長(現 国土交通省中部地方整備局木曽川下流河川事務所所長)
著作に「ダム事業の湿地整備における目標設定及び評価の視点に関する検討」(共著,水源地環境技術研究所所報,2013)など.本書では,第12章を執筆.

白井 明夫(しらい あきお)
一般財団法人水源地環境センター首席研究員
専門は,ダム事業の環境影響評価.著作に「ダム事業における環境保全としての湿地の創出」(共著,土木技術,2009),「オーストリアにおける流水型ダム(続報)」(共著,ダム技術,2010),「工事中のダムにおけるクマタカの調査方法」(共著,大ダム:国際大ダム会議日本国内委員会会誌,2011)など.本書では,コラム2を執筆.

角 哲也(すみ てつや)
京都大学防災研究所教授
専門は,河川工学,水工水理学,ダム工学.著作に『ダムと環境の科学Ⅰ ダム下流生態系』(分担,京都大学学術出版会,2009),『貯水池土砂管理ハンドブック』(監訳,技報堂,2010),『ダムの科学』(編著,ソフトバンククリエイティブ,2012).本書では,コラム3を執筆.

関島 恒夫(せきじま つねお)
新潟大学大学院自然科学研究科准教授
専門は,動物生態学,哺乳類学,生理生態学.著作に『冬眠する哺乳類』(分担,東京大学出版会,2000),『日本の哺乳類学 小哺乳類』(分担,東京大学出版会,2008),『川の百科事典』(分担,丸善出版,2008)など.本書では,第11章を執筆.

知花 武佳(ちばな たけよし)
東京大学大学院工学系研究科准教授
専門は,河川工学.著作に『川の百科事典』(分担,丸善株式会社,2009),『歴史的土木構造物の保全』(分担,鹿島出版会,2010),『日本のかわと河川技術を知る:利根川』(分担,土木学会,2012)など.本書では,第4章を執筆.

中井 克樹(なかい かつき)
滋賀県立琵琶湖博物館研究部専門学芸員
専門は,保全生態学.著作に『外来生物:つれてこられた生きものたち』(編著,滋賀県立琵琶湖博物館,2003),『よくわかる生物多様性2 カタツムリ:陸の貝のふしぎにせまる』(監修,くろしお出版,2011),『生きものがたり:生物多様性 湖国から世界から』(編著,滋賀県立琵琶湖博物館,2013)など.本書では,補遺を執筆.

中越 信和(なかごし のぶかず)
広島大学大学院国際協力研究科教授
専門は,景観生態学,環境計画学.著作に『景観生態学:生態学からの新しい景観理論とその応用』(監訳,文一総合出版,2004),Landscape Ecological Applications in Man-Influenced Areas: Linking Man and Nature Systems(編著,Springer Dordrecht, 2007),Designing Low Carbon Societies in Landscapes(編著,Springer Tokyo, 2014)など.本書では,コラム9を執筆.

西野 麻知子(にしの まちこ)
びわこ成蹊スポーツ大学教授
専門は,陸水生物学,保全生物学.著作に『内湖からのメッセージ:琵琶湖周辺の湿地再生と生物多様性保全』(編著,サンライズ出版,2005),『とりもどせ!琵琶湖・淀川の原風景:水辺の生物多様性保全に向けて』(編著,サンライズ出版,2009),Lake Biwa: Interactions between its Nature and People(編著,Springer,2012)など.本書では,第5章を執筆.

西廣 淳(にしひろ じゅん)
東邦大学理学部准教授
専門は,植物生態学,保全生態学.著作に『自然再生ハンドブック』(編著,地人書館,2010),『保全生態学の技法:調査・研究・実践マニュアル』(編著,東京大学出版会,2010),『河川生態学』(分担,講談社,2013)など.本書では,コラム4を執筆.

沼宮内 信之(ぬまくない のぶゆき)
一般社団法人日本森林技術協会専門技師
専門は,維管束植物の同定,造林学.著作に「寒河江ダムの上流端で初夏に干出する湿地土砂から芽生えた植物の種組成」(共著,東北植物研究,2011),「ニッコウハリスゲの特大雌鱗片」(共著,莎草研究,2010),「コナラ果実に対する落葉被覆が実生の発生と成長に及ぼす影響」(共著,日本緑化工学会誌,2005)など.本書では,第2章を執筆.

藤原 宣夫(ふじわら のぶお)
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科教授
専門は,緑化工学,造園学,植物生態学.著作に『都市に水辺をつくる』(編著,技術書院,1995),『最新 環境緑化工学』(分担,朝倉書店,2007),『未来につなぐビオトープ施工技術』(監修,学報社2012)など.本書では,コラム1を執筆.

皆川 朋子(みながわ ともこ)
熊本大学大学院自然科学研究科准教授
専門は河川環境学.著作に『川の百科事典』(分担,丸善,2009),『日本の河川』(分担,朝倉書店,2010),『よみがえれ里山・里地・里海』(分担,築地出版,2010)など.本書では,コラム10を執筆.

吉村 千洋(よしむら ちひろ)
東京工業大学大学院理工学研究科准教授 
専門は,水質工学,河川生態学,生物地球化学.著作に『河川の水質と生態系:新しい河川環境創出に向けて』(分担,技報堂出版,2007),『ダム湖・ダム河川の生態系と管理:日本における特性・動態・評価』(分担,名古屋大学出版会,2010),『河川生態学』(分担,講談社,2013)など.本書では,第6章,コラム7を執筆.

目次

口絵
はじめに〔江崎保男〕
凡例

序章 エコトーン再考:ダムの水位変動帯を考えるために〔谷田一三〕
 0.1 エコトーン(推移帯あるいは移行帯)とは
 0.2 水陸移行帯のエコトーン
    0.2.1 エコトーンとしての汽水域
    0.2.2 エコトーンとしての潮間帯
    0.2.3 河川と周辺陸域のエコトーン
    0.2.4 人為的な自然改変によるエコトーンの消失と創出
    0.2.5 河川の工作物による河川エコトーンの破壊
    0.2.6 ダム湖のエコトーン

Part Ⅰ ダム湖水位変動帯の基盤と植生

第1章 流入量の変動と地形植生形成〔浅枝 隆〕
 1.1 ダム湖内の植生域
 1.2 湖岸に形成される植生群落
    1.2.1 ヤナギ林の形態
    1.2.2 ヤナギ林の樹齢分布
    1.2.3 水位変動が草本群落に与える影響
❖コラム1 ダム湖水位変動帯の裸地化とその緑化対策〔藤原宣夫〕

第2章 水位変動帯の草本群落:寒河江ダムを中心に〔一柳英隆・沼宮内信之・沖津二朗〕
 2.1 寒河江ダムの特徴
    2.1.1 寒河江ダムの諸元と水位変動
    2.1.2 ダム湖河川流入部水位変動帯の特徴
 2.2 寒河江ダム水位変動帯の景観変化
 2.3 寒河江ダム水位変動帯の植物相の特徴
    2.3.1 堆砂デルタには一年生草本が多い
    2.3.2 冠水日数と植物相の関係
    2.3.3 水位変動帯の植物の由来
 2.4 他のダムの水位変動帯植物相と希少植物生育状況
 2.5 水位変動帯の植生とその保全

第3章 水位変動帯の木本群落〔浅見和弘・浅枝 隆〕
 3.1 湖畔の冠水日数と樹木
 3.2 流入部の樹木
 3.3 ダム湖の樹木管理
❖コラム2 植物の耐水性〔浅見和弘・白井明夫〕

第4章 堆砂デルタの形成と物理特性〔知花武佳〕
 4.1 ダム湖堆砂デルタの類型
 4.2 類型ごとに見る堆砂デルタの特徴
    4.2.1 河原状堆砂デルタ(ダム湖流入部)の特徴
    4.2.2 河原状堆砂デルタ(貯砂ダム下流部)の特徴
    4.2.3 湿地状堆砂デルタの特徴
    4.2.4 水面上に現れる堆砂デルタ無し
 4.3 各類型の堆砂デルタ形成に必要な条件
 4.4 構成材料を分ける要因
 4.5 堆砂デルタの類型と生態的機能を結ぶ
❖コラム3 水質保全ダムと貯砂ダム〔角 哲也〕

第5章 琵琶湖における人為的水位操作と生態系への影響〔西野麻知子〕
 5.1 琵琶湖の生物多様性の特性
 5.2 琵琶湖水位の変動記録
    5.2.1 江戸時代の水位
    5.2.2 明治以降の水位
 5.3 びわ湖生物資源調査団の水位低下影響予測
 5.4 水位操作規則制定(1994年)以降の生態系変化
    5.4.1 著しい水位低下の影響
    5.4.2 水位の季節変動リズムの変化
 5.5 生態系に配慮した水位操作試行の成果と課題
❖コラム4 霞ヶ浦の水位操作と湖岸植生〔西廣 淳〕

Part Ⅱ ダム湖水位変動帯の動物群集

第6章 底生動物群集の動態〔吉村千洋〕
 6.1 ダム湖水位変動帯に形成される底生動物の棲み場
 6.2 水位変動に対応した底生動物群集の変化
    6.2.1 底生動物の時空間分布
    6.2.2 底生動物はどのように移動したのか
    6.2.3 生活型に着目すると
 6.3 底生動物群集と食物網構造の変化
    6.3.1 安定同位体比から見る底生動物群集の食物網構造
    6.3.2 ダム湖から流入河川への影響を安定同位体比から探る
 6.4 更なるダム湖生態系の理解に向けて

第7章 ダム湖水位変動帯の陸上無脊椎動物〔谷田一三〕
 7.1 三春ダム水位変動帯の陸上無脊椎動物
    7.1.1 調査方法と地点の概要
    7.1.2 群集組成と特徴
 7.2 寒河江ダム水位変動帯の昆虫類の調査
    7.2.1 調査地点と方法の概要
    7.2.2 昆虫群集とその季節変化
 7.3 干出した水位変動帯の特性

第8章 ダム湖沿岸帯植生の魚類による利用〔浅見和弘・一柳英隆〕
 8.1 ダム貯水池内の魚類相
    8.1.1 ダム貯水池で確認される魚類
    8.1.2 各地域のダム貯水池の魚類組成
 8.2 三春ダムにおける魚類の湖畔ヤナギ林利用
    8.2.1 水位変動と魚類との関係
    8.2.2 三春ダム貯水池のタチヤナギ群落と浮遊物の分布
    8.2.3 ギンブナの移動状況
    8.2.4 ギンブナの繁殖行動,卵の観察
 8.3 ダム湖水位変動態植生と魚類の保全
❖コラム5 ダム湖流入河川の魚類相と試験湛水〔鬼倉徳雄〕

補遺:ダム湖における外来魚問題とその対策〔中井克樹・浅見和弘・大杉奉功・小山幸男〕
    1.ダム湖における外来魚対策の必要性
    2.三春ダムの水位変動特性
    3.水位低下式定置網による外来魚の捕獲
    4.段階的水位低下によるオオクチバスの繁殖抑制
    5.吊り下げ式人工産卵装置による繁殖抑制
    6.人工的水域におけるバス・ギルの適正管理に向けて

第9章 ダム湖沿岸の哺乳類による利用〔荒井秋晴・浅見和弘・一柳英隆〕
 9.1 ダムと哺乳類
 9.2 水位変動帯に現れる哺乳類
 9.3 ネズミ類の水位変動帯利用
    9.3.1 ネズミ類の特徴
    9.3.2 三春ダムのネズミ類
    9.3.3 寒河江ダムのネズミ類
    9.3.4 水位変動帯におけるネズミ類密度のダムによる違い
 9.4 試験湛水時のテンのダム湖沿岸帯利用
    9.4.1 テンという動物
    9.4.2 嘉瀬川ダム試験湛水前後のテンの動態
    9.4.3 ダム事業,ダム湖とテン
 9.5 ダム湖水位変動帯と哺乳類
❖コラム6 山間地のダム湖および渓流の鳥類〔東 淳樹〕

Part Ⅲ ダム湖水位変動帯の食物網と物質循環

第10章 植生がダム湖の物質循環に与える影響〔浅枝 隆〕
 10.1 系外からの流入
 10.2 物理過程に基づく働き
    10.2.1 機械的機構による有機物沈降促進効果
    10.2.2 日射の遮蔽効果
 10.3 生物・化学過程による働き
    10.3.1 硝化・脱窒作用
    10.3.2 窒素固定
    10.3.3 形態に依存した栄養塩循環
    10.3.4 動物を介した栄養塩輸送
 10.4 植生の生長を律速する栄養塩
 10.5 ダム湖岸における栄養塩負荷源
 10.6 樹木群落が発達した水位変動帯における窒素量
❖コラム7 堆砂デルタにおける有機物の堆積と変換プロセス〔吉村千洋〕

第11章 河川流入部の食物網構造〔関島恒夫・児玉大介〕
 11.1 ダム湖上流端に形成される複雑な生態系
 11.2 大きな水位変動をもつ寒河江ダム
 11.3 季節的に構造が変わるダム湖上流端の食物網
 11.4 水中堆積物の由来からダム湖上流端に出現する一時的陸域の機能を探る
 11.5 ダム湖上流端とその周辺の水域環境とのつながり
 11.6 ダム湖の生態系形成に重要な異地性流入
❖コラム8 魚類を介した栄養塩の拡散〔佐川志朗〕

Part IV ダム湖岸の環境整備

第12章 ダムにおけるビオトープの造成〔大杉奉功・澁谷慎一〕
 12.1 ダム事業における環境影響評価
 12.2 ダム事業における環境保全措置
    12.2.1 代償措置と多様性オフセット
    12.2.2 代償措置としての湿地ビオトープの造成
 12.3 ダム事業における湿地ビオトープ整備の現状
    12.3.1 湿地ビオトープ整備の全国的な状況
    12.3.2 ビオトープ整備の事例
 12.4 湿地ビオトープ整備の考え方
    12.4.1 胆沢ダムにおける湿地ビオトープの検討
    12.4.2 今後のビオトープ整備とモニタリングの方向性
    12.4.3 湿地ビオトープの目標設定
❖コラム9 灰塚ダムのビオトープと社会連携〔中越信和〕
❖コラム10 流水型ダム湛水域の環境整備事例〔皆川朋子〕

終章 環境創出と流域生態系〔江崎保男・一柳英隆〕
 13.1 ダム湖エコトーン環境創出の時代
 13.2 これまでの環境保全対策
 13.3 維持労力をかけない湿地づくり
 13.4 湿地生態系創出とダム機能
 13.5 創出された生態系の健全性
    13.5.1 エコシステム・エンハンスメント
    13.5.2 新たな価値を求めて

あとがき〔谷田一三〕
用語解説〔谷田一三・江崎保男・一柳英隆〕
索引
編著者紹介
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