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交錯する世界 自然と文化の脱構築
フィリップ・デスコラとの対話
A5上製・442頁
ISBN: 9784814001477
発行年月: 2018/03
環境と人間、自然と文化のとらえ方に蔓延した二元的な対立構図を打ち破るものは何か。「自然は人間に復習するか」「自然は人間の友達か」「自然は主体性をもつか」「自然は境界を超えるか」という四つの問題提起に、人類学、哲学、美学、心理学、思想史、社会学、コモンズ論をはじめとする多様な人文・社会学の領域から取り組む。
【編者】
秋道 智彌(あきみち ともや) 序章、第1章、第2章、終章
山梨県立富士山世界遺産センター所長
専門分野:生態人類学
主な著作:『魚と人の文明論』、『越境するコモンズ』(単著、臨川書店)、『サンゴ礁に生きる海人』(単著、穃樹書林)、『漁撈の民族誌』(単著、昭和堂)、『コモンズの地球史』(単著、岩波書店)、『海に生きる』(単著、東京大学出版会)、『クジラは誰のものか』(単著、筑摩書房)
【執筆者】
フィリップ・デスコラ(Phillipe DESCOLA) I, II, III, IV
コレージュ・ド・フランス「自然の人類学」講座教授
専門分野:社会人類学
パリ高等研究実習院(EPHE)第6部門にてC・レヴィ=ストロースに師事し、1983年、パリ社会科学高等研究院(EHESS)にて社会人類学博士号を取得。以後、同院で講座主任・研究主任等を歴任。2000年、コレージュ・ド・フランス「自然の人類学」講座教授に就任。各国で客員教授、公開講座などを数多く務める。教育功労勲章、レジオン・ドヌール勲章、国家功労賞他、コスモス国際賞。
主な著作:Par-del nature et culture (ditions Gallimard), Beyond Nature and Culture. Janet Lloyd (trans.). (University of Chicago Press.), The Spears of Twilight L:fe and Death in the Amazon Jungle. Janet Lloyd (trans.). (New Press.), In the Society of Nature: a Native Ecology in Amazonia. Cambridge Studies in Social and Cultural Anthropology 93. Nora Scott (trans.). (Cambridge University Press.)
下山 大助(しもやま だいすけ) 翻訳(I、II、III、IV)、第8章
京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程
専門分野:近世ヨーロッパ史・哲学、宗教改革史、図像論争史
主な著作:〔翻訳〕アンヌ=ガブリエル・ヴェルサンジェ「プラトン対話篇『法律』における〈音楽〉」(榊原健太郎と共訳)(『帝京科学大学紀要』Vol. 10:215—226)
波佐間 逸博(はざま いつひろ) 第3章
長崎大学多文化社会学部准教授
専門分野:人類学・アフリカ地域研究
主な著作:『牧畜世界の共生論理—カリモジョンとドドスの民族誌』(単著、京都大学学術出版会)、「武力に対抗する癒し─ウガンダ・ナイル系遊牧民の多文化医療」湖中真哉・太田至・孫暁剛(編)『地域研究からみた人道支援』(昭和堂)、「東アフリカ牧畜世界における擬人化/擬獣化」木村大治(編)『動物と出会う㈼—心と社会の生成』(ナカニシヤ出版)
池田 光穂(いけだ みつほ) 第4章
大阪大学COデザインセンター社会イノベーション部門教授、同副センター長
専門分野:医療人類学、コミュニケーションデザイン
主な著作:『実践の医療人類学—中央アメリカ・ヘルスケアシステムにおける医療の地政学的展開』(単著、世界思想社)、『看護人類学』(単著、文化書房博文社)、『認知症ケアの創造—その人らしさの看護へ』(編著)雲母書房、『コンフリクトと移民—新しい研究の射程』(編著、大阪大学出版会)、「子殺しと棄老—「動物殺し」としての殺人の解釈と理解について」シンジルト・奥野克巳編『動物殺しの民族誌』(共著、昭和堂)。
山田 仁史(やまだ ひとし) 第5章
東北大学大学院文学研究科准教授
専門分野:宗教民族学、神話学
主な著作:『首狩の宗教民族学』(単著、筑摩書房)、『いかもの喰い—犬・土・人の食と信仰』(単著、亜紀書房)、『新・神話学入門』(単著、朝倉書店)
オギュスタン・ベルク(Augustin BERQUE) 第6章
フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)教授、欧州学士院員
Msologie (風土学.環世界学)の提唱者
2009年に、欧米人として初めて福岡アジア文化賞大賞を受賞。
主な著作:『空間の日本文化』(単著、筑摩書房)、『都市の日本—所作から共同体へ』(単著、筑摩書房)、『風土の日本—自然と文化の通態』(単著、筑摩書房)、『風土学序説』(単著、筑摩書房)、『風景という知』(単著、世界思想社)、『理想の住まい—隠遁から殺風景へ(単著、京都大学学術出版会)』など
吉田 憲司(よしだ けんじ) 第7章
国立民族学博物館長、総合研究大学院大学教授
専門分野:文化人類学、博物館人類学
主な著作:『仮面の森—アフリカ・チェワ社会における仮面結社、憑霊、邪術』 (単著、講談社)、『文化の「発見」』(岩波書店)、『宗教の始原を求めて—南部アフリカ聖霊教会の人びと』(単著、岩波書店)
秋道 智彌(あきみち ともや) 序章、第1章、第2章、終章
山梨県立富士山世界遺産センター所長
専門分野:生態人類学
主な著作:『魚と人の文明論』、『越境するコモンズ』(単著、臨川書店)、『サンゴ礁に生きる海人』(単著、穃樹書林)、『漁撈の民族誌』(単著、昭和堂)、『コモンズの地球史』(単著、岩波書店)、『海に生きる』(単著、東京大学出版会)、『クジラは誰のものか』(単著、筑摩書房)
【執筆者】
フィリップ・デスコラ(Phillipe DESCOLA) I, II, III, IV
コレージュ・ド・フランス「自然の人類学」講座教授
専門分野:社会人類学
パリ高等研究実習院(EPHE)第6部門にてC・レヴィ=ストロースに師事し、1983年、パリ社会科学高等研究院(EHESS)にて社会人類学博士号を取得。以後、同院で講座主任・研究主任等を歴任。2000年、コレージュ・ド・フランス「自然の人類学」講座教授に就任。各国で客員教授、公開講座などを数多く務める。教育功労勲章、レジオン・ドヌール勲章、国家功労賞他、コスモス国際賞。
主な著作:Par-del nature et culture (ditions Gallimard), Beyond Nature and Culture. Janet Lloyd (trans.). (University of Chicago Press.), The Spears of Twilight L:fe and Death in the Amazon Jungle. Janet Lloyd (trans.). (New Press.), In the Society of Nature: a Native Ecology in Amazonia. Cambridge Studies in Social and Cultural Anthropology 93. Nora Scott (trans.). (Cambridge University Press.)
下山 大助(しもやま だいすけ) 翻訳(I、II、III、IV)、第8章
京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程
専門分野:近世ヨーロッパ史・哲学、宗教改革史、図像論争史
主な著作:〔翻訳〕アンヌ=ガブリエル・ヴェルサンジェ「プラトン対話篇『法律』における〈音楽〉」(榊原健太郎と共訳)(『帝京科学大学紀要』Vol. 10:215—226)
波佐間 逸博(はざま いつひろ) 第3章
長崎大学多文化社会学部准教授
専門分野:人類学・アフリカ地域研究
主な著作:『牧畜世界の共生論理—カリモジョンとドドスの民族誌』(単著、京都大学学術出版会)、「武力に対抗する癒し─ウガンダ・ナイル系遊牧民の多文化医療」湖中真哉・太田至・孫暁剛(編)『地域研究からみた人道支援』(昭和堂)、「東アフリカ牧畜世界における擬人化/擬獣化」木村大治(編)『動物と出会う㈼—心と社会の生成』(ナカニシヤ出版)
池田 光穂(いけだ みつほ) 第4章
大阪大学COデザインセンター社会イノベーション部門教授、同副センター長
専門分野:医療人類学、コミュニケーションデザイン
主な著作:『実践の医療人類学—中央アメリカ・ヘルスケアシステムにおける医療の地政学的展開』(単著、世界思想社)、『看護人類学』(単著、文化書房博文社)、『認知症ケアの創造—その人らしさの看護へ』(編著)雲母書房、『コンフリクトと移民—新しい研究の射程』(編著、大阪大学出版会)、「子殺しと棄老—「動物殺し」としての殺人の解釈と理解について」シンジルト・奥野克巳編『動物殺しの民族誌』(共著、昭和堂)。
山田 仁史(やまだ ひとし) 第5章
東北大学大学院文学研究科准教授
専門分野:宗教民族学、神話学
主な著作:『首狩の宗教民族学』(単著、筑摩書房)、『いかもの喰い—犬・土・人の食と信仰』(単著、亜紀書房)、『新・神話学入門』(単著、朝倉書店)
オギュスタン・ベルク(Augustin BERQUE) 第6章
フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)教授、欧州学士院員
Msologie (風土学.環世界学)の提唱者
2009年に、欧米人として初めて福岡アジア文化賞大賞を受賞。
主な著作:『空間の日本文化』(単著、筑摩書房)、『都市の日本—所作から共同体へ』(単著、筑摩書房)、『風土の日本—自然と文化の通態』(単著、筑摩書房)、『風土学序説』(単著、筑摩書房)、『風景という知』(単著、世界思想社)、『理想の住まい—隠遁から殺風景へ(単著、京都大学学術出版会)』など
吉田 憲司(よしだ けんじ) 第7章
国立民族学博物館長、総合研究大学院大学教授
専門分野:文化人類学、博物館人類学
主な著作:『仮面の森—アフリカ・チェワ社会における仮面結社、憑霊、邪術』 (単著、講談社)、『文化の「発見」』(岩波書店)、『宗教の始原を求めて—南部アフリカ聖霊教会の人びと』(単著、岩波書店)
まえがき
序章 人文知の脱構築—世界認識の大転換に向けて 秋道智彌
1 自然と文化の二元論と中心主義
2 アニミズムとトーテミズム
3 自然と文化の二元論を超えて
4 共生とコモンズ論
5 新しい知の構築にむけて
第I部 自然は人間に復讐するか
I 親切な獲物たち—アマゾニアの狩りにおける狩猟鳥獣のあつかい フィリップ・デスコラ
1 動植物の「人格」と意思疎通
2 動物を死に至らしめること
3 「罪悪感」のテーゼ
4 親族としての動物
第1章 クジラと人—日本人の自然観を解体する 秋道智彌
1 野生動物と人間
2 デスコラの野生動物論とクジラ
3 クジラと人の多様な関係性
4 長州捕鯨と鯨墓
5 金子みすゞと生命観
6 鯨墓からモニュメントへ
7 クジラ論から考えるデスコラの存在論
第2章 鳥人の形象論—扮装と変身 秋道智彌
1 鳥人の形象論—象徴・アイコン・儀礼
2 鳥人の実像
3 鳥人と変身の世界
4 鳥人と扮装・変換
5 鳥人イメージの伝播と変容
6 おわりに
第II部 自然は人間の友達か
II 「野生」と「馴化」 フィリップ・デスコラ
1 環境・土地の認識の仕方
2 アチュアール族における植物の「野生」と「馴化」
3 動物の「野生」と「家畜化」
4 「森」と「庭」
5 「サト」と「ヤマ」
6 「森」と「家」
7 「エクメーネ」と「エレーメ」
第3章 放牧と世界認識—東アフリカ牧畜社会の人—動物関係 波佐間逸博
1 はじめに
2 サバンナ牧畜民の日常生活
3 対他関係の独自性—個へのアテンション
4 異種間の身体コミュニケーションとしての群れ
5 重層体としての群れ、生きられる個体性
6 まとめにかえて
第4章 実験動物と神経生理学における「自然」について 池田光穂
1 自然の存在論について
2 実験動物の必要性
3 実験室のなかの動物
4 動物実験の秘義化
5 実験動物の位相—供犠とマテリアルの間
6 動物という自然の論証過程
7 結論
第III部 自然は主体性をもつか
III 自然は誰のものか フィリップ・デスコラ
第5章 デスコラのアニミズム論と逆Z形の精神史 山田仁史
1 アチュアール族の下で
2 健全なエキゾティシズム
3 存在論としてのアニミズム
4 人類精神史として
第6章 自然と主体性オギュスタン・ベルク
1 「誰」とはどういうものか
2 二元論の再検討
3 “Sujet”の多義性と危うさ
4 「自然」は natureであったのか
5 自然の主体性の外閉
6 赤ん坊は本当に「立つべくして立った」のか
7 「べく」を環世界学の立場で再考する
8 「コース」を環世界学の立場で再考する
第IV部 自然は境界を超えるか
IV 形象化のアトリエ フィリップ・デスコラ
第7章 仮面にみる自然と文化の表象 吉田憲司
1 はじめに
2 仮面の表情
3 ザンビア、チェワ社会の仮面結社「ニャウ」
4 「異界」の表象としての仮面
第8章 「形象化の人類学」の射程 下山大助
1 「自然の人類学」から「形象化の人類学」へ
2 「形象化の人類学」の理論的位相
3 「形象化の人類学」から「風景の人類学」へ
4 おわりに— 「開(ひら)かれ」としての「形象化」へ—
終章—自然と文化の脱構築から見える地平 秋道智彌
1 鳥人から考える三極モデル—自然・人間・超自然
2 野生と馴化の二元論を超えて
3 デスコラの自然主義・アニミズムをめぐって
4 形象化と風景論
5 類推主義の展開—複合体とメタ構造
6 主体性論と環境保全
あとがき
索 引
序章 人文知の脱構築—世界認識の大転換に向けて 秋道智彌
1 自然と文化の二元論と中心主義
2 アニミズムとトーテミズム
3 自然と文化の二元論を超えて
4 共生とコモンズ論
5 新しい知の構築にむけて
第I部 自然は人間に復讐するか
I 親切な獲物たち—アマゾニアの狩りにおける狩猟鳥獣のあつかい フィリップ・デスコラ
1 動植物の「人格」と意思疎通
2 動物を死に至らしめること
3 「罪悪感」のテーゼ
4 親族としての動物
第1章 クジラと人—日本人の自然観を解体する 秋道智彌
1 野生動物と人間
2 デスコラの野生動物論とクジラ
3 クジラと人の多様な関係性
4 長州捕鯨と鯨墓
5 金子みすゞと生命観
6 鯨墓からモニュメントへ
7 クジラ論から考えるデスコラの存在論
第2章 鳥人の形象論—扮装と変身 秋道智彌
1 鳥人の形象論—象徴・アイコン・儀礼
2 鳥人の実像
3 鳥人と変身の世界
4 鳥人と扮装・変換
5 鳥人イメージの伝播と変容
6 おわりに
第II部 自然は人間の友達か
II 「野生」と「馴化」 フィリップ・デスコラ
1 環境・土地の認識の仕方
2 アチュアール族における植物の「野生」と「馴化」
3 動物の「野生」と「家畜化」
4 「森」と「庭」
5 「サト」と「ヤマ」
6 「森」と「家」
7 「エクメーネ」と「エレーメ」
第3章 放牧と世界認識—東アフリカ牧畜社会の人—動物関係 波佐間逸博
1 はじめに
2 サバンナ牧畜民の日常生活
3 対他関係の独自性—個へのアテンション
4 異種間の身体コミュニケーションとしての群れ
5 重層体としての群れ、生きられる個体性
6 まとめにかえて
第4章 実験動物と神経生理学における「自然」について 池田光穂
1 自然の存在論について
2 実験動物の必要性
3 実験室のなかの動物
4 動物実験の秘義化
5 実験動物の位相—供犠とマテリアルの間
6 動物という自然の論証過程
7 結論
第III部 自然は主体性をもつか
III 自然は誰のものか フィリップ・デスコラ
第5章 デスコラのアニミズム論と逆Z形の精神史 山田仁史
1 アチュアール族の下で
2 健全なエキゾティシズム
3 存在論としてのアニミズム
4 人類精神史として
第6章 自然と主体性オギュスタン・ベルク
1 「誰」とはどういうものか
2 二元論の再検討
3 “Sujet”の多義性と危うさ
4 「自然」は natureであったのか
5 自然の主体性の外閉
6 赤ん坊は本当に「立つべくして立った」のか
7 「べく」を環世界学の立場で再考する
8 「コース」を環世界学の立場で再考する
第IV部 自然は境界を超えるか
IV 形象化のアトリエ フィリップ・デスコラ
第7章 仮面にみる自然と文化の表象 吉田憲司
1 はじめに
2 仮面の表情
3 ザンビア、チェワ社会の仮面結社「ニャウ」
4 「異界」の表象としての仮面
第8章 「形象化の人類学」の射程 下山大助
1 「自然の人類学」から「形象化の人類学」へ
2 「形象化の人類学」の理論的位相
3 「形象化の人類学」から「風景の人類学」へ
4 おわりに— 「開(ひら)かれ」としての「形象化」へ—
終章—自然と文化の脱構築から見える地平 秋道智彌
1 鳥人から考える三極モデル—自然・人間・超自然
2 野生と馴化の二元論を超えて
3 デスコラの自然主義・アニミズムをめぐって
4 形象化と風景論
5 類推主義の展開—複合体とメタ構造
6 主体性論と環境保全
あとがき
索 引