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スラバヤ 東南アジア都市の起源・形成・変容・転成

コスモスとしてのカンポン

布野 修司

菊上製・603頁

ISBN: 9784814003198

発行年月: 2021/02

  • 本体: 5,100円(税込 5,610円

2月末刊行予定

 
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内容

スラバヤ——インドネシア第二の都市。そこには,人間居住のひとつの形として人類史的な魅力を持つ「カンポン」が点在する。いわば「都市の中のムラ」と言うべき小住宅の密集区域。表通りの近代的都市の外観とは対照的な,しかし,生活の匂いと活気に満ちたその街区の歴史には,世界都市史のダイナミックな過程が,文字通り詰まっている。カンポン研究から出発し,世界の諸都市を踏破しその空間構造の起源と転成を詳らかにしてきた碩学が,再びカンポンへ帰り,「あるひとつの都市」の歴史を,グローバルヒストリーの一環として明らかにする。

プロフィール

布野 修司(ふの しゅうじ)
滋賀県立大学名誉教授,日本大学生産工学部特任教授
1949年,松江市生まれ。東京大学工学研究科博土課程中途退学,東京大学助手,東洋大学講師,助教授,京都大学助教授,滋賀県立大学教授・副学長を経て現職。工学博士(東京大学)。
専門は建築計画・アジア都市建築史。
『インドネシアにおける居住環境の変容とその整備手法に関する研究』で日本建築学会賞(1991年),『近代世界システムと植民都市』で日本都市計画学会賞論文賞(2005年,編著),『韓国近代都市景観の形成』(2010年,韓三建,朴重信,趙聖民との共著),『グリッド都市』(2013年,ヒメネス・ベルデホ ホアン・ラモンとの共著)で日本建築学会著作賞を受賞。

主な著書
『戦後建築論ノート』(1981年),『スラムとウサギ小屋』(1985 年),『住宅戦争』(1989年),『カンポンの世界』(1991 年),『住まいの夢と夢の住まい』(1997年),『裸の建築家』(2000年),『アジア都市建築史』(2003年,編著),『世界住居誌』(2005年),『近代世界システムと植民都市』(2005年,編著),『曼荼羅都市』(2006年),“Stupa and Swastika” (2007年,M.Pant との共著),『ムガル都市』(2008年,山根周との共著),『建築少年たちの夢』(2011年),『景観の作法』(2015年),『大元都市』(2015年),『東南アジアの住居』(2017年,田中麻里,チャンタニー・チランタナット,ナウィット・オンサワンチャイとの共著),『世界都市史事典』(2019 年,編著)など。

目次

口絵

 ある都市の肖像
 ジョハン・シラス
 カンポン
 スラバヤ
 カスケード

第I章 スロとボヨ Shark & Crocodile
 起源——Origins
 1 鮫と鰐——海と森の境界

Cascade A
 和邇——「ワニ」の地球生態文化圏
 2 宝石岬——ジャワ・ヒンドゥー王国の港市

Cascade B
 古マタラム——ジャワのインド化
   ヒンドゥー・マタラム
   シャイレーンドラ
   訶陵
   ムダン
 3 都市の「誕生日」1293年5月31日——モンゴル来襲

Cascade C
 クビライの外征——モンゴルの世紀
   モンゴルの世界
   高麗侵攻
   元寇
   樺太侵攻
   元緬戦争
   元越戦争
 4 マジャパヒト——最果てのヒンドゥー王国
   王統
   版図
   王都

Cascade D
 チャンディ——ヒンドゥー・仏教のコスモス

Space Formation I デサ Desa 村落 Village
 1 デサ・クルラハン・カンポン
 2 デサの構成
 3 デサとカンポン
 4 カンポンとコンパウンド
 5 ルーマー・アダット——オーストロネシア世界の伝統的住居
   高床式住居
   船形住居
   倉型住居
   円形住居
   ジョグロ
 6 家社会——集まって住むかたち
   ロングハウス
   レーマー・ガダン——ミナソカバウ
   フターリペ——バタック諸族
   トンコナン——サダン・トラジャ
   プカランガン——ジャワとマドゥラ

第II章 スナン・アンペル Sunan Ampel
 形成——Formation
 1 ワリ・ソンゴ——イスラーム聖者
   サムドラ・パサイ
   マウラナ・マリク・イブラヒム
   ヴィジャヤ
   アンペル・ファミリー
   ファタヒラ
   スナンとジャワ文化

Cascade E
 イスラーム・ネットワーク
   イスラームの成立
   イスラームの陸路東漸
   テュルク化
   海のシルクロード
   イブン・バットゥータ
 2 デマ——ジャワ最初のイスラーム王国
   トメ・ピレスのジャワ
   王都デマ
   ジャカトラとバンテン
   トゥレンガナ

Cascade F
 交易時代の東南アジア
   鄭和の大航海
   リーフデ号
   南洋日本町
 3 マタラム——ジャワ・イスラーム王国
   スナン・カリジャガ
   コタグデ
   スルタン・アグン
   移動する王都

Space Formation II アルン・アルン Alun Alun 都市核 Urban Core
 1 アルン・アルン・チョントン——スラバヤの原像
 2 クラトン
 3 アンペル・モスク
 4 プロヴィデンティエ要塞

第III章 オランダ Holland
 変容——Transformation
 1 VOC
   ヤン・ピーテルスゾーン・クーン
   バタヴィア建設
   オランダ・アジア・ネットワーク

Cascade G
 ヤン・ファン・リーベック——ケープタウンの建設者
   クレンボルグ
   ホラント号
   バタヴィア——アチェ
   出島
   トンキン
   スヒーダム
   ケープタウン
   バタヴィア——マラッカ
 2 ジャワ全島支配
   プリアンガン
   王侯領——ジョクジャカルタ
   VOC解散

Cascade H
 「じゃがたらお春」と「おてんばコルネリア」
   バタヴィアの日本人
   じゃがたらお春
   おてんばコルネリア
 3 蘭印
   地方行政制度
   デサの再編
   プランテーション
   サトウキビと水稲

Cascade I
 インヴォリューション
   カルチュラル・インヴォリューション
   ジャワ経済論
   ギアツのインヴォリューション・テーゼ
   社会経済史学のギアツ批判
   ギアツの反批判
   アーバン・インヴォリューション
   サステイナブル・インヴォリューション

Space Formation III へメーンテ Gemeente 自治体 Commune
 1 カリマス城
   ダーンデルス
   ラッフルズ
   シンガポール
   スラバヤ 1825-1866
 2 タンジュン・ペラ——港湾
 3 コタとグブン——鉄道駅
 4 ボフェンスタット——アッパータウン
 5 トロピカル・オランダ——近代建築
   H.P.ベルラーヘ
   H.M.ポント
   H.T.カールステン
   C.シトロエン
   スラバヤ縦断

Cascade J
 オランダ近代建築運動
   『現代オランダ建築』
   オランダ近代建築の父
   アムステルダム・スクール
   デ・ステイル
   新即物主義

第IV章 スラバヤ11月10日 Surabaya, Sepuluh Nopember
 転生——Metamorphosis
 1 インドネシア
   スカルノ
   行政組織
   第1次世界大戦
   世界恐慌
 2 日本占領
   クンバン・ジュプン
   南洋スマラン博覧会
   南洋協会
   大東亜共栄圏
   スラバヤ沖海戦
   日本軍政
   隣組
   ジャワ防衛義勇軍
 3 独立戦争
   独立宣言
   国旗掲揚事件——ヤマトホテルの騒擾
   スラバヤ 11月10日
   未完の革命
 4 新秩序——開発独裁
   9.30事件
   ゲシュタプ Gestapu
   閉鎖と排除
   人口爆発
   パンチャシラ民主主義
 5 トゥリ・リスマハリーニ

Cascade K
 メガ・アーバニゼーション
   プライメイト・シティ
   過大都市化
   拡大大都市圏EMR

Space Formation IV カンポン Kampung 都市村落 Urban Village
 1 RTと隣組
 2 スラバヤのカンポン
   カンポンの名前
   カンポンの人口
   3つのカンポン
   カンポン・ウジュン
   カンポン・サワハン
   カンポン・ドノレジョ
 3 ルーマー・カンポン
   ルーマー・カンポンの類型
   ルーマー・カンポンの変容
   カンポンの構成原理
 4 カンポン・インプルーブメント・プログラム KIP
   KIPという手法
   KIPの歴史
   KIPの展開
   W.R.スプラットマンKIP
   ワールド・バンクKIP
   総合的KIP
   クリーン&グリーン KIP
   カンポン・ラワス
 5 ルスン
   コア・ハウス
   コア・ハウスの諸形態
   コア・ハウスの拡張形態
   ルーマー・ススン
   ルスンの建設
   ルスンの空間構成
   ルスンの変容
   スラバヤ・エコハウス
 6 カンポン曼荼羅

Cascade L
 51CとnLDK
   バラックの海
   51C
   nLDK


 1 都市のグローバル・ヒストリーヘ——「都市組織」研究の経緯
   カンポンの世界
   「イスラームの都市性」
   チャクラヌガラ
   植民都市研究
 2 東南アジア都市としてのスラバヤ
   オーストロネシア世界
   曼荼羅都市
   大モンゴルウルス
   イスラーム都市
   ヨーロッパ覇権以前
   近代植民都市
   産業革命
   ポスト・コロニアル
   グローバリゼーション
 3 カンポンの基本原理
   想像の共同体と隣組
   インヴォリューションと貧困の共有
 4 エコ・カンポン・モデル
   脱建築計画学
   カンポン・ハウジング・システム
   アジア・エコシティ・モデルヘ

あとがき

参考文献
Johan Silas 関連論文
著者関連論文
インドネシア調査リスト
索引
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