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プリミエ・コレクション 80

レゲエという実践

ラスタファーライの文化人類学

神本 秀爾

A5上製・272頁

ISBN: 9784814000876

発行年月: 2017/03

  • 本体: 3,900円(税込 4,290円
  • 在庫なし
 
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内容

奴隷の子孫たちが 、もともとは植民者のものであったキリスト教の聖書を参照しながら、自分たちの苦難に意味を与え、救済に繋げるために作り上げてきた思想・実践の総体であるラスタファーライ(ラスタ)。その音楽的顕れであるレゲエは、ラスタのメッセージを広める役割を果たしてきたが、一方で、俗世間を支配する悪魔的なものと見なされることもあった。ジャマイカと日本を舞台に、ポスト・レゲエともいうべきダンスホールまで視野に置きつつ、ラスタの生活世界を描き出す。

書評

『レコード・コレクターズ』2017年6月号、22頁、評者:鈴木孝弥氏
『人環フォーラム』36号、57頁、評者:山内熱人氏
『ラテンアメリカ・カリブ研究』25号、57-60頁「自著紹介」
『宗教と社会』24号、205頁、評者:白波瀬達也氏
『コンタクト ・ゾーン』10号、360-367頁、評者:山本達也氏

プロフィール

神本 秀爾(かみもと しゅうじ)
1980年生まれ, 久留米大学文学部講師.
博士(人間・環境学)(京都大学)
専門 文化人類学
主著 「加工を通じて雄弁な身体を獲得する――肌を脱色するジャマイカ黒人の新たな美学」(『黒人研究』85, 2016). ‘Influence of Reggae Music on Economic Activities of EABIC Rastafarians in Jamaica’, (Caribbean Quarterly 61(1), 2015). 「地球とのつながりを強固にする――日本におけるラスタファーライの受容について」(『宗教と社会』21, 2015)など.

目次

まえがき

序 章
1 黒い大西洋から日本へ
2 なぜ「宗教ではない」ものが重要なのか
3 ラスタファーライとは何か
4 ラスタファーライの位置づけ
5 構成
6 調査の概要

第 I 部 ジャマイカというフロンティア

第 1 章 調査地とラスタファーライの概略
1 ジャマイカとジャマイカ人の概要
2 奴隷制社会の系譜
3 宗教の系譜
4 ラスタファーライの展開史

第 2 章 エチオピア・アフリカ黒人国際会議派の概略
1 エマニュエルと会議派の歴史
2 会議派の信念
3 社会構造と諸規範
4 空間の管理
5 時間の管理
6 信徒の概略

第 3 章 プリンス・エマニュエル死後の経済活動の変化
1 背景
2 ワラ製品
3 クラフト
4 商業音楽
5 アイタル
6 会議派のネットワークの再編

第 4 章 会議派系ミュージシャンの信徒らしさ
1 ポピュラー音楽シーンにおける会議派系ミュージシャン
2 受容のされ方
3 「不純」な信徒らしさ
4 ボボ・シャンティからのまなざし
5 曖昧な境界

第 5 章 ディアスポラ黒人中心主義の揺らぎ
1 ディアスポラ黒人中心主義とマイノリティ信徒
2 歴史経験の差異
3 アフリカ帰還要求運動への参与の仕方の差異
4 肌の色を問わない連帯

第 II 部 日本というフロンティア

第 6 章 日本におけるラスタファーライの概要と展開
1 日本人ラスタの概要
2 歴史的展開

第 7 章 ラスタファーライと日本のルーツとの接合
1 代表的著作にみる救済観
2 日本人でありラスタであることについて
3 土地の文化を愛でること

第 8 章 ラスタになり、ラスタとして生きる
1 宗教と呼ぶことへの違和感
2 6 人の語り
3 4 つの視点
4 他者との共感の回路を残すこと

第 9 章 ラスタファーライを介した地域への愛着とまちづくり
1 楽曲制作の背景
2 作品の制作過程
3 ワカサをレペゼンする
4 ワカサという協働の空間

終章 身体を起点に据えること
1 第I部についての考察と結論
2 第II部についての考察と結論
3 まとめに代えて

あとがき
引用文献
索 引
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