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ほろ酔いの村

超過密社会の不平等と平等

篠原 徹

A5並製・252頁

ISBN: 9784814001941

発行年月: 2019/03

  • 本体: 2,800円(税込 3,080円
  • 在庫あり
 
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推薦

私たちの社会と対極をなす世界があった。エチオピアのコンソ村に住んだ体験をもとに描き出した日本の常識とは、「山の下に住む」、「ビールは嗜好品」、「プライバシーの尊重」の3つだった。それを覆すコンソ社会は酒と土器の経済が均衡を保つ、もう一つの近代の可能性を示している。そこには人類が追い求めてきた「平等社会」という見果てぬ夢が今も眠っている。驚きのエピソードを基に語る筆者の透徹した哲学に耳を傾けよう。
京都大学総長 山極寿一

内容

主食はビール! エチオピアの山上の村で人類学者が出会ったのは、超過密社会で暮らすほろ酔いで勤勉で、とってもケチな人々だった。近代化を突き進む世界から失われつつある社会に、不平等を生み出さない知恵を見る。

プロフィール

篠原徹(しのはら・とおる)
1945年中国長春市生まれ。民俗学者。京都大学理学部植物学科、同大学文学部史学科卒業。専攻は民俗学、生態人類学。国立歴史民俗博物館教授を経て、2019年3月まで滋賀県立琵琶湖博物館館長。従来の民俗学にはなかった漁や農に生きる人々の「技能」や自然に対する知識の総体である「自然知」に目を向ける(「人と自然の関係をめぐる民俗学的研究」)。著書に『自然と民俗―心意のなかの動植物』(日本エディタースクール出版部、1990年)、『海と山の民俗自然誌』(吉川弘文館、1995年)、『アフリカでケチを考えた―エチオピア・コンソの人びとと暮らし』(筑摩書房、1998 年)、『講座・生態人類学7 エスノ・サイエンス』(共編、京都大学学術出版会、2002年)、『自然とつきあう』(小峰書店、2002年)、『自然を生きる技術―暮らしの民俗自然誌』(吉川弘文館、2005年)、『自然を詠む―俳句と民俗自然誌』(飯塚書店、2010年)、『酒薫旅情』(社会評論社、2014年)など。

目次

はじめに  
第1章 山の上に住む、ほろ酔いの人びと 
1 コンソに出会う
2 山の頂上にある超過密空間
3 水汲み値段の上がり方
4 狙われたガラス瓶 

第2章 畑の中の墓標
1 農耕民、コンソ  
2 祖先と神あるいはハウラとワーガ  
3 ブッカと老人たち  

第3章 不毛の大地を耕し段々畑を作る
1 斜面に段々畑を作る  
2 農耕と家畜  
3 生活と労働  
4 コンソの農耕の特色  

第4章 屋根の上の土器
1 サウガメ村集落図  
2 問題の所在  屋根の上の土器   
3 サウガメの集落構造と社会構造  
4 社会を映す土器  
5 社会構造と土器  

第5章 土器と市場の生態学
1 はじめに  
2 土器作りハウダと農民エダンダ  
3 土器作りの生態学的問題  
4 ハウダの土器作りとエダンダの使用法  
5 ハウダの土器の供給量とエダンダの土器の需要量  
6 土器需給のバランス  

第6章 土器と織物の村 ――分業は不平等社会への橋渡しとなるか
1 はじめに  
2 不平等社会起源論  
3 土器と織物の分業論  
4 土器作りの並立化  
5 機織りの内部化  
6 不平等社会は余剰を蓄積するか  
7 商品としての土器と市場の機能  
8 おわりに  美しい村と吝嗇   

おわりに  

初出情報  
あとがき  
コラム
 コンソの食事  
 クーファと牛糞  
 コンソと弥生時代  
索引 
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