ホーム > 書籍詳細ページ

プリミエ・コレクション 107

浮島に生きる

アンデス先住民の移動と「近代」

村川 淳

A5上製・426頁

ISBN: 9784814002672

発行年月: 2020/03

  • 本体: 4,800円(税込 5,280円
  • 在庫あり
 
  • mixiチェック

内容

ペルー・ティティカカ湖――水鏡を小舟で移動する先住民は、押し寄せる国家管理の圧力と近代化から、浮島がつくる迷路のなかへ逃れ、したたかに逆利用する。寄せては返す波のような生は、ネグリ/ハートのいう〈帝国〉に席捲される我々に別の風景を見せる。捉えようとすれば逃れる彼らの背中を追いつづけた著者が、浮動する生を描き出す

書評

『ラテンアメリカ時報』2020年春号 No.1430、12頁、評者:桜井敏浩氏
『図書新聞』2020.7.25付「2020上半期読書アンケート」、選者:崎山政毅氏

プロフィール

村川淳(むらかわあつし)
1980 年東京都生まれ。京都大学大学院農学研究科博士課程修了、博士(農学)。現在、京都大学、滋賀大学などで非常勤講師をつとめる。専門はラテンアメリカ地域研究。主な論文に「浮島と都市の「あいだ」ペルー・ティティカカ湖における水上交通の再編とロス・ウロス社会の観光化」(『ラテンアメリカ研究年報』32 号、2012 年)、「南米ペルー・アンデス先住民社会における身分証明書の普及と徴兵制」(『コンタクト・ゾーン』11号、2019年)などがある。

目次

はじめに

序章
第一節 反転した世界からの眺め
第二節 問題の所在
第三節 本書のアプローチ ――浮島先住民の移動を捉える
第四節 本書の構成

第一章 ペルー・アンデス先住民と研究者の出会い方
第一節 ペルー南部・アンデス先住民の「近代」
第二節 アンデス先住民研究の進展 ――移動論との連関を中心に
第三節 残された問題

第二章 移動する先住民の土地権利主張
    ――ティティカカ国立保護区との相克をめぐるアポリア
はじめに
第一節 本章の視角
第二節 ティティカカ湖岸湿地帯の先住民とトトラ群生地
第三節 ペルー革命(一九六八年)と先住民社会への介入
第四節 ティティカカ国立保護区
第五節 国立保護区の再介入と先住民の権利主張
おわりに

第三章 独自圏域としての湖水域 ――水上交通の再編と移動する浮島
はじめに
第一節 ティティカカ湖一帯における道路整備とその限界
第二節 湖岸先住民社会における水上交通技術の再編
第三節 浮島における展開
第四節 浮島の現在
おわりに

第四章 浮島の観光化と交易活動の再編 ――貨幣の流れに注目して
はじめに
第一節 本章の視角
第二節 湖上を行き交う先住民 ――一九六〇年代を中心に
第三節 浮島生活者の生業・交易活動の基層 ――観光化以前
第四節 観光化 ――貨幣の直接流入
第五節 観光と漁撈を行き渉る ――個別事例からの検討
おわりに

第五章 引きずり出された先住民 ――浮島における身分証明書の普及と徴兵制
はじめに
第一節 ペルー国民登録制度
第二節 強制連行と兵役経験 ――ティティカカ湖岸湿地帯の地政学
第三節 出生登録 ――浮島に送り込まれたエージェント(一九五九年)
第四節 軍事政権期における登録の徹底
第五節 一九八〇年代以降の諸展開
おわりに

第六章 海岸地域への跳躍 ――新世代のライフヒストリーを中心に
はじめに
第一節 浮島から都市近郊へ ――姉妹の幼少期
第二節 海岸地域への道
第三節 姉の結婚、独立
第四節 海岸地域への跳躍とその失敗
おわりに

第七章 貨幣の奔流を生きる ――観光をめぐる現在
はじめに
第一節 本章の視角
第二節 浮島観光の概要
第三節 観光への期待
第四節 観光の現実
第五節 観光へと繋ぎ止められる人びと ――躓きの所在をめぐる語り口
第六節 「善意」が生み出す奈落 ――マイクロクレジットと負債の環流
おわりに

第八章 境界への囲い込みに抗う移動実践とその合流 ――自然資源利用に注目して
はじめに
第一節 本章の視角
第二節 今日の保護区管理 ――伝統的領域の画定と参加型管理
第三節 狩猟活動 ――高速化する移動とトトラの茂み
第四節 漁撈活動 ――保護区外部へと広がる動線
第五節 トトラ利用 ――失われる速度
おわりに

終章

参考文献
あとがき
索引
このページの先頭へ