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学術選書 104

日本書紀の鳥

山岸 哲・宮澤 豊穂 著

四六並製・294頁

ISBN: 9784814004058

発行年月: 2022/05

  • 本体: 2,200円(税込 2,420円
  • 在庫あり
 
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内容

『日本書紀』には数多くの鳥が登場する。『万葉集』も同様だ。ところが登場する種とその頻度に注目すると,明らかに『日本書紀』と『万葉集』には違いがあるのだ。それは何故か? 分布や形態・生態などの生物学的推論,記述のされ方の違いへの着目など,文字通り文理双方の視点からの考察で,古代人と鳥との関わりに迫り,政治史の中に現れる生き物の謎に迫る。フルカラー

書評

「信濃毎日新聞」2022年5月18日付朝刊 社会面
「週刊長野」2022年5月28日付
「琉球新報」2022年6月5日付
「神奈川新聞」2022年6月5日付
「京都新聞」2022年6月11日付
「宮崎日日新聞」2022年6月11日付
「佐賀新聞」2022年6月12日付
「読売新聞」2022年6月21日付朝刊 京都
「秋田魁新報」2022年6月26日付
「岐阜新聞」2022年6月26日付
「文春オンライン」2022年6月29日公開
https://bunshun.jp/articles/-/55501
「産経新聞」2022年7月10日付
「西日本新聞」2022年7月16日付
「静岡新聞」2022年8月7日付
「山階鳥研NEWS」第303号(Vol.34 No.5)
「農民文学」331号
「どうぶつと動物園」2022年秋号(第728号)、43頁、紹介:渡部浩文氏
「河北新報」2022年9月18日付
「バードリサーチ」2022年4月30日
http://blog.bird-research.jp/article/189503660.html
「どうぶつと動物園」2023年夏号(第731号)、32頁、講演:『日本書紀の鳥』について、紹介:渡部浩文氏

プロフィール

山岸 哲(やまぎし さとし)
 昭和14(1939)年,長野県須坂市に生まれる。信州大学教育学部卒業(京都大学理学博士)。大阪市立大学理学部教授,京都大学理学部教授,山階鳥類研究所長,新潟大学朱鷺・自然再生学研究センター長,兵庫県立コウノトリの郷公園長を歴任。この間,日本鳥学会長,応用生態工学会長などを務める。『BirdsNote』(信濃毎日新聞社),『モズの嫁入り』(大日本図書),『マダガスカル自然紀行』(中央公論新社),『けさの鳥』(朝日新聞社),『げんきくん物語』(講談社),『日本の希少鳥類を守る』(編著, 京都大学学術出版会)など著書・編書・訳書多数。平成11(1999)年に山階芳麿賞受賞。平成19(2007)年に環境大臣表彰。大阪市立大学名誉教授。

宮澤豊穂(みやざわ とよほ)
 昭和25(1950)年,長野県上水内郡戸隠村(現長野市)に生まれる。地元の小中学校卒業を経て,長野高校へ進学。伊勢の皇学館大学文学部国史学科卒業後,長野県内の中学校に勤務。その間『日本書紀』の全訳に取り組み,平成21(2009)年に「ほおずき書籍」より上梓。平成元(1989)年には,戸隠神社に奉仕する聚長に就任。教員退職後は,戸隠神社伝来の御神楽の楽長職を拝命。現在は,「笑顔を広げる」「『日本書紀』に学ぶ」を2 本柱として,「豊穂塾」を主宰。平成22(2010)年に神社本庁内財団法人神道文化会より出版功労章受章。

挿絵画家紹介

小林重三(こばやし しげかず; 1887~1975年)
 福岡県小倉市(現・北九州市)に生まれる。大正8(1911)年,松平頼孝子爵の招きで上京。「松平鳥類標本館」で標本を見ながら,鳥類図鑑の鳥類画を専門に描き続けた。現代日本の鳥類・動物画の草分けといわれ,わが国の鳥類三大図鑑とされる黒田長禮の『鳥類原色大図説』,山階芳麿の『日本の鳥類と其生態』,清棲幸保の『日本鳥類大図鑑』に鳥類画を多数描いた。本書のほとんどの鳥類図は,昭和49(1974)年に講談社より出版された内田清之助の『最新日本鳥類図説』より小林重三の描いた絵図を複製したものである。絵図は黒田長禮や山階芳麿の厳しい指導の下,正確無比であることは言を待たないが,それだけではなく,松平頼孝の助言によって,温かく生き生きと描かれている。
 小林重三の生涯については国松俊英の『鳥を描き続けた男』(晶文社)に詳しい。

目次

まえがき

1章 鶺鴒──伊奘諾尊・伊奘冉尊に性教育?
   閑話鳥題 1  キセキレイの水洗トイレ
2章 鶏──常世の長鳴き鳥は東南アジアから
   閑話鳥題 2 鳥居の起源
3章 翡翠(鴗爲)──皇居の翡翠
   閑話鳥題 3 カワセミの求愛給餌
4章 鷦鷯──天皇の名前になった鳥
   閑話鳥題 4 鷦鷯天皇
5章 鵜──『日本書紀』に鵜飼の起源
   閑話鳥題 5 外国にもあった鵜飼
6章 千鳥──疑いをかけられた木花の開耶姫
   閑話鳥題 6 千鳥足
7章 八咫烏──八咫烏は群れだった?
   閑話鳥題 7 八咫烏と蹴球
8章 鴫──しぎの罠にイノシシが掛かる
   閑話鳥題 8 辛酉(かのと・とり)
9章 金鵄──金鵄は陰陽五行説から?
   閑話鳥題 9 金鵄と校章
10章 桃鳥・桃花鳥──桃花鳥はトキではない?
   閑話鳥題 10 添い遂げたウモウダニ 日本産トキと一緒に絶滅
11章 雀──雀魚とはハリセンボン
   閑話鳥題 11 日本にスズメは何羽いるのか
12章 白鳥── 鳴鵠はハクチョウか,それともコウノトリか?
   閑話鳥題 12 豊岡市の「久々比神社」
13章 覚賀鳥──料理の祖神・磐鹿六雁命の故事
   閑話鳥題 13 鶚鮨
14章 鳰鳥──潜りのスペシャリスト
   閑話鳥題 14 カイツブリの親子
15章 鴨──古代から天皇はかも猟がお好き
   閑話鳥題 15 鴨にする
16章 木菟──木菟宿禰は本当は鷦鷯宿禰
   閑話鳥題 16 コノハズクとブッポウソウ
17章 隼──隼は鷦鷯より手が速い
   閑話鳥題 17 JAXAの「はやぶさ」「こうのとり」
18章 鷹──鷹狩の起源と鷹匠の埴輪
   閑話鳥題 18 鷲と鷹はどう違う?
19章 雁──「意味不明」の歌から種を推測してみる
   閑話鳥題 19 堅田の落雁
20 章 百舌鳥── 仁徳陵(百舌鳥耳原中陵)の周りはモズだらけ
   閑話鳥題 20 モズのはや贄
21章 鳩──兄妹の禁断の愛の忍び泣き
   閑話鳥題 21 平和の鳩,戦闘の鳩,オリンピックの鳩
22章 鵞鳥──呉からの献上品を犬に噛み殺された話
   閑話鳥題 22 侮蔑語と鳥
23章 孔雀──孔雀の尾はなぜ立派なのか
   閑話鳥題 23 空想の鳥 朱雀と鳳凰
24章 鵲──大伴家持も驚愕する伝来の歴史
   閑話鳥題 24 鵲の渡せる橋に置く霜の
25章 斑鳩──「斑鳩」は,なぜ「いかるが」か
   閑話鳥題 25 斑鳩の里
26章 休留・茅鴟──四方八方を見通せるフクロウは知恵者
   閑話鳥題 26 知恵の神様
27章 雉──「天に赤い気」はオーロラか?
   閑話鳥題 27 鳴かずば雉も射られざらまし
28章 鸚鵡──新羅からの容姿端麗な人質が届けた鳥
   閑話鳥題 28 オウムとインコの違い
29章 鴛鴦──あやしくなってきた「鴛鴦の契り」
   閑話鳥題 29 鴛鴦之契
30章 燕──尾羽の長いツバメほどもてる
   閑話鳥題 30 若いツバメ
31章 山鶏──日本鳥学会の「シンボル」
   閑話鳥題 31 ヤマドリの復活
32章 臘子鳥──大群をなすから「集鳥」
   閑話鳥題 32 霞網
33章 巫鳥──「神聖な・占いをする」巫鳥
   閑話鳥題 33 佐久の草笛
34章 鸖──種名判定は難しい
   閑話鳥題 34 マナヅルの渡り経路と非武装地帯
35章 古代の政治と鳥──なぜホトトギスやウグイスが登場しないのか
   閑話鳥題 35 白色レグホーン

あとがき
謝辞
付表1 万葉集(登場首数)と『日本書紀』に現れた鳥類の登場回数
引用文献
事項・人名(神名)索引
種名索引
著者略歴・挿絵画家紹介
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