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東洋史研究叢刊之八十一

中国前近代の貨幣と財政

宮澤 知之

A5上製・635頁

ISBN: 9784814004980

発行年月: 2023/12

  • 本体: 9,800円(税込 10,780円
  • 在庫あり
 
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内容

中国歴代王朝は試行錯誤を繰り返し、貨幣を厳格に確定させようとした。銅銭と布帛(実物貨幣)が用いられた春秋戦国から唐末五代、銭・幣が用いられた宋代から明初まで、実物貨幣と財政貨幣の変遷を通史的に描く。

プロフィール

宮澤知之(みやざわ ともゆき)
1952年生まれ。1982年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程指導認定退学。
佛教大学文学部助手、専任講師、助教授、教授、同大学歴史学部歴史学科教授を経て、2023年3月退職。現在、佛教大学名誉教授、京都大学博士(文学)。専門は、中国財政史·中国貨幣史。
主な著作
『宋代中国の国家と経済——財政・市場・貨幣』(創文社、1998年)
『中国銅銭の世界田——銭貨から経済史へ』(思文閣出版、2007年)
『宋代社会経済史論集』(汲古書院、2022年)

目次

序 論

第1部 総 論

第1章 中国専制国家財政の展開
緒言
1 伝統的財政観——財用と量入為出
2 唐清間、専制国家財政の展開
 (1)唐前半租調役制下の財政
 (2)唐後半五代両税法下の財政
 (3)宋代両税法下の財政
 (4)明代の実物財政と銀財政
 (5)清代の原額主義財政
結語

第2章 中国専制国家の財政と物流—宋明の比較
緒言
1 専制国家の財政と物流
2 財政と物流の宋明比較
 (1)国防と国都維持を目的にした物流
 (2)財政と貨幣
結語

第3章 中国史上の財政貨幣
緒言
1 実物貨幣と財政貨幣
2 財政貨幣の歴史的展開
結語

第2部 財政貨幣史各論1——先秦から五代十国まで

第4章 中国古代における銭貨統一の諸段階
緒言
1 戦国末の通貨状況——古代銭貨統一の第一段階
 A 韓魏趙燕
 B 燕斉
 C 秦
 D 楚
2 秦の統一——古代貨幣統一の第二段階
3 五銖銭の登場——古代貨幣統一の完成
結語

第5章 財政貨幣の確立——前漢の通貨政策
緒言
1 実物データに見る漢半両
2 漢初貨幣史研究の文献上の問題
3 漢初の通貨状況と政策
結語

第6章 前漢銭法の変遷
緒言
1 秦
2 漢初(前206ー前202)——漢王時代の民鋳許可
3 「二年律令」の規定——盗鋳棄市
4 顧租公鋳法下の民鋳
5 景帝中元6年の鋳銭偽黄金棄市律以後
結語

第7章 五銖銭の鋳造額
緒言
1 「二百八十億万餘」をめぐる学説
2 億の注釈
3 法数
4 「億万」とは何か
5 「二百八十億万餘」の解釈
結語

第8章 魏晋南北朝時代の貨幣経済
緒言
1 短陌
2 文・陌・貫の成立
(1)「文」の成立
(2)「貫」の成立
(3)「陌」の成立
3 魏晋南北朝の通貨事情
結語

第9章 唐代の貨幣経済
緒言
1 唐前半期の通貨状況
2 銭重物軽とその対策
3 元和15年の財政改革
4 唐末の状況
結語——唐から宋へ

第10章 五代十国時代の通貨状況
緒言
1 研究概況と本章の視点
2 五代十国の銭貨の特徴
 (1)華北の五代王朝
 (2)前蜀・後蜀
 (3)呉越・閩・楚
 (4)南漢
 (5)江南の大国、南唐
 (6)燕
 (7)呉・荊南・北漢
3 五代十国時代の通貨圏
結語

第3部 財政貨幣史各論2——宋代から明末清初まで

第11章 北宋交子論
緒言
1 私交子の性質
2 交子の変遷と性質
 (1)天聖の官営化と初期の交子
 (2)慶暦から皇祐——交子の陝西への移送
 (3)熙寧の改革以後——河東交子法と陝西交子法
 (4)紹聖から崇寧——交子発行額の増大
3 大観の改革——紙幣への転化
結語

第12章 金代前期の幣制
緒言
1 銅銭の状況
2 交鈔の問題
(1)交鈔とは何か
(2)交鈔の性格の変化
結語

第13章 金代後期の幣制
緒言
1 大鈔の渋滞とその対処
2 合同交鈔
3 貞祐宝券およびその後の鈔
4 小鈔
5 銀と銀鈔
結語

第14章 元朝の財政と鈔
緒言
1 元朝の財政統計と基準鈔
(1)元朝歳入の推移
(2)雑種幣制時期——中統以前
(3)中統幣制時期
(4)第1次至元幣制時期
(5)至大幣制時期
(6)第2次至元幣制時期
(7)至正幣制時期
(8)財政統計と運用の実質
2 歳入における鈔額の変遷
(1)塩課紗額
(2)鈔の印造額
結語

第15章 元朝の商税と財政的物流
緒言
1 商税額の時間的推移と空間的分布
 (1)時間的推移
 (2)空間的分布
 (3)正額(定額)
2 江南——北中国間の財政的物流
 (1)海運糧
 (2)大運河漕運
 (3)財政的物流

第16章 元代後半期の幣制とその崩壊
緒言
1 至大の幣制改革
2 至正の幣制改革
3 元朝崩壊期の通貨状況
結語

第17章 権鈔銭に見る元代民間の通貨ルール
緒言
1 至正権鈔銭
2 支鈔半分銭ほか
3 権鈔銭の意義
結語

第18章 元末の至正権鈔銭と通貨政策
緒言
1 至正権鈔銭の機能
 (1)至正権鈔銭に関する諸学説
 (2)至正権鈔銭に関する私見
2 元最末期における貨幣使用の分裂
結語

第19章 明初の通貨政策
緒言
1 大明通行宝鈔発行以前の通貨政策
2 宝鈔発行以後の鈔と銭
3 鈔銭銀の関係と鈔法不行
結語

附論1 元上都路興州(河北省隆化県)発見の文書
緒言
第1文書 至正時期失剌斡耳朶有関九眷殿炭戸夏衣銭粮文
第3文書 元至正二十一年四月民間契約
第4文書 至正廿二年王清甫典地契
第5文書 民間契約
第6文書 永昌庫放支官吏俸鈔賑

附録2 明末清初の銭と銀
緒言
1 明末清初の銅銭
2 紀重銭と銀
3 銀の流入
結語

終章 中国財政貨幣史研究の総括

あとがき
中文提要
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