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学術選書 118

プラトンのプラトニック・ラブ

國方 栄二

四六並製・242頁

ISBN: 9784814005888

発行年月: 2025/04

  • 本体: 2,000円(税込 2,200円
  • 在庫あり
 
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内容

プラトニック・ラブは一般に性愛をともなわない純粋な恋愛と理解されているが、もともとプラトンが語る恋愛はそのような性格のものではなかった。哲学=知への愛(ピロソピアー)はエロース(恋愛)やマニアー(狂気)という言葉で表現される。神話ではエロースは翼をもつ神であるが、真実在に向かって飛翔する人間の魂と重ね合わせられる。本書はいくつかの対話篇、同時代からの情報を手がかりに、プラトンが語るプラトニック・ラブの本質を明らかにする。

プロフィール

國方 栄二(くにかた えいじ)
1952年生まれ、大阪在住。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学、京都大学博士(文学)

主な著訳書
(著作)『哲人たちの人生談義―ストア哲学をよむ』(岩波新書、岩波書店、2022)、『ストア派の哲人たち』(中央公論新社、2019)、『ギリシア・ローマの智恵』(未知谷、2016)、『プラトンのミュートス』(京都大学学術出版会、2007)など。(翻訳)『ヒポクラテス医学論集』(岩波文庫、岩波書店、2022)、エピクテトス『人生談義』(2冊、岩波文庫、岩波書店、2020-21)、『アリストテレス全集19~20 著作断片集』(岩波書店、2014-18)、アルビノス他『プラトン哲学入門』(共訳、西洋古典叢書、京都大学学術出版会、2008)、『ソクラテス以前哲学者断片集I~III』(共訳、岩波書店、1996-97)など。(論文、エッセイ)「清沢満之とエピクテトス」(『親鸞教學』大谷大学真宗学会親鸞教学編集部編、2023, 12)、「古代ローマの出版事情」(『図書』岩波書店、2023, 5)など。

目次

はじめに
第1章 エロースとは何か
 1 プラトンの『饗宴』
 2 パイドロス演説
 3 パウサニアス演説
 4 エリュクシマコス演説
 5 アリストパネス演説
 6 アガトン演説
第2章 哲学的エロース
 1 中間者としてのエロース
 2 エロース誕生の神話
 3 エロースのはたらき
 4 不死への願望
 5 エロースの秘儀
第3章 詩人のインスピレーション
 1 ホメロスにおける詩人の呼びかけ
 2 二つの真実
 3 ヘシオドスの場合
 4 『イオン』における詩人の位置
第4章 エロース(恋)からマニアー(狂気)へ
 1 プラトンの『パイドロス』
 2 ダイモーンの合図
 3 パリノーディア(取り消しの歌)
第5章 三つの狂気
 1 予言的狂気(マンティケー)
 2 秘儀的狂気(テレスティケー)
 3 マイナデス/バッカイ
 4 コリュバンテス
 5 ギリシア劇の誕生
 6 詩人の狂気(ポイエートーン・マニアー)
第6章 魂の不死と輪廻転生
 1 魂は不死である
 2 二頭立て馬車の比喩
 3 魂たちの行進
 4 オルペウス教
 5 アドラステイアの掟
 6 輪廻転生
 7 転生とイデア
 8 イデアの想起
第7章 第四の狂気―最も幸福な秘儀
 1 ソーマ=セーマ説
 2 原罪とは
 3 恋の遍歴
 4 さまざまな恋愛
 5 魂の格闘
 6 恋の成就
終 章 プラトニック・ラブとは何か
 1 二つの恋の行程
 2 問題のゆくえ
 3 プラトン的エロースとキリスト教的アガペー
補 章 ルネサンス・プラトニズム
 1 ルネサンス期のフィレンツェ
 2 フィチーノのプラトン理解
あとがき
参考文献(読書案内をかねて)
索引(人名/事項)
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