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語る身体の民族誌

ブッシュマンの生活世界1

菅原 和孝

A5上製・360頁

ISBN: 9784876980611

発行年月: 1998/05

  • 本体: 3,000円(税込 3,300円
  • 在庫あり
 
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内容

南部アフリカの狩猟採集民グイ(ブッシュマン)の、愉快で生き生きとした会話を緻密に分析することで、かれらの文化と社会の成り立ちを体系的に解明する。近年の人類学批判に応え、新しい民族誌の方法を示す。研究者から社会人・学生まで、次代の人類学の可能性を知ろうとする人々へ送る会心作。

プロフィール

菅原和孝(すがわら かずよし)

1949年東京生まれ。京都大学総合人間学部教授。 南部アフリカ・ボツワナの狩猟採集民グイ(いわゆるブッシュマン)における身体的コミュニケーション(身ぶり、挨拶、身体接触など)研究の第一人者として知られる。近年では、彼らの日常会話や語り、また動物についての知識や信念について研究を行う。

著書に『身体の人類学』(河出書房新社)、『性と出会う』(共著、講談社)など。

目次

草の家より──まえがき
 読者のために
  原語の発音と表記/会話資料の表記法/おもな登場人物

序章 会話の民族誌へむけて
 「民族誌を書くこと」への懐疑
 民族誌と会話分析
 会話分析を始めよう
 ブッシュマンの生態人類学
 変  容
 会話分析に至るまで
 グイ語の概略
  人称代名詞と接尾辞/統辞構造と時制/グイ語とガナ語/個人名について/親族名称について

第一章 ことばのなかの身体
 民族解剖学さまざまな筋肉
 内臓感覚心臓、肝臓など
 ライフサイクルのなかの身体
  誕生/乳児期/子どもから青年へ/労働・狩猟・分配/性・結婚・病・老い/死
 語る身体
 罵りの修辞学
  性器/尿/糞/肛門
 想像力の基底としての身体

第二章 老いた恋人たち
    ──婚外性関係の個人史
 たくさんの女をめとった男
 たくさんの恋人をもった女
 噂の二人
  のろけ話
 対  決
 批判の包囲
  ダンスを語る/恨みの病(カバー)/夫も批判される
 冷静な夫
 結末

第三章 感情の回路
    ──婚外性関係の論理
 年上の女
 贈り物を抱えてくる男
  怒り狂う人々
 若い娘をめとった青年
 第三夫人になった女
 回顧されるザーク
 夫婦交換
 感情の回路
  父性の生成/争いと同意の弁証法

第四章 人間のカテゴリー化
     ──「民族」間の境界
 カテゴリー化装置
 グイにとっての人間のカテゴリー
 〈テベ〉への不信と依存
  〈テベ〉の不可解さ/〈テベ〉のために働く
 ガナへの否定的特質づけ
  グイとガナの通婚と言語
 クアとしてのわれわれ

第五章 物語の愉悦
    ──民話はいかに語られるか
 フォークロアと生態  姉と妹のかけあい
  インタラクションを通じての生成/社会的現実との重ねあわせ  老人に語り聞かせる娘
 民話と昔話

第六章 日常会話の背後へ
    ──背景知と信念の活性化
 狂う人
 青年たちの食物忌避
  幼獣を煮る鍋を囲んで/感づきあう身体/ヒョウの匂い
 原野の中の身体

終章 〈語る身体〉、自然、そして権力
   ──途上での総括

注/引用文献/索引

木の家にて──あとがきにかえて
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