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高齢者のモビリティ

運転可否判断から移動支援まで

デイビット・W・エビー、リサ・J・モルナー、ポーラ・S・カートジ 著/堀川 悦夫・峯 とも子 編訳

A5並製, 336 pages

ISBN: 9784814002979

pub. date: 11/20

  • Price : JPY 3,600 (with tax: JPY 3,960)
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内容

加齢に伴う運転技能の変化,服用薬の影響,運転可否判断とその評価,免許交付政策,自動運転と先端技術,道路交通デザイン,運転引退後の移動支援……。高齢者の運転をめぐる問題は多岐にわたる。またそこには多様な要因が関わることから,広範な専門分野の知見を踏まえた学際的な視点が必須である。本書は高齢者のモビリティに関わる12の主要テーマを詳細に分析し,現実的な解決策を提示。安全な交通社会への道筋を拓く必読書であり,巨大なソースブックである。

プロフィール

著者紹介
デイビット・W・エビー(Dr. David W. Eby)
University of Michigan Transportation Research Institute(UMTRI,ミシガン大学交通研究所)の教授で行動科学部門の部長,そしてミシガン大学で心理学の教授(非常勤)。カリフォルニア大学サンタバーバラ校で実験心理学博士号取得。カリフォルニア大学アーバイン校の認知科学部で博士研究員としての研究活動経験もある。人々の安全なモビリティの改善が重要な研究分野であり,人々の行動に関する調査や研究報告を行っている。UMTRIで行っている,交通安全やモビリティのテーマをとりまく主な研究は (1)車の乗員の保護装置の使用と誤使用について,(2)若年運転者や初心運転者の危険な運転行動について,(3)飲酒運転対策の分析,(4)車の乗員保護に関する政策の分析,(5)健康状態と運転について,(6)加齢と安全なモビリティについて,(7)不注意運転について,(8)安全なモビリティを改善するための先端技術の使用について,(9)高齢運転者のセルフスクリーニングについて,(10)地方の交通システムについて,(11)車を利用する社員の交通安全について,(12)居眠り運転について,(13)運転者の自主的な運転制限について。またTransportation Research Board of the National Academies(ナショナル・アカデミーズの米国交通輸送調査委員会)における Occupant Protection(車の乗員保護)とSafe Mobility of Older Persons(高齢者の安全なモビリティ)のそれぞれの委員会で長く務めた元メンバーである。2005年から 2015年まで“Accident Analysis and Prevention”(事故分析とその予防)誌の共同編集者。Transportation and Aging Interest Group of the Gerontological Society of America(アメリカ老年学会の交通と高齢化に関する利益団体 , GSA)での議長経験もあり,2008年に GSAの研究員として表彰されている。U.S. Department of Transportation(米国運輸省)が後援する University Transportation Center(大学交通センター,UTC)のうち,Michigan Center for Advancing Safe Transportation throughout the Lifespan(M-CASTL,生涯を通じた安全な交通手段の推進センター)と Center for Advancing Transportation and Leadership and Safety(ATLAS Center,統合ソリューション展開による交通安全推進センター)という 2つの団体の初代所長。ATLAS CenterはかつてUMTRIと Texas A&M Transportation Institute(テキサス A&M交通研究所)の共同研究機関であったが,現在は U-M College of Engineering(ミシガン大学工学部)と UMTRIによって運営されている。その研究は,Michigan Governors’ Traffic Safety Advisory Commission(ミシガン州知事の交通安全諮問委員会),American Association of Motor Vehicle Administrators(米国自動車管理者協会),American Association of State Highway and Transportation Officials’ Standing Committee onResearch(米運輸交通担当者協会の常任委員会),そして Gerontological Society of America(アメリカ老年学会)で表彰されている。

リサ・J・モルナー(Dr. Lisa J. Molnar)
UMTRIの行動科学部門の准教授,そしてミシガン大学心理学科の准科学研究員(非常勤)。主な研究領域は交通安全と運転行動である。その中で特に関心を持つテーマは (1)高齢者の安全とモビリティ,(2)運転者の安全を改善するための自動車技術,(3)歩行者や自転車に乗る人など自動車と比べて弱い立場にいる人々の移動行動と安全について,(4)道路交通に関する法律・政策・改善プログラムが行動や安全にもたらす影響,(5)若年運転者の安全,(6)飲酒運転防止。研究,教育,そして技術移転に重点を置く UTCのうち,ATLAS Center と M-CASTLという 2つの団体での元副所長。GSAの研究員でもあり,GSAの Transportation and Aging Interest Group(高齢者の移動に関する利益団体)の事務局長を務めていた。現在は Workforce Development and Organizational Excellence Committee of theTransportation Research Board of the National Academies(ナショナル・アカデミーズの米国交通輸送調査委員会の,輸送組織の向上を目指す常任委員会)のメンバーで,以前は別の常任委員会である Committee for the Safe Mobility of Older Persons(高齢者の安全なモビリティを目指す委員会)で事務局長を務めていた。200以上
の学術論文,技術論文,本の共同著作などの執筆を行っている。

ポーラ・S・カートジ(Paula S. Kartje, OT, CDRS)1986年から勤務している Michigan Medicine(ミシガン大学病院システム)の理学療法・リハビリテーション学部で行っている Drive-Ability Program(運転技能プログラム)での作業療法・理学療法部門の管理者,運転リハビリテーション専門士。作業療法で学士号(理学)を取得し,1998年にミシガンで初めて公認された運転リハビリテーション専門士の一人。救急治療,入院患者と外来患者のリハビリ,デイトリートメント,管理といった病院内ケアの様々な領域での経験が豊富である。15年にわたり,University of Michigan Health System(ミシガン大学ヘルスシステム)の Drive-Ability Programの開発をはじめとする運転者の評価・リハビリに特化して関わっている。このプログラムを通して,14歳から 95歳までの患者の評価を年間 100人以上行っており,30年以上にわたる臨床経験から高い評価スキルのみならず,加齢と特定の医療診断に関連した運転問題について幅広い知識を持つ。主な研究領域は高齢運転者についてであり,State of Michigan Senior Mobility Workgroup(ミシガン州の高齢者モビリティのワークグループ)と Safe DriversSmart Options Operating Committee(安全運転を続けるための様々な選択肢を提供する委員会)での活動に関わっている。また Area Agency on Aging 1-B Senior Driver Awareness Program(高齢者のための NPO団体による高齢運転者の意識向上プログラム)の諮問委員会メンバーでもあり,会議や複数団体において運転関連の問題についての講演も行っている。

訳者紹介
【編訳者】
堀川悦夫(ほりかわ えつお)全体統括,訳者コラム1
東北大学医療技術短期大学部助教授として勤務する中,東北大学医学部老年内科もの忘れ外来で神経心理学的検査等を担当。その後,文科省在外研究員及びミシガン大学客員研究員として認知症,易転倒性,自動車運転等の研究を行う。帰国後,東北大学医学部助教授を経て,2004年佐賀大学医学部認知神経心理学分野教授として赴任した後,同附属病院動作解析・移動支援開発センター長として 3次元歩行解析と運転可否判断などの臨床研究データベース構築を行う。2017年から(公財)交通事故総合分析センター客員研究員,2019年から同特別研究員として交通事故ビッグデータ解析を行う。2020年 4月から福岡国際医療福祉大学医療学部教授,併せて佐賀大学医学部脳神経内科客員研究員として臨床研究に従事している。現在,複数の病院で,もの忘れ外来や運転可否判断,運転リハビリテーションを担当している。博士(医学),公認心理師,臨床心理士,DRS(ADED:米国運転リハビリテーション協会基礎資格),10代後半から 20代前半にかけて長距離トラック運転手経験を有する。

峯とも子(みね ともこ)第1章,第3章,著者紹介
佐賀大学医学部脳神経内科堀川研究室技術補佐員。幼稚園から小学校 6年生までの 7年間をアメリカとシンガポールで過ごし,大学卒業後は企業で海外と関わる業務に従事。堀川研究室で勤務する傍ら,公益財団法人佐賀県国際交流協会の医療通訳サポーターとして,佐賀在住外国人と医療従事者のコミュニケーションを円滑にするボランティア活動にも関わっている。国際臨床医学会(ICM)認定医療通訳士。

【訳者】(執筆順)
河野直子(かわの なおこ)第2章,訳者コラム2
大阪府立大学准教授。博士(学術),臨床心理士,公認心理師。現在は,加齢に伴う認知機能変化が運転能力に与える影響について,軽度認知障害の高齢ドライバーを含む参加者を対象として研究を進めている。

飯盛裕子(いさかり ゆうこ)第3章,第8章,第13章,序文,謝辞
山梨学院大学法科大学院修了。佐賀大学医学部堀川研究室で技術補佐員として研究活動に関わり,現在は伊万里市役所に勤務。

岩本邦弘(いわもと くにひろ)第4章,第5章
名古屋大学講師。博士(医学)。日本精神神経学会専門医・指導医,日本臨床精神神経薬理学会専門医・指導医。向精神薬や精神疾患が運転技能に与える影響について研究を進めている。

野尻紘聖(のじり こうせい)第6章
熊本高等専門学校講師。工学修士。一人乗り電気自動車の自動運転技術,自動車の運転支援のための車両挙動や運転行動の取得および周辺環境認識や運転行動モデル構築の研究を進めている。

佐藤鮎美(さとう あゆみ)第7章
島根大学講師。博士(心理学)。発達心理学,家族心理学を基点とし,乳幼児から高齢者までの認知機能や脳機能を指標として研究を行っている。メディアがコミュニケーションに与える効果についても関心を持っている。

堀江淳(ほりえ じゅん)第9章
京都橘大学教授。博士(医学),理学療法士。慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対するリハビリテーションの研究を進めている。また,地域在住高齢者の心身機能に関する研究を行い,高齢者の運転技能,眼球運動,心身機能との関係に関心を持っている。

木口量夫(きぐち かずお)第10章
九州大学教授。博士(工学)。システム工学,運転操作感覚,人動作計測・制御,医療・福祉システム,ロボット工学,知能機械の研究に関わっている。

清田勝(きよた まさる)第11章,訳者コラム3
佐賀大学大学院客員研究員。工学博士。パーキングパーミット制度を有効に機能させるための条件を明らかにするとともに,自動車とすれ違う歩行者や自転車の危険度を行動学的および生理学的に評価する研究を進めている。

外川佑(そとかわ たすく)第12章
新潟医療福祉大学講師。作業療法士,認定作業療法士,修士(保健医療学),博士(工学)。脳卒中後の自動車運転再開,高齢ドライバーの運転寿命延伸に向けた研究に関わっている。また,作業療法士を対象にした自動車運転リハビリテーションに関する教育や講演,地域の高齢者を対象にした講演を展開している。

鍋田紘美(なべた ひろみ)付録
特定医療法人光風会病院精神保健福祉士。博士(医学)。心理検査や精神科患者に対する音楽療法の効果についての研究を進めている。

目次

編訳者序文
序文
翻訳版出版によせて

第1章 イントロダクション
人口動向
運転の動向
交通安全
モビリティニーズ

訳者コラム1  日本にはない助言機関,
メディカル・アドバイザリー・ボード

第2章 高齢者によく見られる機能低下と運転
イントロダクション
精神運動に関する諸能力
視覚に関する諸能力
認知に関する諸能力
まとめ

訳者コラム2 高齢運転者を対象とした国内調査の重要性

第3章 運転に必須な技能
イントロダクション
運転タスクの解析
運転者の技能と制御に関する階層的モデル
まとめ

第4章 健康状態と運転
イントロダクション
視覚
聴覚
心血管系
脳血管系疾患
神経系
代謝系疾患
呼吸器系
筋骨格系
精神障害
まとめ

第5章 薬物と運転
イントロダクション
高齢者における薬物使用の割合
薬物と安全運転
まとめ

第6章 スクリーニング
イントロダクション
運転者自らによるスクリーニング
家族によるスクリーニング
医師によるスクリーニング
他の医療従事者によるスクリーニング
運転免許交付機関でのスクリーニング
まとめ

第7章 アセスメント
イントロダクション
臨床的評価
路上運転評価
評価後の助言
運転者評価チーム
まとめ

第8章 免許交付,法律,そして政策の問題
イントロダクション
運転免許の更新
医師による,事故リスクのある運転者の通報
免許交付の政策を強化する取り組み
安全なモビリティを実現する体系的な取り組みの中で
その役割を担う運転免許交付機関
まとめ

第9章 教育とリハビリテーション
イントロダクション
教育
リハビリテーション
まとめ

第10章 自動車と先進技術
イントロダクション
自動車設計
自動車の改造
先進技術
まとめ

第11章 道路デザイン
イントロダクション
交通制御装置
交差点
歩行者
道路工事区域
有望な手段
まとめ

訳者コラム3 高齢歩行者が安心して通行・横断できる交通環境

第12章 運転からの引退
イントロダクション
自動車運転を中止する理由
運転中止のプロセス
運転方法を自主的に変える高齢運転者
運転しない生活にスムーズに移行していくために
まとめ

第13章 地域内の他の移動手段
イントロダクション
既存の地域内の移動手段
高齢者にとってやさしい地域内の移動手段を増やす
移動サービスの組織化と連携
まとめ

付録 運転評価ツール
イントロダクション
知覚評価ツール
認知評価ツール
精神運動評価ツール

参考文献
索引
著者紹介
訳者紹介
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