ホーム > 書籍詳細ページ

生態人類学は挑む SESSION 3

病む・癒す

稲岡 司 編

A5並製・340頁

ISBN: 9784814003785

発行年月: 2021/12

  • 本体: 3,400円(税込 3,740円

12月中旬発売予定

 
  • mixiチェック

内容

ネアンデルタール人が遺体に花を添えるようになってから“20万年”。逃れられない「生老病死」が現代の西洋医学ではカバーできない広がりを持つのと同じくらい、人々は様々な祈りや癒しを生み出してきた。人類にとって病とは悪か? 疫禍の不安と恐れのなかで、「病む・癒す」を見つめる。

プロフィール

稲岡 司(いなおか つかさ 編者)
佐賀大学名誉教授.東京大学大学院医学系研究科博士課程修了,博士(保健学).主な著作に,「トンガ人の肥満」(『ネイチャー・アンド・ソサエティ研究 第3巻 身体と生存の文化生態』第4章,海青社,2014年,141-159頁),Inaoka, T., Matsumura, Y. and Suda, K. 2007. “Tongan obesity: causes and consequences,” In: Ryutaro Ohtsuka and Stanley J. Ulijaszek. (eds.) Health Change in the Asia-Pacific Region. UK: Cambridge University Press, pp.127-146.などがある.

花村俊吉(はなむら しゅんきち)
京都大学アフリカ地域研究資料センター・特任研究員.京都大学大学院理学研究科博士後期課程単位取得退学,修士(理学).主な著作に,『出会いと別れ―「あいさつ」をめぐる相互行為論』(共編,ナカニシヤ出版,2021年),「見えないよそ者の声に耳を欹てるとき―チンパンジー社会における他者」(河合香吏編『他者―人類社会の進化』京都大学学術出版会,2016年,177-205頁)などがある.

松本卓也(まつもと たくや)
信州大学理学部生物学コース助教.京都大学大学院理学研究科博士後期課程単位取得退学,博士(理学).主な著作に,“Opportunistic feeding strategy in wild immature chimpanzees: Implications for children as active foragers in human evolution,” Journal of Human Evolution 133: 13–22, 2019. Matsumoto, T., Itoh, N., Inoue, S., Nakamura, M. 2016. “An observation of a severely disabled infant chimpanzee in the wild and her interactions with her mother,” Primates 57: 3–7. などがある.

服部志帆(はっとり しほ)
天理大学国際学部准教授.京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科一貫制博士課程修了,博士(地域研究).主な著作に,『森と人の共存への挑戦―カメルーンの熱帯雨林保護と狩猟採集民の生活・文化の両立に関する研究』(松香堂書店,2012年),翻訳にボニー・ヒューレット『アフリカの森の女たち―文化・進化・発達の人類学』(共訳,春風社,2020年)などがある.

塚原高広(つかはら たかひろ)
名寄市立大学保健福祉学部教授.法政大学大学院経済学研究科博士後期課程修了,東京大学大学院理学系研究科博士課程人類学専攻単位取得退学,博士(理学)・博士(医学)・博士(経済学).主な著作に,「医療―パプアニューギニアではどのように治療が選ばれるのか」(『オセアニアで学ぶ人類学』昭和堂,2020年,81-94頁),「ひとり学際研究のすすめ―霊長類学から医学へ『フィールドの見方』古今書院,2015年,132-151頁)などがある.

藤村美穂(ふじむら みほ)
佐賀大学農学部教授.関西学院大学社会学研究科博士後期課程単位取得退学.主な著作に,「現代社会は山との関係を取り戻せるか」(『村落社会研究』52:221-242,2016年),「駆け引きすることの有効性―九州の狩猟犬の事例から」(卯田宗平編『野生性と人類の論理―ポスト・ドメスティケーションを捉える4つの思考』東京大学出版会,2021年,131-146頁)などがある.

佐宗亜衣子(さそう あいこ)
新潟医療福祉大学リハビリテーション学部助教.東京大学大学院理学系研究科博士課程修了,博士(理学).主な著作に,Saso, A. and Kondo, O. 2019. “Periodontal disease in the Neolithic Jomon: inter-site comparisons of inland and coastal areas in central Honshu, Japan,” Anthropological Science 127: 13-25. 「池子遺跡の弥生人骨―関東の弥生集落遺跡の出土人骨と比較して」(杉山浩平編『弥生時代 食の多角的研究―池子遺跡を科学する』六一書房,2018年,53-72頁)などがある.

近藤 修(こんどう おさむ)
東京大学大学院理学系研究科准教授.東京大学大学院理学系研究科修士課程修了,東北大学博士(医学).主な著作に,Kondo, O., Yoneda, M., Taniguchi, Y. 2018. “A female human skeleton from the Initial Jomon period found in the Iyai rock shelter in mountainous Kanto, Japan,” Anthropological Science 126: 151-164. 「旧人ネアンデルタールの盛衰―現生人類との交代劇」(井原泰雄・梅﨑昌裕・米田穣編『人間の本質にせまる科学―自然人類学の挑戦』東京大学出版会,2021年,59-74頁)などがある.

米田 穣(よねだ みのる)
東京大学教授.東京大学理学系研究科博士課程中退,博士(理学).主な著作に,『人間の本質にせまる科学―自然人類学の挑戦』(編著,東京大学出版会,2021年),「長野県七五三掛遺跡出土人骨の同位体分析で示された,縄文時代晩期後葉の雑穀栽培を伴う挺水樹食料生産」(共著,『日本考古学』 53:25-40.2021年)などがある.

辻 貴志(つじ たかし)
佐賀大学大学院農学研究科・特定研究員.神戸学院大学大学院人間文化学研究科博士課程修了,博士(人間文化学).主な著作に, “The Technique and Ecology Surrounding Moray Fishing: A Case Study of Moray Trap Fishing on Mactan Island, Philippines,” In: Ono, R., Addison, D., and A. Morrison. (eds.) Prehistoric Marine Resource Use in the Indo-Pacific Region. Canberra: Australian National University Press, pp. 167-181. 2013. 「スイギュウの「再ドメスティケーション」―フィリピンのカラバオの乳用化とポリティカルな力学」(卯田宗平編『野生性と人類の論理―ポスト・ドメスティケーションを捉える4つの思考』東京大学出版会,2021年,147-164頁)などがある.

中井信介(なかい しんすけ)
佐賀大学農学部准教授.総合研究大学院大学先導科学研究科修了,博士(学術).主な著作に,Nakai, S. and K. Ikeya. 2021. “Mobility and the Continuity of the Relationship between Hunter-gatherers and Farmers in Thailand,” Senri Ethnological Studies 106: 181-194. “Pig Domestication Processes: An Analysis of Varieties of Household Pig Reproduction Control in a Hillside Village in Northern Thailand,” Human Ecology 40(1): 145-152. 2012. などがある.

関山牧子(せきやま まきこ)
国立研究開発法人国立環境研究所環境リスク・健康領域主任研究員.東京大学大学院医学系研究科博士課程中途退学,博士(保健学).主な著作に,『人間の生態学』(共著,朝倉書店,2011年),Sekiyama, M., Roosita, K., and Ohtsuka, R. 2015. Developmental stage-dependent influence of environmental factors on growth of rural Sundanese children in West Java, Indonesia. American Journal of Physical Anthropology 157: 94-106.などがある.

Anuradha, J.M.P.N
鹿児島大学連合農学研究科博士課程修了,博士(学術).主な著作に,Anuradha, J.M.P.N., Fujimura, M., Inaoka, T., Sakai, N. 2019. “The role of agricultural land use pattern dynamics on elephant habitat depletion and human-elephant conflict in Sri Lanka,” Sustainability 11-10. Anuradha, J.M.P.N., Fujimura, M., Inaoka, T., Sakai, N. 2018. “Collective labor-intensive farming toward sustainable farm livelihoods.”(『環境社会学研究』24:121-136)などがある.

目次

序 稲岡 司

第Ⅰ部 霊長類の病む・癒す

第1章 ルビー一家の闘病記—野生チンパンジーの「病い」の経験と病原体を介した「人間」との混淆[花村俊吉]
 1 レアの死
 2 2006年の感染症の流行
 3 ルビー一家の闘病の記録
 4 チンパンジー社会における「病い」の経験
 5 「人間」と「自然」の混淆

第2章 医療診断なきチンパンジー社会の「障害」について[松本卓也]
 はじめに
 1 XT11の診断録(カルテ)
 2 「診断」を疑う―自立志向の発達という蜃気楼
 3 チンパンジー社会におけるXT11―やりとりの地平へ
 おわりに

第Ⅱ部 個体を脅かす狭義の病

第3章 狩猟採集社会における健康と医療—バカが膨大な薬の知識をもつ理由[服部志帆]
 はじめに
 1 調査地と調査対象
 2 調査方法
 3 結果
 4 考察
 おわりに

第4章 パプアニューギニア北西部沿岸に住む人びとの病気と治療行動[塚原高広]
 はじめに
 1 アラペシュの人びとの生活
 2 アラペシュにおける治療行動
 おわりに

第5章 身体の不調に対処する—ラオス南部農村の事例[藤村美穂]
 はじめに
 1 ラオス南部農村の医療の実態
 2 村びとたちの病いへの対処
 おわりに

第Ⅲ部 社会を脅かす広義の病

第6章 先史時代の「病み」—縄文人の口腔病理からみえる食生活[佐宗亜衣子・近藤 修・米田 穣]
 はじめに
 1 縄文人の歯周病と虫歯
 2 縄文人の口腔衛生指標における経時変化
 3 古人骨の食性分析と口腔衛生指標
 おわりに

第7章 ミルクから見る適応と進化—フィリピンにおける水牛ミルク摂取と乳糖不耐症[辻 貴志]
 はじめに―「乳糖不耐症」とは何か?
 1 乳糖不耐症に関する先行研究
 2 調査地と調査の概要
 3 調査結果
 4 「病い」,「癒し」と乳糖不耐症
 5 結論

第8章 社会の変容と子どもの栄養・成長—西ジャワ農村の事例[関山牧子] 
 はじめに
 1 社会環境と子どもの成長
 2 調査地域の概要と地域の子どもの栄養・成長
 3 調査地域の変化(2000~2015年)
 4 子どもの栄養・成長の変化(2000~2015年)
 5 西ジャワ農村の社会変容と子どもの栄養・成長
 おわりに

第Ⅳ部 他集団との共存

第9章 新たな環境への適応過程—タイにおける焼畑民モンの移住と生業変化[中井信介]
 はじめに
 1 タイにおける焼畑民モン
 2 移住と人口の動態
 3 定住化とその後の生業
 4 定住化とその後の家畜利用
 5 儀礼と食事の現在
 6 考察

第10章 野生の保護動物との事故—スリランカ中部乾燥地帯におけるヒト・ゾウ紛争[Anuradha Jayaweera,藤村美穂,稲岡 司]
 はじめに
 1 スリランカにおけるゾウと人間の衝突―どこで起こるのか
 2 IHECを抑制するための農民の行動
 3 スリランカにおけるIHECを減らす方策

終 章 「病む・癒す」が持つ意味[稲岡 司]
 1 誰が「病む・癒す」か?
 2 人はどうやって「病む・癒す」をしてきたか
 3 「狭義の病」と「広義の病」の意味づけ
 4 「癒し」の効果とコスト・パフォーマンス
 5 そもそもなぜ病気があるのか
 6 新型コロナウイルス感染症に関する補足と「病と癒し」の将来

索 引
執筆者紹介
このページの先頭へ