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学術選書 111

ハイデッガーとギリシア悲劇

秋富 克哉

四六並製, 252 pages

ISBN: 9784814004775

pub. date: 06/23

  • Price : JPY 2,000 (with tax: JPY 2,200)
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内容

ハイデッガーは、問題の学長就任以降、ギリシア悲劇に触れるようになる。本書は、従来ほとんど取り上げられていないこの主題に、主著『存在と時間』における背景から、講義録や覚書き、さらに近年注目の「黒表紙のノート」をもとに接近し、ハイデッガーの思索の道程を解明するとともに、ギリシア悲劇が有する哲学的、今日的意義を問う。

プロフィール

秋富 克哉(あきとみ かつや)
1962年、山口県生まれ。1991年、京都大学大学院博士後期課程研究指導認定退学。現在、京都工芸繊維大学教授。哲学専攻。京都大学博士(文学)

主な著訳書
著書は『芸術と技術 ハイデッガーの問い』(創文社、2005年)、『原初から/への思索―西田幾多郎とハイデッガー』(放送大学教育振興会、2022年)、共編著として『ハイデッガー『存在と時間』の現在 刊行80周年記念論集』(南窓社、2007年)、『ハイデガー読本』(法政大学出版局、2014年)、『続・ハイデガー読本』(法政大学出版局、2016年)、『ハイデガー事典』(昭和堂、2021年)がある。共訳書は『ハイデッガー全集第50巻 ニーチェの形而上学/哲学入門』(創文社、2000年)、『ハイデッガー全集第65巻 哲学への寄与論稿(性起から〔性起について〕)』(創文社、2005年)。

目次

凡 例

序 問題の所在―なぜギリシア悲劇なのか

第1章 歴史、運命、悲劇
 1 原初と歴史への問い
 2  『存在と時間』への遡源
 3 「黒表紙のノート」における「悲劇」の所在

第2章 アイスキュロス解釈―『縛られたプロメテウス』
 1 アイスキュロスの悲劇作品
 2 原初としてのプロメテウス―「黒表紙のノート」における
 3 知(学問)と運命―「ドイツの大学の自己主張」における
 4 火と技術(テクネー)と真理―『省慮』における
 5 悲劇のさらなる問いへ

第3章 ソポクレス解釈(一)『オイディプス王』
 1 ソポクレスへの積極的接近
 2 言葉の本質
  (一)「快き青さのなかに……」
  (二)言葉の危険性
 3 存在と仮象
  (一)ピュシス、アレーテイア、ドクサ
  (二)半神としてのオイディプス?
  (三)仮象の悲劇
 4 残される問題

第4章 ソポクレス解釈(二)『アンティゴネ』
 1 『アンティゴネ』へ
 2 人間本質への問い―『形而上学入門』
  (一)存在と思索
  (二)合唱歌の導入
  (三)最も無気味なものとしての人間
 3 アンティゴネの本質―ヘルダーリン「イスター」の解釈
  (一)河流の本質
  (二)作品への踏み込み
  (三)存在としての竈
  (四)生と死の対向性

第5章 ディオニュソスをめぐって
 1 ハイデッガーにおける「神」
 2 酒神ディオニュソス
 3 半神ディオニュソス―神と人間との「間」
 4 仮面の神ディオニュソス
 5 祝祭と悲劇

第6章 ニーチェにおける「悲劇」
 1 ニーチェとの対決のなかで
 2 「力への意志」と悲劇
  (一)芸術としての力への意志
  (二)「アポロン的なもの」と「ディオニュソス的なもの」
  (三)芸術と真理
 3 「永劫回帰」と悲劇
  (一)悲劇としての「永劫回帰」思想
  (二)悲劇作品としての『ツァラトゥストラ』
  (三)神と世界への問いかけ
  (四)ニーチェに対する断定と揺れ

第7章 存在の問いと「悲劇」―歴史的運命としてのニヒリズム
 1 ヘルダーリンとニーチェ
 2 存在の悲劇性と存在の歴史
  (一)没落と移行の受け止め直し
  (二)歴史的運命としてのニヒリズム

結 問題の射程―改めて、今なぜギリシア悲劇なのか

あとがき

文献表
索引(人名/事項)
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