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ウェルギリウス研究

ローマ詩人の創造

小川 正廣

菊上製, 589 pages

ISBN: 9784876980109

pub. date: 02/94

  • Price : JPY 6,311 (with tax: JPY 6,942)
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内容

“西洋世界の父”と呼ばれる古典ラテン文学最大の詩人ウェルギリウスの、わが国における初の本格的・総合的な研究書。ウェルギリウスにおける詩的技法と精神的思想的内容の緊密な結合を、ギリシアの伝統的文学の創造的受容、自然の中における人間把握、ローマの歴史の叙事詩への昇華という三つの視座から考察している。

プロフィール

小川正廣(おがわ まさひろ)

名古屋大学文学部助教授 京都大学文学博士
1951年、京都市に生まれる。京都大学文学部文学科卒業(西洋古典語西洋古典文学専攻)、同大学院文学研究科博士課程中退、京都大学文学部助手、京都産業大学講師・助教授を経て1990年より現職。この間、英国オックスフォード大学ベリオール・カレッジ客員(1987-88)

主要論文・著書
'Virgil and the Muses of Helicon' ("Filologia e Forme Letterarie", Urbino, Italia, 1987)、『ことば遊びの民族誌』(大修館書店、1990年。分担執筆)、『ラテン文学を学ぶ人のために』(世界思想社、1992年、分担執筆)。

目次

はしがき
序 章 ウェルギリウス評価の変遷と研究の課題
Ⅰ. はじめに
Ⅱ. 古代における評価
Ⅲ. 中世における評価
Ⅳ. ルネサンスから十九世紀後半までの評価
Ⅴ. 十九世紀後半と二十世紀における評価
Ⅵ. 研究の課題
第一部 ウェルギリウスとギリシア詩人たち
はじめに
第一章 『牧歌』とテオクリトス(一)
——牧歌詩の冒頭の詩句について——
Ⅰ. 序
Ⅱ. 詩の冒頭の意義
Ⅲ. 『牧歌』第一歌の冒頭
Ⅳ. 風景と牧歌
Ⅴ. 創作の場としての山と森
Ⅵ. 森に谺する歌の由来
第二章 『牧歌』とテオクリトス(二)
——牧歌詩における「労苦」——
Ⅰ. 序
Ⅱ. 『牧歌』第六歌の問題
Ⅲ. 「シレヌスの歌」における労苦
Ⅳ. 第六歌全体の労苦のテーマ
Ⅴ. 『エイデュッリア』第七歌と『牧歌』第六歌
Ⅵ. 結び
第三章 『農耕詩』とヘシオドス(一)
——ウェルギリウスとヘリコンのムーサ——
Ⅰ. 『農耕詩』第三歌の序歌について
Ⅱ. 『農耕詩』における二つの関心
Ⅲ. 『農耕詩』と『仕事と日』
Ⅳ. 『農耕詩』と『神統記』
Ⅴ. 結び
第四章 『農耕詩』とヘシオドス(二)
——「黄金時代」の再来は可能か——
Ⅰ. 序
Ⅱ. ヘシオドスの黄金時代
Ⅲ. ウェルギリウスの黄金時代
Ⅳ. 結び
第五章 『アエネイス』とホメロス(一)
——叙事詩人のエートス——
Ⅰ. ウェルギリウスの英雄像
Ⅱ. ホメロスにおける叙事詩の概念
Ⅲ. ウェルギリウスの叙事詩の主題
第六章 『アエネイス』とホメロス(二)
——叙事詩における神々——
Ⅰ. 『アエネイス』の神々と運命
Ⅱ. 運命としての「無限の支配」
Ⅲ. ストア思想とローマの運命
Ⅳ. 叙事詩の神々の個性
Ⅴ. 叙事詩における神と人間
第二部 ウェルギリウスの自然観
はじめに
第七章 詩と自然観
Ⅰ. 序
Ⅱ. 『牧歌』
Ⅲ. 『農耕詩』
Ⅳ. 『アエネイス』
第八章 ウェルギリウスの自然観の形成とルクレティウス(一)
——初期作品と『牧歌』——
Ⅰ. 序
Ⅱ. ルクレティウスにおける詩と哲学
Ⅲ. エピクロス哲学をウェルギリウスの初期作品
Ⅳ. 庭園としての自然と『牧歌』初期作品
Ⅵ. 自然観と詩
第九章 ウェルギリウスの自然観の形成とルクレティウス(二)
——『農耕詩』第一・第二巻——
Ⅰ. 序——『牧歌』から『農耕詩』へ
Ⅱ. 自然論の展開——『農耕詩』第一巻
Ⅲ. 自然と人間——『農耕詩』第二巻
Ⅳ. 結び
付論 『牧歌』と『農耕詩』の成立年代について
Ⅰ. 『牧歌』の成立年代
Ⅱ. 「最初の『農耕詩』」とウァッロ
Ⅲ. 『牧歌』におけるヘシオドス
Ⅳ. 「最初の『農耕詩』」説に対する批判
Ⅴ. 『農耕詩』第一巻における歴史的関連
Ⅵ. 『農耕詩』第三巻の序歌の年代
Ⅶ. 結び
第三部 ウェルギリウスと歴史
はじめに
第十章 古代ローマにおけるアエネアス伝説の意義
Ⅰ. 序——ウェルギリウスとローマのトロイア起源伝説
Ⅱ. トロイア戦争神話の副産物
Ⅲ. アエネアスと初期ローマ
Ⅳ. アエネアスと西地中海におけるローマ
Ⅵ. 結び
第十一章 アエネアス伝説と女神信仰
Ⅰ. 序
Ⅱ. トロイアにおける英雄と女神
Ⅲ. シキリアでの伝説と信仰
Ⅳ. アエネアス伝説とウェヌス崇拝の起源
Ⅴ. アエネアス伝説とウェヌスの祭式
Ⅵ. アエネアス——ウェヌスとローマのインペリウム
Ⅶ. 結び
第十二章 『アエネイス』とローマの起源
Ⅰ. 序——『アエネイス』後半と歴史
Ⅱ. ラウィニウムとトロイア伝説
Ⅲ. 『アエネイス』における戦争の構造
Ⅳ. トゥルヌスとその原像
Ⅴ. 結び
第十三章 死と神格化
——ローマ人の英雄崇拝について——
Ⅰ. 序
Ⅱ. ローマ神話における死と神格化
Ⅲ. 歴史における死と神格化
あとがき・略年表
基本文献・索引
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