Home > Book Detail Page

プリミエ・コレクション 37

中華と対話するイスラーム

17-19世紀中国ムスリムの思想的営為

中西 竜也

A5上製, 420 pages

ISBN: 9784876982738

pub. date: 03/13

  • Price : JPY 5,000 (with tax: JPY 5,500)
  • In Stock

第35回 サントリー学芸賞 受賞 ◉選評はこちら

 
  • mixiチェック

内容

かつてアジアの各地から中国にやってきたムスリム移民の末裔は、時々の政治的・社会的状況に翻弄されながらも、イスラームの信仰を固守して独自の共同体を維持した。そこには、マイノリティとしての生死を賭けた、彼ら中国ムスリムの知的奮闘があった。いかにしてイスラームを、中国伝統思想、ひいては中国社会の現実と調和させるか?「中国的イスラーム」の実像に迫る。

書評

『読売新聞』2013年5月19日朝刊「本のよみうり堂」、評者:杉山正明氏
週刊『エコノミスト』2013年5月21日号「歴史書の本棚」、評者:加藤徹氏
『東洋史研究』第72巻第4號、82-102頁、評者:三浦國雄氏
『イスラーム世界研究』第7巻(2014.3)、544-546頁、評者:松本耿郎氏
『京都新聞』2014年5月19日付、文化面「越境者たち--知の現場から2」
『宗教研究』第88巻第1輯、190-195頁、評者:竹下政孝氏
『イスラーム地域研究ジャーナル』vol.6(2014)、95頁「新刊紹介」、評者:山崎典子氏
『史林』第98巻第1号、249-255頁、評者:矢島洋一氏
『史學雑誌』第124編 第6号、95-104頁、評者:黒岩高氏

プロフィール

中西 竜也(なかにし たつや)
1976年,滋賀県生まれ。
京都大学白眉センター特定助教。
京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。博士(文学)。専攻は東洋史学。
京都学園大学非常勤講師,京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・日本学術振興会特別研究員(PD)を経て,現職。

主な業績
「清代の中国ムスリムにおけるペルシア語文化受容」(森本一夫 編『ペルシア語が結んだ世界—もうひとつのユーラシア史』北海道大学出版会,2009年)。「イスラームの「漢訳」における中国伝統思想の薫習—劉智の「性」の朱子学的側面—」(堀池信夫編『知のユーラシア』明治書院,2011年)。「中国民間所蔵ペルシア語スーフィズム文献『霊智の要旨』—内丹道教と対話する漢語イスラーム文献『綱常』の一原典—」(窪田順平編『ユーラシアの東西を眺める—歴史学と環境学の間—』総合地球環境学研究所,2012年)。

目次

口 絵
地 図
目 次
凡 例

序 章

第1章 中国ムスリム史および中国イスラーム史概観
はじめに
第1節 中国ムスリムの登場
第2節 「中国的」イスラームの形成
第3節 「中国的」イスラームの特徴
第4節 19世紀の中国ムスリムとそのイスラーム
章 結
コラム1 経堂教育の近代
コラム2 存在一性論にもとづく存在顕現のプロセス

第2章 イスラームの「漢訳」における中国伝統思想の浸潤
--劉智の「性」の朱子学的側面
はじめに
第1節 「性」の基本的相貌
第2節 「性」の朱子学的側面
第3節 朱子学的「性」が構想された理由・意義
章 結

第3章 17・18世紀中国内地におけるスーフィズム
はじめに
第1節 中国ムスリムの導師たち
第2節 中国ムスリムのスーフィズム実践をめぐる言説
第3節 中国ムスリムの道統をめぐる言説
章 結
コラム3 スーフィーとしての馬明龍

第4章 中国ムスリムの法学派観
はじめに
第1節 納家営清真寺アラビア語碑文訳注
第2節 碑文製作年代の推定
第3節 納家営清真寺アラビア語碑文にみえるハナフィー派絶対正統主義
第4節 その他史料にみえるハナフィー派至上主義
章 結
付録1 納家営清真寺アラビア語碑文テクスト
コラム4 中国の『四節』

第5章 イスラームと中華のあいだを生き抜く
--19世紀雲南におけるイスラーム法探求
はじめに
第1節 馬_キ新と「戦争の家」での離縁
第2節 聖戦をめぐる馬聯元の探求
章 結

第6章 中国民間所蔵ペルシア語スーフィズム文献
--『霊智の要旨』
はじめに
第1節 『霊智の要旨』の概要
第2節 『霊智の要旨』と『綱常』との対応関係
第3節 『霊智の要旨』の著者 内丹道教と対話する何者か?
章 結
付録1 『霊智の要旨』訳注
付録2 『霊智の要旨』ペルシア語テクスト *影印後付
コラム5 内丹道教のことばに彩られた漢語イスラーム文献

第7章 スーフィズムとタオイズム
--19世紀中国西北部における対話
はじめに
第1節 『綱常』「三五一解」と朱元育『悟眞篇闡幽』
第2節 『綱常』「三五一解」と「吸呼解」
第3節 『秘中の至秘,諸光の顕れる所』
第4節 『綱常』「三五一解」の真相
第5節 「坎離六倒」のもうひとつの意味
第6節 「河圖」の意味
章 結
付録1 楊保元『綱常』と朱元育『悟眞篇闡幽』の比較
付録2 『綱常』「三五一解」訳注
付録3 『秘中の至秘』の関連記述

第8章 清代中国ムスリムのペルシア語文化受容
はじめに
第1節 ペルシア語文化の影響
第2節 貧弱なペルシア語識者層
第3節 ペルシア語による著述を抑制したアラビア語の威信
第4節 明代におけるペルシア語の地位
第5節 開封におけるペルシア語の地位の変遷
章 結

第9章 中国におけるペルシア語文法学の創成
はじめに
第1節 中国におけるペルシア語文化の衰退
第2節 『風』の雛型 『知れ』とその類似作品
第3節 『風』と『知れ』
章 結
コラム6 『風』『探求の道』について

終 章
第1節 中華と対話するイスラームの歴史的展開と今日的意義
第2節 今後の課題と展望 中華と対話するイスラームの近代

あとがき
文献一覧
事項索引
人名索引
書名索引
このページの先頭へ