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巨大津波に備えるべく数十M高の防波堤で列島を囲む 技術のみから言えばこれも一つの方策であろう。しかし直感的に疑問もわく。では何が妥 当なのか?答えは簡単でない。単一の学問からでは,生活全般を考慮したリスク回避の解は出せないのだ。超領域的な発想と実施主体の活性に焦点 を当てた,社会基盤整備と防災の新しいパラダイム。
松岡 譲(京都大学大学院 工学研究科(都市環境工学専攻)教授)
1950年生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了。工学博士。名古屋大学工学部教授を経て,1998年より京都大学教授。専門は環境システム工学。
著書/『水質データの統計的解析』森北出版(共著)1980,『地球温暖化を防ぐ』日本放送出版協会(分担執筆)1990,『環境システム―その理念と基礎手法―』共立出版(共著)1998,『地球水資源の管理技術』コロナ社(共著)2003,『Climate Policy Assessment』(共著,Springer,2003),『エネルギーと環境の技術開発』コロナ社(編著)2005など。
小林 潔司(京都大学 経営管理大学院/工学研究科(都市社会工学専攻)教授)
1953年生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了。工学博士。鳥取大学工学部教授を経て,1996年より京大教授。専門は計画・マネジメント論,インフラ経済学。
著書/『The Management and Measurement of Infrastructure』(共著,Edward Elgar,2007),『Asian Catastrophe Insurance』(共著,Risk Books,2008),『Joint Ventures in Construction』(共著,Thomas Telford,2009),『確率統計学AtoZ』(共著,電気書院,2012),『Joint Ventures in Construction 2: Contract, Governance, Performance and Risk』(共著,Thomas Telford,2012)など多数。
大津 宏康(京都大学大学院 工学研究科(都市社会工学専攻)教授)
1955年生まれ。京都大学大学院修士課程修了。博士(工学)(京都大学)。大成建設株式会社,カナダ ブリティッシュ・コロンビア大学客員研究員,京都大学助教授,タイ アジア工科大学助教授を経て,2003年より京都大学教授。専門は地盤・岩盤工学,ジオリスク工学。
著書/『地盤の三次元弾塑性有限要素解析』(共著,丸善,1996),『ロックメカニクス』(共著,技報堂出版,2002),『岩盤構造物の建設と維持管理におけるマネジメント―ジオリスクマネジメントへの取り組み』(共著,土木学会,2009),『Joint Ventures in Construction』(共著,Thomas Telford,2009),『プロジェクトマネジメント』(単著,コロナ社,2011)。
田中 宏明(京都大学大学院 工学研究科(附属流域圏総合環境質研究センター)教授)
1956年生まれ。京都大学大学院修士課程修了。博士(工学)(京都大学)。技術士(建設・上下水道・総合監理部門)。建設省,奈良県,(独)土木研究所上席研究員を経て,2005年より京都大学教授。専門は下水道工学,水環境工学。
著書/『水質衛生学』(共著,技報堂出版,1996),『水環境ハンドブック』(共著,朝倉書店,2006),『環境工学の新世紀』(共著,技報堂出版,2008),『日本の水環境行政改訂版』(共著,ぎょうせい,2009),『水再生利用学』(監訳,技報堂出版,2010),『水の処理・活用大事典』(共著,産業調査会,2011)など。
多々納 裕一(京都大学大学院 情報学研究科(社会情報学専攻)/防災研究所 教授)
1961年生まれ。京都大学大学院修士課程修了。博士(工学)(京都大学)。島根県土木部,鳥取大学助手,助教授,国際応用システム分析研究所(IIASA,オーストラリア)研究員,京都大学防災研究所助教授を経て,2003年より京都大学防災研究所教授。専門は,災害リスク管理,災害の経済分析,土木計画学。
著書/『総合防災学への道』(共著,京都大学学術出版会,2006),『防災の経済分析―リスクマネジメントの施策と評価』(共著,勁草書房,2005),『Modeling Spatial and Economic Impacts of Disasters (Advances in Spatial Science)』,(分担執筆,Springer,2004),防災学ハンドブック(京都大学防災研究所編,分担執筆,朝倉書店,2001)など。
ショウ ラジブ(京都大学大学院 地球環境学堂 准教授)
1968年生まれ。大阪市立大学大学院博士課程修了。理学博士。国連地域開発センター研究員を経て,2004年より現職。専門は環境防災マネジメント論。
著書/『Community Based Disaster Risk Reduction』(Emerald Publisher, 2012),『East Japan Earthquake and Tsunami: Evacuation, Communication, Education and Voluntarism』(共著,Research Publishing, 2012),『Environment and Disaster Linkages』(共著,Emerald Publisher, 2012),『Climate and disaster resilience in cities』(共著,Emerald Publisher, 2011),『Climate Change Adaptation and Disaster Risk Reduction: Issues and Challenges』(共著,Emerald Publisher, 2010)など多数。
米田 稔(京都大学大学院 工学研究科(都市環境工学専攻)教授)
1959年生まれ。京都大学大学院工学研究科博士課程中退。工学博士。京都大学大学院工学研究科准教授を経て,2007年より京大教授。専門は環境リスク工学。
著書/『日本の水環境5 近畿編』 技報堂(共著)2000,『土壌圏の管理技術』コロナ社(分担執筆)2002,『アプローチ環境ホルモン,その基礎と水環境における最前線』技報堂出版(共著)2003,『水環境ハンドブック』朝倉書店(共著)2006,『日本の水環境行政』ぎょうせい(共著)2009,『福島原発事故の検証と環境放射能汚染』環境コミュニケーションズ(共著)2011など。
吉田 護(熊本大学大学院 自然科学研究科(附属減災型社会システム実践研究教育センター)特任准教授)
1981年生まれ。京都大学大学院修士課程修了。博士(情報学)(京都大学)。京都大学特任助教(グローバルCOE「アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点」)を経て,2013年3月より熊本大学特任准教授(自然科学研究科附属減災型社会システム実践研究教育センター)。専門は土木計画学,災害リスク管理。
論文/「口蹄疫の感染伝染モデリング」(土木学会論文集D3, 67 (4), 2012),「社会基盤テロリスクと情報開示」(土木学会論文集D3, 68 (4), 2011),「Payment Plan for the Delegation of One or Two Inspection Agencies」(Journal of Computers, 4 (10), 2009)など。
1950年生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了。工学博士。名古屋大学工学部教授を経て,1998年より京都大学教授。専門は環境システム工学。
著書/『水質データの統計的解析』森北出版(共著)1980,『地球温暖化を防ぐ』日本放送出版協会(分担執筆)1990,『環境システム―その理念と基礎手法―』共立出版(共著)1998,『地球水資源の管理技術』コロナ社(共著)2003,『Climate Policy Assessment』(共著,Springer,2003),『エネルギーと環境の技術開発』コロナ社(編著)2005など。
小林 潔司(京都大学 経営管理大学院/工学研究科(都市社会工学専攻)教授)
1953年生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了。工学博士。鳥取大学工学部教授を経て,1996年より京大教授。専門は計画・マネジメント論,インフラ経済学。
著書/『The Management and Measurement of Infrastructure』(共著,Edward Elgar,2007),『Asian Catastrophe Insurance』(共著,Risk Books,2008),『Joint Ventures in Construction』(共著,Thomas Telford,2009),『確率統計学AtoZ』(共著,電気書院,2012),『Joint Ventures in Construction 2: Contract, Governance, Performance and Risk』(共著,Thomas Telford,2012)など多数。
大津 宏康(京都大学大学院 工学研究科(都市社会工学専攻)教授)
1955年生まれ。京都大学大学院修士課程修了。博士(工学)(京都大学)。大成建設株式会社,カナダ ブリティッシュ・コロンビア大学客員研究員,京都大学助教授,タイ アジア工科大学助教授を経て,2003年より京都大学教授。専門は地盤・岩盤工学,ジオリスク工学。
著書/『地盤の三次元弾塑性有限要素解析』(共著,丸善,1996),『ロックメカニクス』(共著,技報堂出版,2002),『岩盤構造物の建設と維持管理におけるマネジメント―ジオリスクマネジメントへの取り組み』(共著,土木学会,2009),『Joint Ventures in Construction』(共著,Thomas Telford,2009),『プロジェクトマネジメント』(単著,コロナ社,2011)。
田中 宏明(京都大学大学院 工学研究科(附属流域圏総合環境質研究センター)教授)
1956年生まれ。京都大学大学院修士課程修了。博士(工学)(京都大学)。技術士(建設・上下水道・総合監理部門)。建設省,奈良県,(独)土木研究所上席研究員を経て,2005年より京都大学教授。専門は下水道工学,水環境工学。
著書/『水質衛生学』(共著,技報堂出版,1996),『水環境ハンドブック』(共著,朝倉書店,2006),『環境工学の新世紀』(共著,技報堂出版,2008),『日本の水環境行政改訂版』(共著,ぎょうせい,2009),『水再生利用学』(監訳,技報堂出版,2010),『水の処理・活用大事典』(共著,産業調査会,2011)など。
多々納 裕一(京都大学大学院 情報学研究科(社会情報学専攻)/防災研究所 教授)
1961年生まれ。京都大学大学院修士課程修了。博士(工学)(京都大学)。島根県土木部,鳥取大学助手,助教授,国際応用システム分析研究所(IIASA,オーストラリア)研究員,京都大学防災研究所助教授を経て,2003年より京都大学防災研究所教授。専門は,災害リスク管理,災害の経済分析,土木計画学。
著書/『総合防災学への道』(共著,京都大学学術出版会,2006),『防災の経済分析―リスクマネジメントの施策と評価』(共著,勁草書房,2005),『Modeling Spatial and Economic Impacts of Disasters (Advances in Spatial Science)』,(分担執筆,Springer,2004),防災学ハンドブック(京都大学防災研究所編,分担執筆,朝倉書店,2001)など。
ショウ ラジブ(京都大学大学院 地球環境学堂 准教授)
1968年生まれ。大阪市立大学大学院博士課程修了。理学博士。国連地域開発センター研究員を経て,2004年より現職。専門は環境防災マネジメント論。
著書/『Community Based Disaster Risk Reduction』(Emerald Publisher, 2012),『East Japan Earthquake and Tsunami: Evacuation, Communication, Education and Voluntarism』(共著,Research Publishing, 2012),『Environment and Disaster Linkages』(共著,Emerald Publisher, 2012),『Climate and disaster resilience in cities』(共著,Emerald Publisher, 2011),『Climate Change Adaptation and Disaster Risk Reduction: Issues and Challenges』(共著,Emerald Publisher, 2010)など多数。
米田 稔(京都大学大学院 工学研究科(都市環境工学専攻)教授)
1959年生まれ。京都大学大学院工学研究科博士課程中退。工学博士。京都大学大学院工学研究科准教授を経て,2007年より京大教授。専門は環境リスク工学。
著書/『日本の水環境5 近畿編』 技報堂(共著)2000,『土壌圏の管理技術』コロナ社(分担執筆)2002,『アプローチ環境ホルモン,その基礎と水環境における最前線』技報堂出版(共著)2003,『水環境ハンドブック』朝倉書店(共著)2006,『日本の水環境行政』ぎょうせい(共著)2009,『福島原発事故の検証と環境放射能汚染』環境コミュニケーションズ(共著)2011など。
吉田 護(熊本大学大学院 自然科学研究科(附属減災型社会システム実践研究教育センター)特任准教授)
1981年生まれ。京都大学大学院修士課程修了。博士(情報学)(京都大学)。京都大学特任助教(グローバルCOE「アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点」)を経て,2013年3月より熊本大学特任准教授(自然科学研究科附属減災型社会システム実践研究教育センター)。専門は土木計画学,災害リスク管理。
論文/「口蹄疫の感染伝染モデリング」(土木学会論文集D3, 67 (4), 2012),「社会基盤テロリスクと情報開示」(土木学会論文集D3, 68 (4), 2011),「Payment Plan for the Delegation of One or Two Inspection Agencies」(Journal of Computers, 4 (10), 2009)など。
はしがき
第1章 人間安全保障工学とは [松岡譲]
1 人類は災害や環境破壊とどう戦ってきたか
1.1 現代における災害や環境破壊の脅威
1.2 脅威から逃れるため,これまで世界はなにをしてきたか?
1.3 経験からなにを学んだのか?
1.4 失敗したことばかりではなかった―日本の経験を中心に
コラム1 日本におけるインフラストラクチャー整備の努力
2 人間安全保障工学の提案
2.1 人間安全保障工学とはなにか?
2.2 「人間の安全保障」と「人間安全保障工学」
2.3 人間安全保障工学の4 つの原則
2.4 人間安全保障工学の内容
3 おわりに
第2章 実践的アプローチとしての人間安全保障工学 [小林潔司]
1 実践者としてのエンジニア
2 エンジニアに必要となる「フィールド的な知」
2.1 従来の諸学問の基本原理
2.2 フィールド的な暗黙知
2.3 客観化と「客観化の客観化」
3 エンジニアの実践における課題
3.1 専門性の問題
3.2 正統化の問題
3.3 フレームの相対化の必要性
3.4 実践と行為の中の省察
4 実践的アプローチとは
4.1 実践的アプローチの問題点と課題
4.2 実践的アプローチ―フレーム分析
4.3 実践的アプローチ―フィールド実験
4.4 実践的アプローチ―橋渡し理論
4.5 実践的アプローチ―「行為の中の省察」プロセス
4.6 実践的アプローチの評価
5 人間安全保障工学の発展のために
5.1 行政・市民パートナーシップ
5.2 プロフェショナルとしてのエンジニアの役割
5.3 技術と社会の共進化―地域学習アプローチ
6 おわりに
第3章 社会基盤施設の整備と展開 [大津宏康]
1 メガシティと地方のリンクモデル
2 メガシティに内在する課題と地方リンクに関する課題
2.1 都市の発展過程における地盤沈下問題
―大阪,バンコクを事例として
2.2 都市の開発速度と洪水対策―バンコク大水害を事例として
2.3 地すべり・土石流災害と早期警戒体制の整備
―日本,タイを事例として
3 新たな都市経営者育成モデル
第4章 健康リスク管理と都市環境インフラの共進化 [田中宏明]
1 世界の疾病と死亡の要因
2 都市環境が関わる健康問題
2.1 DALYs に関わる環境要因
2.2 水と衛生
2.3 大気汚染
2.4 化学物質
2.5 地球温暖化
2.6 廃棄物問題
2.7 環境要因がより深刻となる途上国
3 深刻化する生物保全
4 健康リスク管理(Health risk management)に向けて
5 アジア・メガシティを支える都市環境インフラ
6 都市の水インフラの課題と上下水道の分断
6.1 増加する水需要を支える水インフラ
6.2 都市でのし尿問題
6.3 水供給システムと排水システムの整備ギャップによる水汚染
6.4 排除のための管渠システムの構築
6.5 集中型下水処理システムによる効率化と集中化による課題
6.6 水洗化によるし尿処理の変化と水環境汚染
7 水・エネルギー・物質の都市代謝の統合化への都市環境インフラの進化
7.1 俯瞰的な視点の必要性
7.2 都市での水・資源・エネルギーの統合管理の重要化
7.3 都市の水インフラシステムのエネルギー消費の限界
7.4 廃棄のための処理から水・資源・エネルギーの回収利用へ
8 都市環境インフラの視点から見た人間安全保障工学の深化
8.1 都市水循環系とエネルギー問題の再利用による複合解決
8.2 雨水利用と内水対策の複合解決
8.3 循環型資源利用に潜むリスクとその低減
8.4 都市の環境・エネルギー・防災問題・都市ガバナンスの複合解決
コラム2 東日本大震災と下水処理の問題点
第5章 人間安全保障工学の視点からの総合的災害リスク管理 [多々納裕一・吉田護]
1 自然災害と人間安全保障
1.1 世界における災害の発生傾向
1.2 アジアにおける災害の特徴
1.3 ムンバイにおける災害リスク管理
2 人間の安全保障を目指した災害リスク管理
2.1 人間・生活の災害脆弱性の形成過程
コラム3 富や権力は災害の被害の大きさに影響を及ぼす?
2.2 災害リスク管理の手段
2.3 レジリエンシー―抵抗力と回復力
2.4 災害リスク管理の主体
2.5 災害リスク管理のプロセス
2.6 災害リスクガバナンスとコミュニケーションのデザイン
3 総合的災害リスク管理の実現に向けて
第6章 都市の人間の安全保障におけるコミュニティ次元 [ショウラジブ]
1 「人間の安全保障」をめぐるさまざまな主張
2 人間の安全保障と災害リスク軽減枠組
2.1 災害に対する人間の安全保障
2.2 兵庫行動枠組の展開と課題
2.3 人間の安全保障と兵庫行動枠組
2.4 兵庫行動枠組のもとでの自治体の取り組み
3 アジア地域の都市リスクおよび都市回復力と人間の安全保障に関わる課題
3.1 アジア都市が直面する災害リスク
3.2 都市化するアジア・メガシティ
3.3 災害リスクにさらされる都市貧困層
4 都市回復力の分析ツールとアプローチ
4.1 都市回復力の概念について
4.2 CDRI(気象および災害からの回復力評価イニシアティブ)
4.3 CDRI指標と人間の安全保障および兵庫行動枠組
4.4 CDRI評価の実践事例
5 人間の安全保障強化のためのコミュニティ主体アプローチ
5.1 人間の安全保障強化のためのコミュニティ次元
5.2 コミュニティ行動計画(CAP)
5.3 行動および実施型回復力評価(AoRA)
5.4 社会,制度および経済回復力行動(SIERA)
6 今後の展開
第7章 アセットマネジメントとは [小林潔司]
1 アセットマネジメントの必要性
1.1 アセットマネジメントの背景
1.2 日本におけるアセットマネジメントの現状
2 アセットマネジメントの概要
2.1 アセットマネジメントシステムの必要性
2.2 アセットマネジメントシステム
2.3 アセットマネジメントシステムの構成
3 アセットマネジメント標準
3.1 ISO5500X
3.2 日本におけるマネジメント標準の役割
3.3 メタマネジメントとしてのPDCA
4 アセットマネジメントの国際標準化戦略
4.1 国際標準の種類
4.2 標準化競争とつきあいの原理
4.3 国際標準化戦略
5 アセットマネジメント導入事例
5.1 ベトナムでの導入事例
5.2 多様化標準システム
5.3 京都モデル
6 おわりに
第8章 人間安全保障工学の教育体系の実装 [米田稔]
1 人間安全保障工学を習得するには
2 京都大学での教育実践
2.1 人間安全保障工学と「人間安全保障工学教育プログラム」
2.2 人材が備えるべき素養
2.3 必修科目とコア科目
2.4 モード2学問としてのインターンシップ
2.5 社会人を対象とした短期コースの実施
2.6 教育システムの運営で考慮すべき事項
3 今後の展開
コラム4 プログラム修了生の声
付録 履修生らのインターンシップ報告から
用語集
索引
執筆者紹介
第1章 人間安全保障工学とは [松岡譲]
1 人類は災害や環境破壊とどう戦ってきたか
1.1 現代における災害や環境破壊の脅威
1.2 脅威から逃れるため,これまで世界はなにをしてきたか?
1.3 経験からなにを学んだのか?
1.4 失敗したことばかりではなかった―日本の経験を中心に
コラム1 日本におけるインフラストラクチャー整備の努力
2 人間安全保障工学の提案
2.1 人間安全保障工学とはなにか?
2.2 「人間の安全保障」と「人間安全保障工学」
2.3 人間安全保障工学の4 つの原則
2.4 人間安全保障工学の内容
3 おわりに
第2章 実践的アプローチとしての人間安全保障工学 [小林潔司]
1 実践者としてのエンジニア
2 エンジニアに必要となる「フィールド的な知」
2.1 従来の諸学問の基本原理
2.2 フィールド的な暗黙知
2.3 客観化と「客観化の客観化」
3 エンジニアの実践における課題
3.1 専門性の問題
3.2 正統化の問題
3.3 フレームの相対化の必要性
3.4 実践と行為の中の省察
4 実践的アプローチとは
4.1 実践的アプローチの問題点と課題
4.2 実践的アプローチ―フレーム分析
4.3 実践的アプローチ―フィールド実験
4.4 実践的アプローチ―橋渡し理論
4.5 実践的アプローチ―「行為の中の省察」プロセス
4.6 実践的アプローチの評価
5 人間安全保障工学の発展のために
5.1 行政・市民パートナーシップ
5.2 プロフェショナルとしてのエンジニアの役割
5.3 技術と社会の共進化―地域学習アプローチ
6 おわりに
第3章 社会基盤施設の整備と展開 [大津宏康]
1 メガシティと地方のリンクモデル
2 メガシティに内在する課題と地方リンクに関する課題
2.1 都市の発展過程における地盤沈下問題
―大阪,バンコクを事例として
2.2 都市の開発速度と洪水対策―バンコク大水害を事例として
2.3 地すべり・土石流災害と早期警戒体制の整備
―日本,タイを事例として
3 新たな都市経営者育成モデル
第4章 健康リスク管理と都市環境インフラの共進化 [田中宏明]
1 世界の疾病と死亡の要因
2 都市環境が関わる健康問題
2.1 DALYs に関わる環境要因
2.2 水と衛生
2.3 大気汚染
2.4 化学物質
2.5 地球温暖化
2.6 廃棄物問題
2.7 環境要因がより深刻となる途上国
3 深刻化する生物保全
4 健康リスク管理(Health risk management)に向けて
5 アジア・メガシティを支える都市環境インフラ
6 都市の水インフラの課題と上下水道の分断
6.1 増加する水需要を支える水インフラ
6.2 都市でのし尿問題
6.3 水供給システムと排水システムの整備ギャップによる水汚染
6.4 排除のための管渠システムの構築
6.5 集中型下水処理システムによる効率化と集中化による課題
6.6 水洗化によるし尿処理の変化と水環境汚染
7 水・エネルギー・物質の都市代謝の統合化への都市環境インフラの進化
7.1 俯瞰的な視点の必要性
7.2 都市での水・資源・エネルギーの統合管理の重要化
7.3 都市の水インフラシステムのエネルギー消費の限界
7.4 廃棄のための処理から水・資源・エネルギーの回収利用へ
8 都市環境インフラの視点から見た人間安全保障工学の深化
8.1 都市水循環系とエネルギー問題の再利用による複合解決
8.2 雨水利用と内水対策の複合解決
8.3 循環型資源利用に潜むリスクとその低減
8.4 都市の環境・エネルギー・防災問題・都市ガバナンスの複合解決
コラム2 東日本大震災と下水処理の問題点
第5章 人間安全保障工学の視点からの総合的災害リスク管理 [多々納裕一・吉田護]
1 自然災害と人間安全保障
1.1 世界における災害の発生傾向
1.2 アジアにおける災害の特徴
1.3 ムンバイにおける災害リスク管理
2 人間の安全保障を目指した災害リスク管理
2.1 人間・生活の災害脆弱性の形成過程
コラム3 富や権力は災害の被害の大きさに影響を及ぼす?
2.2 災害リスク管理の手段
2.3 レジリエンシー―抵抗力と回復力
2.4 災害リスク管理の主体
2.5 災害リスク管理のプロセス
2.6 災害リスクガバナンスとコミュニケーションのデザイン
3 総合的災害リスク管理の実現に向けて
第6章 都市の人間の安全保障におけるコミュニティ次元 [ショウラジブ]
1 「人間の安全保障」をめぐるさまざまな主張
2 人間の安全保障と災害リスク軽減枠組
2.1 災害に対する人間の安全保障
2.2 兵庫行動枠組の展開と課題
2.3 人間の安全保障と兵庫行動枠組
2.4 兵庫行動枠組のもとでの自治体の取り組み
3 アジア地域の都市リスクおよび都市回復力と人間の安全保障に関わる課題
3.1 アジア都市が直面する災害リスク
3.2 都市化するアジア・メガシティ
3.3 災害リスクにさらされる都市貧困層
4 都市回復力の分析ツールとアプローチ
4.1 都市回復力の概念について
4.2 CDRI(気象および災害からの回復力評価イニシアティブ)
4.3 CDRI指標と人間の安全保障および兵庫行動枠組
4.4 CDRI評価の実践事例
5 人間の安全保障強化のためのコミュニティ主体アプローチ
5.1 人間の安全保障強化のためのコミュニティ次元
5.2 コミュニティ行動計画(CAP)
5.3 行動および実施型回復力評価(AoRA)
5.4 社会,制度および経済回復力行動(SIERA)
6 今後の展開
第7章 アセットマネジメントとは [小林潔司]
1 アセットマネジメントの必要性
1.1 アセットマネジメントの背景
1.2 日本におけるアセットマネジメントの現状
2 アセットマネジメントの概要
2.1 アセットマネジメントシステムの必要性
2.2 アセットマネジメントシステム
2.3 アセットマネジメントシステムの構成
3 アセットマネジメント標準
3.1 ISO5500X
3.2 日本におけるマネジメント標準の役割
3.3 メタマネジメントとしてのPDCA
4 アセットマネジメントの国際標準化戦略
4.1 国際標準の種類
4.2 標準化競争とつきあいの原理
4.3 国際標準化戦略
5 アセットマネジメント導入事例
5.1 ベトナムでの導入事例
5.2 多様化標準システム
5.3 京都モデル
6 おわりに
第8章 人間安全保障工学の教育体系の実装 [米田稔]
1 人間安全保障工学を習得するには
2 京都大学での教育実践
2.1 人間安全保障工学と「人間安全保障工学教育プログラム」
2.2 人材が備えるべき素養
2.3 必修科目とコア科目
2.4 モード2学問としてのインターンシップ
2.5 社会人を対象とした短期コースの実施
2.6 教育システムの運営で考慮すべき事項
3 今後の展開
コラム4 プログラム修了生の声
付録 履修生らのインターンシップ報告から
用語集
索引
執筆者紹介