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変異するダーウィニズム

進化論と社会

阪上 孝 編

A5上製・650頁

ISBN: 9784876986217

発行年月: 2003/11

  • 本体: 5,200円(税込 5,720円
  • 在庫なし
 
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内容

ダーウィニズム=進化論の登場によって、人文・社会科学も大変革を迫られた。「進化」を導きの糸として、さまざまな領域で「新しい学問」が誕生した。その一世紀半の軌跡を、総合的に追究する論集。初期の概念をめぐる論争、社会学をはじめとする諸科学への影響、とりわけ優生学などを促進した課程をたどり、現代における最新到達点を示す。

プロフィール

編 者:

阪上 孝(さかがみ たかし)

[現 職] 中部大学中部高等学術研究所教授・京都大学名誉教授
 1939年 神戸市生まれ。
 1966年 京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。
 1966年 京都大学人文科学研究所助手。
 1973年 大阪市立大学経済学部講師。
 1976年 京都大学人文科学研究所助教授。
 1988年 京都大学人文科学研究所教授。
 2003年より現職。
[主な著書]
 『フランス社会主義』(新評論、1981年)
 『一八四八 国家装置と民衆』(編著、ミネルヴァ書房、1985年)
 『人文学のアナトミー』(共編著、岩波書店、1995年)
 『近代的統治の誕生』(岩波書店、1999年)

執筆者:

阪上  孝(さかがみ たかし)  中部大学中部高等学術研究所/社会思想史
北垣  徹(きたがき とおる)  西南学院大学文学部/知識社会学・社会思想史
小林 博行(こばやし ひろゆき) 京都大学人文科学研究所/科学史
大東 祥孝(おおひがし よしたか)京都大学留学生センター/精神医学
田中 雅一(たなか まさかず)  京都大学人文科学研究所/文化人類学
小山  哲(こやま さとし)   京都大学大学院文学研究科/西洋史
白鳥 義彦(しらとり よしひこ) 神戸大学文学部/社会学
武田 時昌(たけだ ときまさ)  京都大学人文科学研究所/中国科学思想史
上野 成利(うえの なりとし)  神戸大学国際文化学部/政治・社会思想史
斎藤  光(さいとう ひかる)  京都精華大学人文学部/科学史
宇城 輝人(うしろ てるひと)  福井県立大学学術教養センター/社会学・社会思想史
竹沢 泰子(たけざわ やすこ)  京都大学人文科学研究所/人権・エスニシティ論
小林 清一(こばやし きよかず) 滋賀県立大学人間文化学部/社会政策・社会思想史
横山 輝雄(よこやま てるお)  南山大学人文学部/科学哲学・科学技術論
加藤 和人(かとう かずと)   京都大学人文科学研究所/現代生命科学論
八木 紀一郎(やぎ きいちろう) 京都大学大学院経済学研究科/経済学・経済学史

目次

はしがき

ダーウィニズムと人文・社会科学                  阪上 孝
 一 ダーウィニズムと人文・社会科学 ――その二つの局面
 二 第一局面におけるダーウィニズム
 三 累積的変化の理論 ――ソースティン・ヴェブレン
 四 「文化進化論」

I 概念と論争

ダーウィンを消した女 ――クレマンス・ロワイエと仏訳『種の起源』 北垣 徹
 一 知の広がりの諸様態
 二 『種の起源』の進化と変異
 三 翻訳のダイナミズムとポリティクス
 四 フェミニズムとレイシズムのあいだ
 五 一元論的唯物論
 六 ダーウィンの威光
カプセルのなかの科学 ――スペンサー=ヴァイスマン論争      小林 博行
 一 舞台と発端
 二 争点――三つのレベル
 三 基本的対立
 四 余波と副産物
「変質」と「解体」 ――精神医学と進化論             大東 祥孝
 一 変質論と進化論
 二 「解体」学説と進化論
 三 「変質」と「解体」の精神医学における進化論的意義
 四 ダーウィニズムと精神医学
親族研究に置ける進化概念の受容 ――進化から変容へ        田中 雅一
 一 進化から歴史へ
 二 類別的名称とは? ――ドラヴィダ型親族名称体系
 三 『人類の血族と婚姻の諸体系』の初稿
 四 進化主義の導入
 五 『古代社会』における家族と親族
 六 モーガン以後の親族研究 ――レヴィ=ストロースとニーダム
 七 進化を決定する要因 ――スリランカの漁村から

II 進化論から見た社会

闘争する社会 ――ルドヴィク・ダンプロヴィチの社会学大系     小山 哲
 一 「ファシズムへの予備工作」?
 二 ポーランド・ポジティヴィズムと進化論の受容
 三 グンプロヴィチのプロフィール
 四 グンプロヴィチの社会学大系 ――進化論との関連を中心に
 五 「ポーランドの土壌」から生まれたもの
『動物社会』と進化論 ――アルフレッド・エスピナスをめぐって   白鳥 義彦
 一 エスピナスの位置づけ
 二 エスピナスの経歴
 三 『動物社会』について
 四 社会学への道
 五 動物社会への視点
加藤弘之の進化学事始                       武田 時昌
 一 近代日本に置ける進化論の啓蒙活動
 二 バックル文明史観からダーウィン進化論へ
 三 人口論とダーウィン説
 四 人種論における進化説
 五 ドイツ進化主義者の影響
 六 加藤弘之の進化論理解
 七 『日本之開化』の進化学
 八 社会ダーウィニズムへの傾斜
 九 科学知識としての進化論
群体としての社会 ――丘浅次郎における「社会」の発見をめぐって  上野 成利
 一 丘浅次郎と「社会」の発見
 二 生存競争と適者生存 ――生物の進化
 三 団体生活と服従西神 ――人類の滅亡
 四 自然淘汰と人類改良 ――社会の進化
 五 生存競争と相互扶助 ――生物の階級
 六 有機体国家から群体社会へ
個体としての生物、個体としての社会                斎藤 光
  ――石川千代松における進化と人間社会
 一 石川千代松の位置
 二 石川の進化思想を測る二つの水準点
 三 『進化新論』におけるダーウィン的構図と個体論的構成
 四 進化と社会

III 人種と優生学

人口とその徴候 ――優生学批判のために              宇城 輝人
 一 統計
 二 写真
 三 優生学の視点
アメリカ人類学に見る進化論と人種                 竹沢 泰子
 一 『種の起源』以前のアメリカ人類学 ――モートンとアメリカ人類学派
 二 ダーウィンと人類学
 三 進化論とアメリカ人類学者 ――ブリントン、パウエル、クロッソン
 四 シカゴ世界大博覧会と人種の展示 ――パットナム
 五 人類学にとっての進化論
人種主義と優生学 ――進化の科学と人間の「改造」(アメリカの場合)小林 清一
 一 心理学の展開と遺伝の科学
 二 移民問題と人種主義
 三 遺伝の科学と優生学
 四 優生運動 ――断種と移民制限
 五 優生運動の転換と遺伝の科学

IV ダーウィニズムの現在

「ダーウィン革命」とは何であったか                横山 輝雄
 一 コペルニクス革命とダーウィン革命
 二 ダーウィン革命についての二つの解釈
 三 ダーウィン革命と世界観の問題
 四 ダーウィン革命と歴史性の問題
 五 ダーウィン革命と目的論の問題
必然としての「進化の操作」                    加藤 和人
  ――現代社会における人と自然の行方を考える
 一 現代における進化の科学と思想
 二 実験生物学と「進化の操作」の可能性
 三 生態系の変化 ――すでに操作されている自然
 四 人と自然の見方について ――「文化としての自然」を考える
進化経済学の現在                         八木 紀一郎
 一 進化的な科学革命の構造
 二 再生した進化経済学 ――諸潮流
 三 出現しつつあるコア構造
 四 岐路か統合か ――進化経済学の現在の課題

  ダーウィニズムの展開 関連年表
  人名索引
  執筆者一覧
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