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水とワイン 西欧13世紀における哲学の諸概念

川添 信介

A5上製・230頁

ISBN: 9784876986460

発行年月: 2005/02

  • 本体: 3,000円(税込 3,300円
  • 在庫なし
 
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内容

13世紀、創設されたばかりの大学においてアリストテレス哲学が隆盛しようとしていた。これに対して、水(哲学)をワイン(聖書)に混ぜてはいけないとして、教会側から1277年に219箇条に及ぶ厳しい禁令が出され、哲学と神学・教学の深刻な対立は頂点に達した。シゲルス、ボナヴェントラ、トマス・アクィナスらの対応を検証するなかで、哲学とは何かを問う。

プロフィール

川添信介(かわぞえ しんすけ)

京都大学大学院文学研究科教授
1955年 佐賀県唐津市生まれ。
1983年 京都大学大学院文学研究科博士後期課程(哲学専攻)単位取得退学。
1985年 大阪市立大学文学部哲学科助手、講師、助教授を経て、
1990年 京都大学文学部助教授、
1996年 京都大学大学院文学研究科助教授、
2004年より現職。

主な著訳書
『岩波 新・哲学講義2 神と実在へのまなざし』(共著、岩波書店、1998)
A・ケニー『トマス・アクィナスの心の哲学』(翻訳、勁草書房、1998)
G・ロディス-レヴィス『デカルトの著作と体系』(共訳、紀伊國屋書店、1990)。

目次

序 章 水とワイン
 1節 哲学と神学
 2節 一二七七年のパリ禁令の問題
 3節 本書の目的と方法

第1章 一二七七年の禁令の問題
 1節 研究状況の概観
 2節 「七〇年代の危機」の歴史的経緯
  (1)一二六〇年代までの状況
  (2)急進的アリストテレス主義の登場
  (3)一二七〇―七七年の経緯
 3節 一二七七年禁令「序文」と二重真理説

第2章 急進的アリストテレス主義の哲学
 1節 「二重真理」への対処法
 2節 シゲルスにおける哲学と信仰
  (1)「アリストテレスの見解を語りながら」
  (2)哲学的論拠の蓋然性
  (3)哲学的論究の自律性
 3節 ダキアのボエティウスの立場
  (1)『世界的永遠性について』の議論構成
  (2)哲学者とキリスト教徒のあいだ
 4節 哲学とキリスト教の教えの分離主義

第3章 ボナヴェントゥラと哲学
 1節 『命題集注解』における神学の本質的規定
 2節 哲学の不完全性とは何か
 3節 後期諸著作における哲学
 4節 自閉的な侍女としての哲学

第4章 アクィナスと哲学
 1節 神学の学問性
 2節 哲学と神学の学問的知識としての相違
 3節 神学による哲学の使用
 4節 哲学の濫用とその自律

第5章 哲学としての神学
 1節 三つの哲学観
 2節 合理性と哲学


あとがき
付 録
 (1)関連年表
 (2)一二七七年の禁令の序文
文献表
索 引
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