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イタリア語の起源

歴史文法入門

ジュゼッペ・パトータ著/岩倉具忠監修/橋本勝雄訳

A5上製・232頁

ISBN: 9784876987054

発行年月: 2007/04

  • 本体: 2,800円(税別)
  • 在庫あり

田中克彦氏(一橋大学名誉教授)推薦

 ことばは望まなくとも必ず変化する。その変化のすじ道をたどってみることは、ことばの研究の中でも、最もおもしろいテーマだ。こうした変化のドラマのあとをいきいきと再現して見せてくれるのが、イタリア語、スペイン語、フランス語などのロマンス諸語の歴史である。なぜなら、それら共通の出発点が、ラテン語というかなりはっきりした形で残っているからだ。

 本書はそのラテン語がローマの小さな一角を脱して、広い地域にひろまり、文字を知らない民衆の口に話されて俗ラテン語となり、次いでイタリア語へと発展して行く過程で、もとはなかった冠詞を生み出し、新たな文法秩序を作り出したありさまをすっきりと描き出している。

 言語変化を研究するモデルとして、本書を、ことばの研究にたずさわるすべての人にすすめたい。

 
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内容

現代日本語の知識だけで『徒然草』を読むことはできないが、現代イタリア語を知っていれば中世末期のダンテが読めるのはなぜ? ラテン語からの変遷を文法面から詳しく追い、標準イタリア語と姉妹関係にある、ナポリ語などイタリアで話されている諸言語への見取り図を提供。イタリア語をいっそう深く理解するための格好の文法史・入門

書評

『日伊文化研究』第46号、109頁、評者:森田学氏

プロフィール

Giuseppe Patota (ジュゼッペ・パトータ)
シエナ大学文学部近代文学・言語学学科教授.専門は,イタリア語史.
主な著書・論文:Sintassi e storia della lingua italiana: tipologia delle frasi interrogative (Bulzoni, 1990), Lingua e linguistica in Leon Battista Alberti (Bulzoni, 1999), Grammatica di riferimento della lingua italiana per stranieri (Le Monnier, 2003)などのイタリア語史・文法の専門書のほか,Valeria Della Valleとの共著Il salvaitaliano (Sperling & Kupfer, 2000)など,イタリア語に関する一般書を多数執筆.

岩倉具忠(いわくら・ともただ)
京都大学名誉教授・京都外国語大学教授.
1933年,東京生まれ.1963年京都大学大学院文学研究科博士課程を修了.1975年京都大学文学部助教授.1988年博士号(文学)を取得し,教授となる.1997年京都大学を退官し現職に就く.専門は,イタリア語史,ダンテ研究,比較文化史.
主な著書:『ダンテ俗語詩論』(訳注,東海大学出版会,1984年),『イタリア文学史』 (共著,東京大学出版会,1984年),『ダンテ研究』(創文社,1988年),『マキァヴェッリ全集』 (第4巻,共訳,筑摩書房,1999年).

橋本勝雄(はしもと・かつお)
京都外国語大学外国語学部イタリア語学科講師.
1967年,栃木生まれ.京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学.専門は,イタリア現代小説研究.
主な翻訳書:イタロ・カルヴィーノ『水に流して : カルヴィーノ文学・社会評論集』(共訳,朝日新聞社,2000年),ウンベルト・エーコ『カントとカモノハシ』(共訳,岩波書店,2003年).

目次

日本語版 序(岩倉具忠)
まえがき
読むさいの注意と説明

第1章 イタリア語はラテン語から派生するか
1 時間の要因、いわゆる通時態
  ◇ガリリアーノの新エピグラフ
2 地域の要因、通域態
3 様式の要因、通様態
4 社会文化の要因、通層態
5 伝達方法の要因、通媒態
6 話されたラテン語の史料
  ◇『プロブスの補遺』
7 再建・比較による方法
8 古典ラテン語と俗ラテン語
9 俗ラテン語からイタリア語へ
10 民衆語と学識語

第2章 イタリア語の音と音素
1 イタリア語の音素
2 音声記号
3 無声音素と有声音素
4 口音素と鼻音素
5 母音
6 二重母音
7 三重母音
8 母音接続
9 子音
10 現行の書字法による子音の表記法
11 単子音と重子音

第3章 ラテン語からイタリア語へ:音韻変化
1 ラテン語の母音とイタリア語の母音
2 強勢
3 母音体系の諸現象
 3-1AU, AE, OEの単音化
 3-2トスカーナの二重母音
◇「変異二重母音」の規則
 3-3母音上昇
 3-4母音接続における強勢母音の閉口音化
 3-5強勢前のeのiへの閉口音化
◇統語的強勢前のeの閉口音化
 3-6強勢前のoのuへの閉口音化
 3-7語末でない音節における、強勢後のeの閉口音化
 3-8強勢間、強勢前のarからerへの推移
 3-9強勢前の母音の両唇音化
 [文法よりも実践1]『デカメロン』に見る母音体系の現象
4 子音体系の現象
 4-1末尾子音の欠落
 4-2軟口蓋閉鎖音の口蓋化
 4-3語頭および語内の半子音[j]の扱い
 4-4唇軟口蓋音
 4-5母音間の有声両唇音の摩擦音化
 4-6子音の有声音化
 4-7子音+半子音[j]の連音
 4-8子音+lの連音
 4-9子音+lの連音の特別な例
 [文法よりも実践2]『デカメロン』に見る子音体系の現象
5 一般的現象
 5-1語頭音追加
 5-2語尾音追加
 5-3語中音追加
 5-4語頭音消失
 5-5冠詞分離
 5-6冠詞凝固
 5-7語中音消失
 5-8語尾音消失
 5-9音声の統語的重子音化

第4章 ラテン語からイタリア語へ:形態的変化
1 名詞の数
2 名詞の性 中性の消失
3 格変化の消失
4 屈折語尾体系の単純化
  ◇ラテン語の語尾変化
5 性と数の語形変異
6 対格からのイタリア語名詞の派生
7 冠詞の形成
 7-1不定冠詞
 7-2定冠詞男性形
 7-3定冠詞女性形
8 人称代名詞
9 所有形容詞と所有代名詞
10 指示形容詞と指示代名詞
11 関係代名詞
12 不定形容詞と不定代名詞
13 動詞
 13-1動詞活用の簡略化
 13-2直説法現在の形成
 13-3遠過去の形成
 13-4複合時制の形成
 13-5迂言的受動態の形成
 13-6未来形の形成
 13-7条件法の形成
 [文法よりも実践3]『デカメロン』に見る形態論的現象

第5章 ラテン語からイタリア語へ:統語的変化
1 文中の語順 SOVからSVOへ
2 主語代名詞の明示と位置
3 非強勢形代名詞の前接
4 トブラー=ムッサフィアの規則
5 CHE の機能:補語節
 [文法よりも実践4]『デカメロン』に見る統語論的現象

第6章 中世のイタリアのことば:全体像
1 古ミラノ方言
  ◇ボンヴェジン・ダ・ラ・リーヴァ
2 古ヴェネツィア語
  ◇『ヴェネトのトリスタン』
3 古ローマ方言
  ◇『年代記』
4 古ナポリ方言
  ◇『ナポリ書簡』
5 古シチリア方言
  ◇『シチリア地方の哀歌』
6 トスカーナ外のコイネー(共通語)
  ◇15世紀北部のコイネー

文献
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索引
あとがき
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