ホーム > 書籍詳細ページ

魂の正義

プラトン倫理学の視座

朴 一功

A5上製・302頁

ISBN: 9784876989362

発行年月: 2010/02

  • 本体: 4,000円(税込 4,400円
  • 在庫あり
 
  • mixiチェック

内容

「よく生きる」ことを終生において探究したソクラテスの遺志を受け継ぎながら,プラトンが構築した「正義論」を中心とする倫理思想は,西洋思想に深い影響をあたえてきた.本書はソクラテスの倫理思想の本質を明らかにした上で,現代の多くの研究成果をふまえ,プラトンがソクラテスの思想をどのように受容,展開していったかを明解に論じる.

プロフィール

朴 一功(ぱく いるごん)

大谷大学教授 1953年、京都府生まれ。1985年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得 退学、2000年京都大学博士(文学)、2005年甲南女子大学教授を経て現職。 主な著訳書に、『実践哲学の現在』(共著、世界思想社)、『西洋哲学史(古代・ 中世編)』(共著、ミネルェァ書房)、『イリソスのほとり―藤澤令夫先生献呈論 文集』(共著、世界思想社)、『ソクラテス以前哲学者断片集』第V分冊(共訳、 岩波書店)、アリストテレス『ニコマコス倫理学』(京都大学学術出版会)、プラ トン『饗宴/パイドン』(京都大学学術出版会)などがある。

目次



第一部 徳の探求
第一章 徳の探求─プラトン『メノン』をめぐって
1 メノンの徳概念
2 ソクラテスの要求
3 徳の「一性」
4 「一つの徳」としての知恵
第二章 ソクラテスの徳概念
1 徳一般と個別的な徳─『プロタゴラス』の問題
2 ソクラテスの立場─徳の「一性」
3 ソクラテスの探求対象の特質
4 善悪の知識としての徳の「一性」
5 知識・願望・自己─善悪の知識の意味
第三章 ソクラテスにおける徳と幸福
1 ソクラテスと「徳十分説」
2 ソクラテスにおける徳と幸福─ヴラストスの解釈
3 「幸福の複数構成要素モデル」の問題点
4 ソクラテスにおける徳と幸福の「同一説」
5 ソクラテスにおける「徳十分説」の根拠
6 「徳十分説」とソクラテスの生
第四章 ソクラテスの知の否認と快楽主義
1 ソクラテスの知の否認
2 ソクラテスの知識概念
3 ソクラテスの「快楽主義的立場」をめぐる問題
4 「計量術」とソクラテスの「快楽主義的立場」
5 ソクラテスの倫理説の問題とプラトンの課題
第二部 プラトンの倫理学
第一章 魂の正義
1 「通俗的正義概念」と「プラトン的正義概念」
2 二つの正義概念に関わるプラトンの推論
3 プラトンの正義概念の問題点
4 正義と幸福─哲学者の場合
5 「自分のことをすること」としての〈正義〉
第二章 弁論術・説得・対話
1 弁論術における説得
2 ソクラテスにおける説得
3 ソクラテスの対話法の問題とプラトンの対応
第三章 ソクラテスの遺産─魂の世話
1 ソクラテスにおける徳と技術知とのアナロジー
2 技術知としての徳とその使用の問題
3 アリストテレスの反応
4 ソクラテスの想定—善への欲求
5 プラトンの魂三区分説
第四章 プラトンにおける不死性
1 ソクラテスの死生観の輪郭
2 『饗宴』における不死性の問題
3 〈私〉の不死性
結 び

初出一覧
文献一覧

  あとがき
  人名索引/事項索引/出典索引
このページの先頭へ