ホーム > 書籍詳細ページ

水産の21世紀

海から拓く食料自給

田中克・川合真一郎・谷口順彦・坂田泰造 編

A5上製・649頁

ISBN: 9784876989577     正誤表(2011.1.14更新)PDF

発行年月: 2010/08

  • 本体: 4,700円(税込 5,170円
  • 在庫あり

[推薦]
尾池和夫氏(財団法人国際高等研究所所長、京都大学前総長)
人類の祖先を辿ると魚に至る。海で生まれた生命の長い進化の過程で鍛え抜かれた極めて精巧な自然のテクノロジー、“生物生産”としてたゆみなく生み出される魚介藻類は、安全で栄養豊かな食料である。それは人々の健康を増進し、心の豊かさの源でもある。海洋国日本の持続性の基盤となる魚食文化と海への畏敬の念の再建、その今日的意義を日本のみならず世界に広める上で、本書が果たす役割は計り知れない。

嘉田由紀子氏(滋賀県知事)
“買い負け”。お金に任せて世界中から食料を買い占める道は21世紀には通用しない。石油依存の20世紀型文明の行く末は見えている。アユ1匹工場では生産できない。究極のエネルギー源は太陽光を核とした自然の力しかない。幸い日本は、魚介藻類の生き物に満ちた海に取り囲まれている。本書は、海の力の精巧な仕組みを解き明かしながら、未来を拓く食料自給の実践が語り尽くされている。行政政策上もおおいに参考にさせてほしい。

さかなクン(東京海洋大学客員准教授、お魚らいふ・コーディネーター)
さかなクンの“お魚の師”(水産学の師)中村良成様から、すばらしい贈り物が届き早速、拝読させていただきました。うぉ(魚)〜! ギョギョッ!! なるほど!!! 近年、問題となっているクロマグロ、クジラ、漁業、環境、そして食! “水産”の知っているようで、知らなかった事の多さに驚愕。さらに日本の伝統的な水産文化のすばらしさ! ウナギの明るい未来に向けての御研究、海藻のパワーなどワクワクがいっぱい! 先生方の偉大な御研究の集大成の感動が大漁です。

 
  • mixiチェック

内容

世界的な食糧争奪の世紀、四方を海で囲まれた日本を救うのは未来の水産業だ。海の基礎生産を理解し、持続的利用の術を知り、増養殖漁業の可能性を探る。豊富な事例とデータで、食料自給を海から拓く道を示す、水産研究者の総力を挙げた画期的論集。「森は海の恋人」運動の畠山重篤氏も特別寄稿。現場と研究双方から明日の水産を考える。

書評

『京都中央市場新聞』'10年9月1日
『月刊かん水』No.551('10年10月)、35頁
『毎日新聞』'10.12.7朝刊「火論」

プロフィール

編者紹介
田中  克(たなか まさる,第7章編集,はじめに・序章・第7章第2節執筆)
京都大学名誉教授,農学博士,マレーシアサバ大学持続農学部客員教授,財団法人国際高等研究所フェロー.
海産稚魚の生理生態学的研究から,2003年に新たな統合学問「森里海連環学」を提唱.著書に『森里海連環学への道』(旬報社,2008),『稚魚 生残と変態の生理生態学』(共編 京都大学学術出版会,2009)など.

川合真一郎(かわい しんいちろう,第5章・第6章編集,はじめに・終章執筆)
神戸女学院大学名誉教授,農学博士,現在,甲子園大学栄養学部教授,生態毒性学に関する研究に従事.
著書に『明日の環境と人間─地球をまもる科学の知恵(第3版)』(共著 化学同人,2004),『環境ホルモンと水生生物』(成山堂,2004)など.

谷口 順彦(たにぐち のぶひこ,第1章・第2章編集,はじめに・第2章第4節執筆)
福山大学生命工学部教授,東北大学名誉教授,高知大学名誉教授,農学博士.
著書に『アユ学─アユの遺伝的多様性の利用と保全』(築地書館,2009),『水産資源の増殖と保全』(分担執筆 成山堂書店,2008)など.

坂田 泰造(さかた たいぞう,第3章・第4章編集,はじめに・コラム11・12執筆)
鹿児島大学名誉教授,博士(農学).
著書に『赤潮と微生物』(分担執筆 恒星社厚生閣,2005)など.

執筆者紹介(掲載順,2010年7月現在,編者は除く)
中前  明(なかまえ あきら,第1章第1節)
農林水産省顧問(国際捕鯨委員会日本政府代表),前独立行政法人水産総合研究センター理事長,前水産庁次長.
編著書に『水産海洋ハンドブック』(共編 生物研究社,2010)など.

魚住 雄二(うおずみ ゆうじ,第1章第2節)
独立行政法人水産総合研究センター遠洋水産研究所所長,農学博士.
著書に『マグロは絶滅危惧種か』(成山堂,2003)など.

諸貫 秀樹(もろぬき ひでき,第1章第3節前半)
水産庁増殖推進部漁場資源課生態系保全室課長補佐.

森下 丈二(もりした じょうじ,第1章第3節後半)
水産庁資源管理部参事官.

上坂 裕子(かみさか ゆうこ,コラム1)
ベルゲン大学生物学部研究員,農学博士.ノルウェー在住10年目.
仔稚魚の消化生理を組織学的に研究している.

郭  又(かく うそく,コラム2)
慶尚大学校海洋生命科学科教授,農学博士.
研究分野は魚類の仔稚魚生理学及び水産資源の集団遺伝学.

田中 庸介(たなか ようすけ,コラム3)
独立行政法人水産総合研究センター奄美栽培漁業センター技術開発員,農学博士.
研究分野は魚類仔稚魚の生態学.現在はクロマグロの初期生態に関する研究およびクロマグロの種苗生産技術開発に取り組んでいる.

宮原 一隆(みやはら かずたか,コラム4)
兵庫県立農林水産技術総合センター水産技術センター主任研究員,博士(農学).
著書に『新鮮イカ学』(分担執筆 東海大学出版会,2010)など.

青海 忠久(せいかい ただひさ,第2章第1節)
福井県立大学海洋生物資源学部教授,農学博士.
著書に『稚魚の自然史─千変万化の魚類学』(分担執筆 北海道大学図書刊行会,2001)など.

輿石 裕一(こしいし ゆういち,第2章第2節)
独立行政法人水産総合研究センター中央水産研究所 浅海増殖部部長.
著書に『干潟の海に生きる魚たち』(分担執筆 東海大学出版会,2009)など.

田中 秀樹(たなか ひでき,第2章第3節)
独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所 生産技術部繁殖研究グループ長,農学博士.
著書にEel Biology(分担執筆 Springer-Verlag,2003)など.

谷口 道子(たにぐち みちこ,第2章第5節)
元高知県海洋深層水研究所所長,農学博士.
著書に『海のミネラル学─生物との関わりと利用』(分担執筆 成山堂書店,2007).

和田 敏裕(わだ としひろ,コラム5)
福島県水産試験場副主任研究員,農学博士.
カレイ科魚類(特に栽培漁業対象種)の生理生態研究に取り組んでいる.

中村 良成(なかむら りょうせい,コラム6・7)
神奈川県環境農政局水・緑部水産課水産企画グループ グループリーダー.
同県水産試験場(現 水産技術センター)勤務時代にヒラメの放流技術開発を担当.

成子 隆英(なるこ たかひで,特別寄稿1)
水産庁増殖推進部部長.

吉川  毅(よしかわ たけし,第3章第1節)
鹿児島大学水産学部准教授,博士(農学).
著書に『海の環境微生物学』(分担執筆 恒星社厚生閣,2005)など.

上田 拓史(うえだ ひろし 第3章第2節)
高知大学総合研究センター教授,博士(農学)
著書に『カイアシ類学入門─水中の小さな巨人たちの世界』(分担執筆 東海大学出版会,2005)など.

加藤  修(かとう おさむ,第3章第3節)
独立行政法人水産総合研究センター日本海区水産研究所 日本海海洋環境部部長,農学博士.
対馬暖流の構造と変動特性及び対馬暖流によって輸送される生物の分布などに関する研究に従事.

吉田 吾郎(よしだ ごろう,第3章第4節)
独立行政法人水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所主任研究員,農学博士.
著書に『地球温暖化とさかな』(分担執筆 成山堂,2010)など.

八谷 光介(やつや こうすけ,第3章第4節)
独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所研究員,地球環境学博士.
著書に『磯焼け対策シリーズ㈪㈫』(分担執筆 成山堂,2008)など.

小路  淳(しょうじ じゅん,コラム8)
広島大学瀬戸内圏フィールド科学教育研究センター准教授,農学博士.
著書に『藻場とさかな─魚類生産学入門』(成山堂書店,2009)など.

松田 浩一(まつだ ひろかず,コラム9)
三重県水産研究所主幹,農学博士.
著書に『イセエビをつくる』(成山堂書店,2010)など.

山口 峰生(やまぐち みねお,第4章第1節前半)
独立行政法人水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所 赤潮環境部赤潮生物研究室室長,農学博士.
著書に『海の環境微生物学』(分担執筆 恒星社厚生閣,2005)など.

長崎 慶三(ながさき けいぞう,第4章第1節後半)
独立行政法人水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所 赤潮環境部赤潮制御研究室室長,農学博士.
著書に『21世紀生命科学バイオテクノロジー最前線』(分担執筆 東京教育情報センター,2003)など.

鈴木 輝明(すずき てるあき,第4章第2節)
名城大学大学院総合学術研究科特任教授,農学博士.
著書に『環境配慮・地域特性を生かした干潟造成法』(分担執筆 恒星社厚生閣,2007)など.

細谷 和海(ほそや かずみ,第4章第3節)
近畿大学大学院農学研究科教授,農学博士.
著書に『ブラックバスを退治する─シナイモツゴ郷の会からのメッセージ』(共編 恒星社厚生閣,2006)など.

山本 義和(やまもと よしかず,第4章第4節)
神戸女学院大学名誉教授,農学博士.
著書に『明日の環境と人間─地球をまもる科学の知恵(第3版)』(共著 化学同人,2004)など.
江口さやか(えぐち さやか,第4章第4節)
神戸女学院大学人間科学部環境・バイオサイエンス学科嘱託教学職員,博士(人間科学).博士学位論文(2010年)『水環境への汚染物質負荷の低減および監視を目的としたモニタリング手法に関する研究─エストロゲン様物質と重金属類を対象物質として』.

山岡 耕作(やまおか こうさく,コラム10)
高知大学教育研究部総合科学系黒潮圏科学部門教授 農学博士.
「黒潮圏科学」の創出に努力中.

宮崎 信之(みやざき のぶゆき,第5章第1節)
東京大学名誉教授,農学博士.
著書に,『恐るべき海洋汚染─有害物質に蝕まれる海の哺乳類』(合同出版,1992),『バイカル湖─古代湖のフィールドサイエンス』(共編 東京大学出版会,1994),『三陸の海と生物─フィールドサイエンスの新しい展開』(編著 サイエンティスト社,2005)など.

鈴木  徹(すずき とおる,第5章第2節)
東北大学大学院農学研究科教授,農学博士.
研究分野は異体類を中心とした海産魚類,およびゼブラフィッシュなどのモデル生物を使った魚類発生学.

西田  睦(にしだ むつみ,第5章第3節)
東京大学大気海洋研究所教授・所長,農学博士.
著書に『海洋の生命史─生命は海でどのように進化したか』(編著 東海大学出版会,2009)など,監訳書に『生物系統地理学─種の進化を探る』(J・C・エイビス著,東京大学出版会,2008)など.

北川 貴士(きたがわ たかし,コラム13)
東京大学大学院新領域創成科学研究科/大気海洋研究所助教,博士(農学).
著書に『海の環境100の危機』(分担執筆 東京書籍,2006)など.

松沢 慶将(まつざわ よしまさ,コラム14)
神戸市立須磨海浜水族園主任研究員,日本ウミガメ協議会理事,農学博士.
著書にLoggerhead Sea Turtles(分担執筆 Smithsonian Books, 2003),『サステナビリティと経営学─共生社会を実現する環境経営』(分担執筆 ミネルヴァ書房,2009).

益田 玲爾(ますだ れいじ,コラム15)
京都大学フィールド科学教育研究センター舞鶴水産実験所准教授,農学博士.
著書に『魚の心をさぐる─魚の心理と行動』(成山堂書店,2006)など.

藤井 建夫(ふじい たてお,第6章第1節)
東京海洋大学名誉教授,農学博士,東京家政大学特任教授・生活科学研究所所長.
著書に『魚の発酵食品』(成山堂書店,2000),『食品衛生学第二版』(分担執筆 恒星社厚生閣,2007)など.

内田 基晴(うちだ もとはる,第6章第2節)
独立行政法人水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所 栽培資源部資源増殖研究室室長,農学博士.
主な研究分野は,海藻の乳酸発酵技術と海水サプリメントの開発.

鷲尾 圭司(わしお けいじ,第6章第3節)
独立行政法人水産大学校理事長,京都精華大学非常勤講師.
著書に『明石海峡魚景色』(長征社,1989)など.

田村 典江(たむら のりえ,第6章第4節)
株式会社アミタ持続可能経済研究所,主任研究員.農学博士.
著書に『コモンズ研究のフロンティア─山野海川の共的世界』(分担執筆 東京大学出版会,2008).

日下部敬之(くさかべ たかゆき,コラム16)
大阪府環境農林水産総合研究所水産技術センター主任研究員,博士(農学).
著書に『チリモン博物誌』(分担執筆 幻戯書房,2009)など.

松田  乾(まつだ つよし,コラム17)
財団法人名古屋みなと振興財団 名古屋港水族館 飼育展示部飼育展示第一課深海・南極担当係長.

深見 公雄(ふかみ きみお,第7章第1節)
高知大学理事(教育担当)・副学長,農学博士,
専門は海洋微生物生態学,海洋環境保全学.海の微生物の役割やそれを利用した環境保全,悪化した環境の修復と改善などを研究している.

畠山 重篤(はたけやま しげあつ,第7章第3節・コラム18)
カキ養殖業,牡蠣の森を慕う会代表,NPO法人森は海の恋人代表,京都大学フィールド科学教育研究センター社会連携教授.
著書に『森は海の恋人』,『リアスの海辺から』(ともに文春文庫)など.

御宿 昭彦(みしく あきひこ,コラム19)
静岡県水産技術研究所伊豆分場勤務.
在学中「ダイビングクラブ京大マリンスノー」を創部し,現在も伊豆などの海に潜り続ける.

浜辺 誠司(はまべ せいじ,特別寄稿2)
海苔養殖業(三代目),NPO法人天明水の会理事長.
有明海再生をライフワークとする熱血漁師.

目次

口 絵
はじめに [田中 克・川合真一郎・谷口順彦・坂田泰造]

序 章 [田中 克]
1 わが国の食料自給に果たす水産業の役割
2 沿岸漁業再生の今日的意義
3 沿岸漁業再生を藻場の再生から考える
4 沿岸漁業再生は地球的諸課題の同時的解決に貢献する
5 海から拓く食料自給

第1章 漁業危機の克服から再生へ向けて
序 [谷口順彦]
第1節 日本と世界の漁業の現状と再生への道 [中前 明]
1 わが国水産業の変遷
2 水産業の抱える問題と施策の方向
3 今後の水産業の再生に向けて
4 むすび
第2節 混迷するまぐろ類資源管理からの脱却に向けて [魚住雄二]
1 まぐろ漁業の変遷と管理の現状
2 クロマグロ資源とその管理の現状
3 最後に
第3節 貴重なタンパク源としての鯨との共存 [諸貫秀樹・森下丈二]
1 鯨類の利用と捕鯨の現状
2 鯨類利用の歴史
3 鯨類資源の状況
4 漁業との競合
5 商業捕鯨モラトリアムの歴史およびIWCの機能不全状態
6 IWCの正常化プロセスとその将来展望
7 食料自給とクジラ

コラム1 ノルウェーの水産事情諸々 [上坂裕子]
コラム2 韓国水産業の現状と将来性 [郭 又]
コラム3 クロマグロ人工種苗の大量生産技術開発:クロマグロ資源を守るために [田中庸介]
コラム4 イカ類資源の開発と可能性 [宮原一隆]

第2章 食料問題の解決に貢献する増養殖漁業
序 [谷口順彦]
第1節 増養殖漁業の現状と展開 [青海忠久]
1 世界の食料供給
2 日本の食料供給
3 養殖業の現状
4 今後の水産養殖業を規定する要因
5 未来を見据えた水産養殖の展望
第2節 栽培漁業の新たな展開 [輿石裕一]
1 栽培漁業とは
2 高まる栽培漁業への期待
3 現状と課題
4 事例に見る種苗放流の成果と問題点
5 栽培漁業の新たな展開
第3節 人工種苗生産が天然ウナギの絶滅を救う [田中秀樹]
1 ウナギの生活史
2 ウナギ資源減少の要因と絶滅の危機
3 人工孵化研究の歴史
4 催熟・採卵・仔魚飼育技術の現状
5 人工種苗生産は天然ウナギの絶滅を救えるのか?
第4節 遺伝的多様性保全に配慮した水産育種のあり方 [谷口順彦]
1 生物多様性条約と野生の保全
2 水族遺伝・育種の世界の動向に学ぶ
3 栽培漁業において配慮すべき遺伝的多様性保全の問題
4 種苗放流において必要な遺伝学的基本情報
5 野生集団の遺伝的多様性評価事例
6 集団構造から遺伝的管理単位の解明
第5節 内湾における環境調和型増養殖への提案 [谷口道子]
1 内湾の環境と高い基礎生産力
2 内湾における漁場浄化の試み
3 一石二鳥の生物浄化
4 水産漁獲物による窒素回収
5 美しく魅力ある内湾,次世代へ豊かな環境と漁場を

コラム5 希少種ホシガレイの栽培漁業と展望 [和田敏裕]
コラム6 餌があればいいじゃん:東京湾で逞しく育つ放流ヒラメ [中村良成]
コラム7 東京湾の放流ヒラメが教えてくれたこと [中村良成]

特別寄稿1 水産行政から見た栽培漁業の評価と今後の課題 [成子隆英]
 栽培漁業の歴史
 栽培漁業の効果
 栽培漁業の問題点や課題
 栽培漁業の将来

第3章 漁業生産の基礎となる低次生産と海洋環境
序 [坂田泰造]
第1節 沿岸漁業再生のカギを握る基礎生産 [吉川 毅]
1 はじめに
2 海洋環境の特徴
3 海洋環境におけるプランクトンの役割
4 地球規模での基礎生産
5 沿岸海域での基礎生産
6 おわりに
第2節 仔稚魚を育む“海の米粒”カイアシ類 [上田拓史]
1 仔稚魚の主食はカイアシ類
2 Hjortの田ritical period秤シ説とカイアシ類
3 仔魚の減耗とカイアシ類の減耗
4 カイアシ類の体サイズ
5 カイアシ類の対捕食者戦略
第3節 対馬暖流と生物の輸送・分布 [加藤 修]
1 はじめに
2 対馬暖流の成り立ちおよび流路
3 生物の輸送・分布に果たす対馬暖流の役割
4 おわりに
第4節 海の中の森の再生 [吉田吾郎・八谷光介]
1 瀬戸内海における藻場の消失と再生
2 磯焼け研究の現状と課題:九州西岸域を中心に

コラム8 春を告げる魚〜サワラ(鰆) [小路 淳]
コラム9 県のさかな「イセエビ」の研究に奮闘 [松田浩一]

第4章 海や湖を取り巻く環境問題の深刻化と再生への道
序 [坂田泰造]
第1節 有害藻類ブルームの発生メカニズムと解決への道 [山口峰生・長崎慶三]
1 有害藻類ブルームの現状と発生メカニズム
2 HAB対策の現状と課題
3 まとめ
第2節 干潟の水質浄化機能とその再生 [鈴木輝明]
1 干潟域の浄化機能とは
2 水質浄化機能の評価手法と測定例
3 底生生態系の構造変化に伴う水質浄化機能の変化
4 赤潮発生時の干潟域の浄化機能
5 水質浄化機能の大きさ比較
6 干潟域の喪失は内湾をどう変えたか?
7 内湾環境修復の方針と課題
8 今後の課題
第3節 外来魚問題と内水面漁業 [細谷和海]
1 はじめに
2 淡水魚を取り巻く環境
3 外来魚とは
4 外来魚が与える影響
5 ブラックバスによる影響
6 生物多様性保全と内水面漁業
7 内水面漁場から親水空間へ
第4節 現代の公害問題:京都府舞鶴湾の一部地域における鉛汚染 [山本義和・江口さやか]
1 まえがき
2 調査の概要
3 まとめ

コラム10 キューバに移入された外来魚ナマズ [山岡耕作]
コラム11 水産におけるネガティブインパクト(1)地球環境問題 [坂田泰造]
コラム12 水産におけるネガティブインパクト(2)水産増養殖と魚病 [坂田泰造]

第5章 海の生き物たちの知られざる秘密を探る
序 [川合真一郎]
第1節 新しい魅力的な科学への挑戦:バイオロギング研究が拓く新たな水棲生物の世界   [宮崎信之]
1 はじめに
2 研究の背景
3 機器の開発
4 研究のトピックス
5 今後の課題
6 おわりに
第2節 ヒラメ・カレイ類誕生の謎に迫る [鈴木 徹]
1 はじめに
2 ヒラメ・カレイ類の誕生
3 左右非対称性の個体発生
4 左右非対称性を作り出すNodal経路
5 Nodal経路による眼位のコントロール
第3節 魚類の多様性を探る:分子系統学からの挑戦 [西田 睦]
1 はじめに
2 進化的探究の基礎=系統枠
3 系統関係はどのようにして知ることができるか
4 魚類多様性の進化的由来を探る
5 今後の研究の展望
6 まとめにかえて

コラム13 クロマグロの渡洋回遊 [北川貴士]
コラム14 海に入ったカメ [松沢慶将]
コラム15 魚の目から観たクラゲ [益田玲爾]

第6章 日本の食文化の復活と食の安全性の保障
序 [川合真一郎]
第1節 水産発酵食品にみる先人の知恵とその継承 [藤井建夫]
1 貯蔵から生まれた水産発酵食品
2 発酵と腐敗は同じ現象
3 くさや
4 塩辛
5 魚醤油
6 ふなずし
7 魚の糠漬け
8 失われつつある伝統食品
第2節 日本発 海藻発酵産業の創出 [内田基晴]
1 海の新しい発酵分野を拓く
2 海には未開拓の発酵パワーが眠っている
3 海で発酵が盛んにならなかった理由
4 初めの一歩,世界初の海藻の発酵技術
5 海藻の細胞化に着目してエサとして利用する試み
6 海藻発酵素材を食品として利用する試み
7 海藻を発酵させる技術を拓く
第3節 水産物の自給を阻害する社会経済的諸要因 [鷲尾圭司]
1 はじめに
2 筆者の経験と視点
3 水産物の自給率低下について
4 流通面から見た自給の阻害要因
5 安定供給が生む廃棄食材
6 食生活面での意識変化
7 安全と安心の違い
8 「地産地消」の落とし穴
9 町中の魚屋さんが減った
10 まとめ
第4節 水産エコラベル:その役割と影響 [田村典江]
1 水産エコラベルとは何か
2 水産エコラベルの誕生から拡大
3 養殖漁業における展開
4 今後の日本の水産学・水産業と水産エコラベル

コラム16 イカナゴが地球温暖化を警告する? [日下部敬之]
コラム17 水族館で南極の生き物を飼う [松田 乾]

第7章 再生のカギを握る新たな統合学問の展開
序 [田中 克]
第1節 黒潮流域圏総合科学の展開 [深見公雄]
1 はじめに
2 黒潮流域圏総合科学とは何か
3 黒潮圏海洋科学研究科の立ち上げと黒潮流域圏総合科学の実施体制
4 黒潮流域圏総合科学の具体的研究内容
5 「“黒潮の恵み”を科学する」ことの意義
6 学際的研究の必要性
7 最後に
第2節 沿岸漁業再生と森里海連環学 [田中 克]
1 はじめに
2 わが国の食料自給の今日的意味
3 海から拓く食料自給への道
4 琵琶湖に見る漁業の衰退と再生への道
5 有明海に見る漁業の衰退と再生への道
6 森里海連環の再生に基づく沿岸漁業の振興
7 沿岸漁業再生への道
8 食料問題と環境問題の同時的解決
9 21世紀型の統合学問:森里海連環学の展開
10おわりに
第3節 カキ養殖漁師が切望する森から海までの一体科学 [畠山重篤]
1 はじめに
2 長良川河口堰建設反対運動の教訓
3 縦割行政と縦割学問
4 山に翻った大漁旗
5 鉄の科学が水産を救う

コラム18 うざねはかせ [畠山重篤]
コラム19 伊豆の海に潜り続けて [御宿昭彦]

特別寄稿2 有明海の再生に挑む [浜辺誠司]
 100分の1のアサリ
 汽水域は魚のゆりかご
 水の会結成
 活動森編
 活動海編
 人が動けば環境は変わる

終 章 [川合真一郎]

あとがき [遠藤金次]
参照文献・参照ウェブサイト
用語解説
索 引
編者紹介・執筆者紹介
このページの先頭へ