総説 宇宙天気

柴田一成・上出洋介 編著

菊上製・686頁・税込 6,480円
ISBN: 9784876985548
発行年月: 2011/05
在庫あり

書評

『地球電磁気・地球惑星圏学会 会報』第209号(2011.10.15)、10-11頁、評者:西田篤弘氏
『日経サイエンス』'12年1月号、123頁「新刊GUIDE」

内容

地球周辺の宇宙環境に生じる電磁気・プラズマ擾乱と呼ばれる激しい嵐は,人工衛星,宇宙通信,地上電力系などに深刻な障害をもたらし,宇宙飛行士や航空機の乗客・乗務員の健康にも影響を与える.気象衛星や通信衛星などを守り,過酷な宇宙に人類が進出していくためには,これらの嵐の正確な予報,すなわち宇宙天気予報が不可欠である.

目次

口絵
はじめに

第1章 宇宙天気被害と宇宙天気予報
 1.はじめに
 2.宇宙環境の概観
 3.宇宙天気被害
 4.宇宙天気予報センター
 5.むすび

第I部 宇宙天気と太陽

第2章 太陽内部構造 日震学からの理解
 1.太陽振動と日震学
 2.太陽の内部構造
 3.中心核と核融合反応
 4.対流層
 5.太陽の差動回転
 6. 局所的日震学
 7. 子午面還流
第3章 太陽大気と彩層・コロナの加熱
 1.太陽大気の概観
 2.彩層
 3.遷移層
 4.コロナ
 5.彩層・コロナの加熱
第4章 黒点と太陽活動周期
 1.はじめに
 2.黒点の基本的な性質(大局的構造)
 3.黒点内の微細構造とダイナミックス
 4.黒点の3次元構造
 5.黒点の形成と消滅
 6.太陽活動周期(11年サイクル)
 7.黒点に関する主要問題
第5章 太陽フレアとコロナ質量放出
 1.フレアとは何か
 2.フィラメント(プロミネンス)噴出
 3.コロナ質量放出(CME)
 4.フレア衝撃波
 5.フレアにおけるエネルギー解放領域(磁気リコネクション領域)の構造
 6.彩層蒸発
 7.巨大アーケード
 8.マイクロフレアとジェット
 9.フレアの統一モデル
SP1 コロナ質量放出(CME)の統計的性質
 1.はじめに
 2.CME観測
 3.CMEの統計的性質
 4.CMEと宇宙天気
 5.まとめと議論
第6章 太陽フレアと粒子加速
 1.太陽フレアにおける電磁放射
 2.磁気リコネクション
 3.スローショック
 4.アウトフローによる加熱と粒子加速
 5.粒子加速の観測的証拠
 6.太陽の粒子加速理論が満たさねばならない観測的制約
 7.電場による粒子加速
 8.加速粒子のスペクトル
 9.粒子加速のインジェクション問題 10.電場により加速された電子のエネルギースペクトル
 11.ループ上空の硬X線源の発見
 12.フェルミ粒子加速
 13.斜め衝撃波による粒子加速
 14.おわりに
SP2 太陽高エネルギー粒子
第7章 太陽風
 1.太陽風とは
 2.太陽風吹き出しのメカニズム—パーカーモデル
 3.太陽風の加速機構と加熱機構
 4.太陽風吹き出しのメカニズム—パーカー以後
 5.急加速の実態は?
 6.太陽風速度を決めるコロナの物理量
 7.低速太陽風
 8.残る謎
SP3 太陽圏と探査機ヴォイジャー
 1.はじめに
 2.宇宙線異常成分と終端衝撃波
 3.ヴォイジャー1号による終端衝撃波の観測
 4.ヴォイジャー2号による終端衝撃波の観測
 5.太陽圏物理の新展開と宇宙天気予報の基礎研究

第II部 宇宙天気と地球

第8章 磁気嵐Geomagnetic Storms
 1.はじめに
 2.磁気嵐とは
 3.磁気嵐研究と電磁気学の発展
 4.磁気嵐とサブストームの関係
 5.太陽活動依存性
 6.最近のトピックスから
 7.おわりに
第9章 放射線帯
 1.はじめに
 2.プロトン/イオン放射線帯
 3.電子放射線帯
 4.電子放射線帯の輸送・加速・消失過程
 5.まとめと今後の展望
第10章 磁気圏構造とオーロラ
 1.地球磁気圏の構造
 2.磁気圏プラズマダイナミクス
 3.磁力線に垂直方向の電流の駆動
 4.沿磁力線電流の駆動
 5.磁気圏電離圏結合の粒子的描像
 6.サブストーム
 7.サブストーム開始メカニズムに関する議論
第11章 地球磁気圏からの電磁放射
 1.はじめに
 2.基礎方程式
 3.宇宙プラズマ波動の固有モード
 4.波動粒子相互作用
 5.静電孤立波
 6.ホイッスラーモード・コーラス放射
 7.コーラスによる粒子加速機構
 8.結び
第12章 電離圏プラズマの生成と散逸
 1.太陽放射による熱圏大気の電離
 2.光化学過程
 3.電離圏プラズマの力学
 4.電離圏の熱構造
 5.電離圏電流
 6.電離圏と熱圏での宇宙天気現象(電離圏嵐と熱圏嵐)
 7.熱圏電離圏結合
 8.磁気圏対流とプラズマ圏の生成
 9.極風
 10.宇宙天気現象としての熱圏電離圏と宇宙天気予報
第13章 太陽活動変動の地球気候への影響
 1.地球の気候に関する基礎知識
 2.地球気候に影響する太陽活動の変動
 3.太陽活動変動と気候変動との相関
 4.気候モデルを用いた数値実験

第III部 宇宙天気予報へのアプローチ

第14章 宇宙天気予報の現状
 1.はじめに
 2.宇宙天気予報の実際
 3.予報を支える宇宙天気観測
 4.予報業務のための宇宙天気モデリング
 5.現状の宇宙天気予報
 6.宇宙天気予報の将来
第15章 銀河宇宙線観測による宇宙天気リモート・センシング
 1.宇宙線強度の地上観測とミューオン計ネットワーク
 2.銀河宇宙線の太陽圏内輸送方程式と異方性
 3.銀河宇宙線観測による宇宙天気リモート・センシング
 4.これまでの観測結果
 5.おわりに
第16章 宇宙天気のモデリング
 1.宇宙天気モデルの役割と基本構造
 2.太陽面爆発モデル
 3.惑星間空間モデル
 4.ジオスペースモデル
 5.展望

第IV部 宇宙天気の物理を理解するために

第17章 宇宙天気予報の基礎過程:磁気リコネクション
 1.ティアリング・モード(Tearing Mode)
 2.定常リコネクション
 3.爆発的リコネクションの条件
 4.最後に
第18章 太陽ダイナモ機構
 1.ダイナモ機構とは
 2.太陽磁場の観測的事実
 3.太陽ダイナモの定性的理解
 4.ダイナモ理論の基礎
 5.最近のダイナモ研究
第19章 太陽圏の衝撃波
 1.太陽圏衝撃波概観
 2.興味ある衝撃波関連現象
 3.結びにかえて

あとがき
用語解説
索  引

プロフィール

(執筆順,*は編者)
小原隆博 宇宙航空研究開発機構・研究開発本部・宇宙環境グループ長
関井 隆 国立天文台・ひので科学プロジェクト・准教授
桜井 隆 国立天文台・太陽天体プラズマ研究部・教授,副台長
一本 潔 京都大学・大学院理学研究科附属天文台・教授
*柴田一成 京都大学・大学院理学研究科附属天文台・教授,台長
八代誠司 The Catholic University of America, Post Doc Researcher
常田佐久 国立天文台・ひので科学プロジェクト・教授,室長
片岡龍峰 東京工業大学・理学研究流動機構・特任助教
小島正宜 名古屋大学・名誉教授(太陽地球環境研究所)
岡 光夫 Space Sciences Laboratory, University of California Berkeley, Assistant Research Physicist
*上出洋介 名古屋大学・名誉教授(太陽地球環境研究所)
三好由純 名古屋大学・太陽地球環境研究所・助教
塩川和夫 名古屋大学・太陽地球環境研究所・教授
大村善治 京都大学・生存圏研究所・教授
渡部重十 北海道大学・大学院理学院宇宙理学専攻・教授
余田成男 京都大学・大学院理学研究科地球惑星科学専攻・教授
長妻 努 情報通信研究機構・電磁波計測研究所宇宙環境インフォマティクス研究室・研究マネージャー:
宗像一起 信州大学・理学部・教授
草野完也 名古屋大学・太陽地球環境研究所・教授
星野真弘 東京大学・大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻・教授
磯部洋明 京都大学・宇宙総合学研究ユニット・特定講師
寺沢敏夫 東京大学・宇宙線研究所・教授