林忠四郎の全仕事
宇宙の物理学

佐藤 文隆 編

菊上製・816頁・税込 15,120円
ISBN: 9784876984978
発行年月: 2014/05
在庫あり

書評

『読売新聞』2014.8.31朝刊「本よみうり堂」、評者:須藤 靖氏

内容

恒星の進化や初期宇宙における元素の起源の研究で知られ、「ハヤシ・フェイズ」にその名を残す林忠四郎。林自身が晩年に残した自叙伝は、20世紀半ば以降の理論物理学の発展の経緯を、社会的文脈も含め、生き生きと伝える。また和文の論考や貴重な講演・対談・インタヴューの記録、門下生達による寄稿集等を通じて、林忠四郎の研究と教育の全仕事を伝える。

目次

はしがき

Ⅰ 林 忠四郎の自叙伝 長い人生と宇宙研究の回顧
  §1.はじめに
  §2.幼少の時代(1920~1926)
  §3.小学生の時代(1927~1933)
  §4.中学生の時代(1933~1937)
  §5.三高生の時代(1937~1940)
  §6.東大生の時代(1940~1942)
  §7.海軍技術士官(1942~1945)
  §8.湯川研究室(副手,助手)(1946~1949)
  §9.大阪府立大学助教授(1949~1954)
  §10.京都大学物理学教室助教授(1954~1957)
  §11.京大原子核理学教室教授I(1957~1959)
  §12.NASAへの出張(1959~1960)
  §13.京大原子核理学教室教授Ⅱ(1960~1964)
  §14.京大物理学第二教室教授I(1964~1970)
  §15.京大物理学第二教室教授Ⅱ(1970~1975)
  §16.京大物理学第二教室教授Ⅲ(1975~1980)
  §17.京大物理学第二教室教授IV(1980~1984)
  §18.定年退職後I(1984~1990)
  §19.定年退職後Ⅱ(1990~2000)
  §20.定年退職後Ⅲ(2000~)
  §21.おわりに
  自叙伝付録

Ⅱ 林先生による解説など
  1.星と原子核(1949年)
  2.星のエネルギー(1949年)
  3.元素の起源(1952年)
  4.元素の起源(1957年)
  5.星の進化と元素の起源(1963年)
  6.元素の起源(1966年)
  7.最近の宇宙論(1966年)
  8.太陽の進化(1967年)
  9.星の進化(1968年)
  10.核反応と恒星の進化に関する研究(1971年)
  11.太陽系形成の理論(1972年)
  12.宇宙における物質―物質の存在形態の概観(1975年)
  13.太陽系の起源―ガスと粒子の系の非可逆過程(1977年)
  14.湯川博士の思い出(1981年)
  15.宇宙の進化―むすびにかえて(1983年)
  16.星と銀河の形成―宇宙のOver-all EvolutionとNon-Spherical Objectsの形成・進化(1984年)

Ⅲ 林先生の対談,講演記録,インタビューなど
  1.座談会 統一的自然像とは何か(1970年)
  2.星の進化をめぐる研究遍歴―林忠四郎教授,大いに語る(1980年)
  3.私と宇宙物理学―研究の動機,方法,輪郭(1995年)
  4.宇宙物理学事始(2005年)
  5.林忠四郎先生インタビュー(Ⅰ)(2008年)
  6.林忠四郎先生インタビュー(Ⅱ)(2008年)
  7.林忠四郎氏インタビュー記録(2008年)

Ⅳ 語られた林先生
  1.自然の進化と学問の進化(1968年) 早川幸男
  2.星の進化(1970年) 蓬茨霊運
  3.宇宙におけるヘリウム形成(1970年) 佐藤文隆
  4.林さんの横顔(1970年) 早川幸男
  5.林忠四郎先生の研究(1983年) 杉本大一郎,佐藤文隆,中野武宣
  6.退官記念会記録(1985年)林先生の業績について 長谷川博一など
  7.林先生と恒星進化論(1987年) 杉本大一郎
  8.林忠四郎先生と星の誕生の研究(1987年) 中野武宣
  9.簡単な星の話―林先生との研究(1987年) 佐藤文隆
  10.天体物理理論―京大天体核研究室の足跡から(1996年) 佐藤文隆
  11.林研究室の気風と宇宙物理学(2005年) 佐々木節
  12.共同利用研の発明と宇宙物理,プラズマの揺籃期(2006年) 佐藤文隆
  13.Biography of Professor Hayashi(2012年) Humitaka SATO

Ⅴ 追悼の林先生
  1.『日本物理学会誌』追悼記事 林忠四郎先生を偲んで 佐藤文隆
  2.『天文月報』林忠四郎先生追悼特集
    林先生のご経歴と研究・教育スタイル 松田卓也
    林忠四郎先生と星の進化論 杉本大一郎
    1950年p/n 論文 佐藤文隆
    ハヤシフェイズと林忠四郎先生の思い出 中野武宣
    林先生とニュートリノ宇宙物理学 伊藤直紀
    林先生について 原哲也
    全てにオーバーオールな研究スタイル 観山正見
    遠望―1 孫弟子から見た林先生 梅林豊治
    林先生を偲ぶ 小鳥康史
  3.『日本物理学会誌』小特集:林忠四郎先生追悼
    はじめに 佐藤文隆
    星の進化論と林忠四郎先生 杉本大一郎
    林フェイズと星形成の研究と林忠四郎先生 中野武宣
    太陽系形成「京都モデル」の意義 中川義次
    素粒子的宇宙物理学・宇宙論の創始 佐藤勝彦
    林先生と天体核4人組 
    中村卓史・前田恵一・観山正見・佐々木節
  4.『日本惑星科学会誌』特集
    林太陽系の日々:研究室での林先生 中澤清
  5.林先生追悼文集
  6.追悼関係資料

あとがき

プロフィール

林 忠四郎(はやし ちゅうしろう)
1920年,京都市に生まれる。東京帝国大学理学部物理学科卒業。徴兵期を経て戦後は京都帝国大学理学部湯川秀樹研究室にて1949年まで副手,助手をつとめ,ガモフのビッグバン宇宙論における元素形成の理論を訂正して注目される。浪速大学工学部助教授を経て,1954年から1984年まで京都大学理学部にて助教授,教授。恒星の進化,太陽系の起源などの研究により,宇宙物理学の発展に貢献した。京都新聞文化賞(1959年),エディントンメダル(1970年),文化勲章(1986年),京都賞(1995年)など,多数の顕彰を受けた。2010年,89歳でその生涯を閉じた。

編者略歴
佐藤文隆(さとう ふみたか)
1938年生まれ,1960年京都大学理学部卒業,1964年同大学院中退。1974―2001年京都大学教授,基礎物理学研究所長,理学部長を歴任。2001―2014年甲南大学教授。