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経済学の起源

フランス 欲望の経済思想

米田 昇平

A5・上製・350頁

ISBN: 9784876988938

発行年月: 2016/01

  • 本体: 4,200円(税込 4,620円
  • 在庫あり
 
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内容

アダム・スミスに先立つ17世紀、新思潮を背景に、近代社会を「欲求の社会」とみる消費主導の経済学がフランスに出現した。現代にいたる経済至上主義を準備した、欲望の経済学を跡付ける。

受賞

第4回 経済学史学会賞

書評

『図書新聞』2016年7月23日「2016年上半期読書アンケート」、選者:中金聡氏
『経済学史研究』58-2(2017年1月)、92-94頁、評者:御崎加代子氏

プロフィール

米田昇平(よねだ しょうへい)

1952年 兵庫県豊岡市生まれ
1976年 早稲田大学政治経済学部経済学科卒業
1985年 早稲田大学大学院経済学研究科後期課程単位取得退学
2008年 博士(経済学)[京都大学]
現 在 下関市立大学教授

著訳書
『欲求と秩序―18世紀フランス経済学の展開』昭和堂,2005年。
『経済思想3 黎明期の経済学』(共著)日本経済評論社,2005年。
『啓蒙と社会―文明観の変容』(共著)京都大学学術出版会,2011年。
『野蛮と啓蒙―経済思想史からの接近』(共著)京都大学学術出版会,2014年。
『徳・商業・文明社会』(共著)京都大学学術出版会,2015年。
ムロン『商業についての政治的試論』(共訳)京都大学学術出版会,2015年。他

目次

序 章 経済学の起源―フランスのコンテキストとの関連で
第一節 経済学の条件―世俗的倫理と世俗化の論理
第二節 一七世紀フランスの新思潮―アウグスティヌス主義
第三節 功利主義と利益説
第四節 経済学のフランス的起源

第一章 経済学の起源とアウグスティヌス主義―ニコルからボワギルベールへ
はじめに
第一節 ニコル―開明的自己愛と政治的秩序
 (1) ジャンセニスムとニコル
 (2) ニコルにおける人間と社会
 (3) 自己愛の自己抑制と礼節
 (4) 政治的秩序と神慮
第二節 ボワギルベール―欲求と秩序
 (1) ボワギルベールにおける人間と社会
 (2) 富裕の連鎖と消費
 (3) 自然的秩序とレセ・フェール
 (4) 統治論
むすび

第二章 マンデヴィルの逆説―英仏の思想的展開との関連で
はじめに
第一節 マンデヴィルの思想的源泉
 (1) フランスのコンテキスト―アウグスティヌス主義
 (2) イギリスのコンテキスト―バーボンとノース
第二節 マンデヴィル―私悪は公益
 (1) 人間本性―自己愛と欲求
 (2) 欲求の体系
 (3) 美徳―偽装された悪徳
 (4) 消費と倹約
 (5) 奢侈
 (6) 自生的秩序と政治
第三節 『カトーの手紙』とデフォー
むすび

第三章 啓蒙の経済学―アベ・ド・サン=ピエール、ムロン、モンテスキューの商業社会論
はじめに
第一節 アベ・ド・サン=ピエールの商業社会論―啓蒙の功利主義
 (1) 人間本性―快楽と苦痛
 (2) 道徳論―私欲と公共的利益との一致
 (3) 商業
第二節 J・F・ムロンの商業社会論―啓蒙の経済学
 (1) 商業の精神と進歩の観念
 (2) 勤労・産業活動、就労人口
 (3) 奢侈
第三節 モンテスキューの商業社会論―富と名誉
 (1) 商業社会―国民の一般精神と奢侈
 (2) 商業の精神と穏和な商業
 (3) 商業社会と君主政―名誉
 (4) 政治的秩序

第四章 奢侈論争とフランス経済学
はじめに
第一節 奢侈と消費―一七五○年代までの奢侈容認論の系譜
 (1) 奢侈容認論の背景―世俗的倫理の普及
 (2) 奢侈と消費―商業社会の原動力
 (3) 奢侈と消費の多義性
第二節 奢侈と公共的精神
 (1) ブロー・デスランドの奢侈批判
 (2) サン・ランベールの奢侈容認論
第三節 奢侈と節約―農業の再生
 (1) 奢侈批判と農業重視
 (2) 重農主義の奢侈批判
 (3) ピントの奢侈批判―中庸な奢侈と節約
第四節 奢侈と貧困―一七七○年代以降の奢侈論争
 (1) ビュテル・デュモンの奢侈容認論―消費の自由
 (2) ブティーニの奢侈批判
 (3) プリュケの奢侈批判
むすび

終 章 フランス経済学―欲望の経済思想

あとがき
文献目録
索引(人名・事項)
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