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雰囲気と集合心性

小川 侃 編著

A5上製・415頁

ISBN: 9784876984220

発行年月: 2001/04

  • 本体: 4,000円(税込 4,400円
  • 在庫なし
 
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内容

現象学は、フッサールによって基盤が築かれた20世紀を代表する哲学運動である。しかし、この運動は多様な分岐を生み、シュミッツの提唱する「新しい現象学」もそのひとつ。シュミッツは身体現象学の立場から“雰囲気”というキー概念を提示したが、本書では、これに基づき、民族学、法哲学、社会学などに新しい視点からの解析を試みる。

プロフィール

■編者プロフィール
小川 侃(おがわ ただし)
京都大学大学院人間・環境学研究科教授(自然・人間共生基礎論講座/自然・文化構造論)京都大学博士(文学)
1945年 大阪府生まれ 1974年 京都大学大学院文学研究科博士課程修了
1974年 京都産業大学専任講師
1991年 広島大学総合科学部教授を経て現職
主な業績
『現象のロゴス――構造論的現象学の試み』(勁草書房, 1986年)
『現象学と文化人類学――文化の多元論を越えて』(世界書院, 1989年)
『現象学と構造主義――対決と調和』(世界書院, 1990年)
『自由への構造――現象学の視点からのヨーロッパの政治哲学の歴史』(理想社, 1996年)
『新現象学運動』(共編, 世界書院, 1999年)
『風の現象学と雰囲気』(晃陽書房, 2000年)

■執筆者プロフィール
小関彩子(おぜき あやこ)
龍谷大学国際文化学部非常勤講師
1970年 和歌山県生まれ 1994年 お茶の水女子大学文教育学部卒業
1997年 京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了 2001年 京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了, 京都大学博士(人間・環境学)

梶谷真司(かじたに しんじ)
龍谷大学文学部非常勤講師 1966年 名古屋生まれ 1989年 京都大学文学部哲学科宗教学卒業
1994年 京都大学人間・環境学研究科修士課程修了 1997年 京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了, 京都大学博士(人間・環境学)
1998年~2001年 日本学術振興会特別研究員
2000年~ 龍谷大学文学部非常勤講師

野村文宏(のむら ふみひろ) 京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程在学中 1965年 大分県生まれ 1989年 中央大学法学部法律学科卒業
1998年 京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了 1999年~2000年 ハイデルベルク大学留学
1998年~ 京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程在学

松本雅美(まつもと まさみ)
京都大学大学院人間・環境学研究科研修員(自然・人間共生基礎論講座)
1968年 茨城県生まれ 1991年 北海道大学理学部卒業
1993年 東京大学大学院理学系研究科修士課程修了 1995年 京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了 2001年 京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了, 京都大学博士(人間・環境学)

目次

文 (小川 侃)

1 風・雰囲気・身体 (小川 侃) フッサール、ハイデッカー、シュミッツをめぐって
 1-1 雰囲気の現象学
 1-2 風と雰囲気
 1-3 情態性と根本気分
 1-4 不安の構造
 1-5 不安と世界
 1-6 気分と感情
 1-7 感情と雰囲気
 1-8 雰囲気と身体性

2 集合心性と異他性 (梶谷真司) 民俗世界の現象学
 はじめに――集合心性の現象学に向けて
 2-1 雰囲気としての異他性
 2-2 異他性と民話の生成
 2-3 神の異他性と生の共同性
 2-4 自然の異他性と祭儀
 おわりに――現実と虚構のあいだで

3 ベルクソンにおける自我論と自我を超えるもの (小関彩子)
 はじめに
 3-1 自我の二つの様相
 3-2 身体と物質
 3-3 集合心性と行動
 3-4 自我の二つの局面
 3-5 開かれた自我
 おわりに

4 法と共同性 (野村文宏) 現象学の視点から
 はじめに
 4-1 現象学の方法
 4-2 現象学的法哲学
 4-3 現象学と現象学的法哲学  

5 ガリレオの科学の成立基盤としての集合心性 (松本雅美)
 はじめに――ガリレオの科学と集合心性
 5-1 数学的自然学の思想的基盤
 5-2 数学的自然学の社会的基盤
 5-3 「生活世界」からの自然の数学化の解明
 おわりに――自然学への数学的思考の導入と科学技術の結合

6 デュルケームの社会学の基礎 (小川侃)
        現象学の視点からのデュルケーム批判の試み
 はじめに
 6-1 デュルケームの意味での「事実」
 6-2 デュルケームと現象学の方法
 6-3 デュルケーム社会的現象と集合的感情
 6-4 デュルケームにおける隠れた存在論問題
 6-5 デュルケームと地平性の思想
 6-6 デュルケームにおける集合心性と身体的 コミュニケーション
 6-7 集合的沸騰と身体的コミュニケーション
 6-8 集合心性と実存――結びにかえて
 著訳者略歴
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