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身体のフランス文学

ラブレーからプルーストまで

吉田 城

菊上製・402頁

ISBN: 9784876986873

発行年月: 2006/11

  • 本体: 4,500円(税別)
  • 在庫あり
 
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内容

心理から身体へ——。時代のテクストとともに変化する、「身体」へのまなざしとその表現を探る。ラブレーからプルーストにいたる諸作品を、食の諸相、演劇・バレエにおける王、科学・医療的身体と逸脱、魂と肉体、セクシュアリティ、サウンドスケープ、衣装とモード、ポートレイト…などの視点から読み解く、新しいフランス文学史。

書評

『ふらんす』'07年4月号、評者:塚本昌則氏

プロフィール

[編者紹介]

吉田 城(よしだ・じょう)
 1950年生まれ。パリ第4大学博士課程修了(文学博士)。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。元京都大学大学院文学研究科教授。専門はプルーストおよび19-20世紀フランス文学。2005年没。
 主要業績:『「失われた時を求めて」草稿研究』(平凡社、1993年)、『対話と肖像——プルースト青年期の手紙を読む』(青山社、1994年)、『神経症者のいる文学——バルザックからプルーストまで』(名古屋大学出版会、1996年)、『テクストからイメージへ——文学と視覚芸術のあいだ』(編著、京都大学学術出版会、2002年)、『日仏交感の近代——文学、美術、音楽』(共著、京都大学学術出版会、2006年)、『アヴァンギャルドの世紀』(共著、京都大学学術出版会、2001年)ほか。

田口紀子(たぐち・のりこ)
 1953年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。パリ第4大学文学博士。専門はフランス語学、テクスト言語学。
 主要業績:「象徴の場としての『自然』」宇佐美斉編『象徴主義の光と影』(ミネルヴァ書房、1997年)、「ナラトロジー」「幻想」大浦康介編『文学をいかに語るか——方法論とトポス』(新曜社、1996年)、 “Les figures comme espace narratif — l'exemple de Madame Bovary” (Equinoxe, no 17/18, Rinsen, 2000)、「フィクションとしての『夢』の語り--フランス・リアリズム小説を中心に」(『京都大学文学部研究紀要』第40号、2001年)ほか。


[執筆者紹介(執筆順)]

石井洋二郎(いしい・ようじろう)
 1951年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学教養学部助手・京都大学教養部助教授を経て、1987年より東京大学教養学部助教授、1994年同教授。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。
 主要業績:『差異と欲望——ブルデュー『ディスタンクシオン』を読む』(藤原書店、1993年)、『文学の思考——サント=ブーヴからブルデューまで』(東京大学出版会、2000年)、『美の思索——生きられた時空への旅』(新書館、2004年)、『フランスとその〈外部〉』(工藤庸子との共編著、東京大学出版会、2004年)。

宮下志朗(みやした・しろう)
 1947年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。中央大学助教授などを経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専門はフランス・ルネサンス文学、書物の社会史。
 主要業績:著書に『本の都市リヨン』(晶文社、1989年)、『ラブレー周遊記』(東京大学出版会、1997年)、『読書の首都パリ』(みすず書房、1998年)、ラブレー『ガルガンチュア』『パンタグリュエル』(翻訳、ちくま文庫、2005-06年)、モンテーニュ『エセー』(翻訳、白水社、2005年より刊行中)、《ゾラ・セレクション》(責任編集・翻訳、藤原書店、2002年より刊行中)など。

永盛克也(ながもり・かつや)
 1964年生まれ。パリ第4大学博士課程修了。京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。現在、京都大学大学院文学研究科助教授。専攻はフランス古典悲劇、古典主義美学。
 主要業績:『ラシーヌ劇の神話力』(共著、上智大学出版会、2001年)、「ラシーヌとカタルシス」(Equinoxe、臨川書店、1998年)、「ラシーヌ劇の悲劇性」(Etudes de langue et littérature françaises、日本フランス語フランス文学会、1999年)。

秋山伸子(あきやま・のぶこ)
 1966年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。パリ第4大学文学博士。現在青山学院大学文学部フランス文学科助教授。
 主要業績:『モリエール全集』(共同編集・翻訳、全10巻、臨川書店、2000-03年)、« Le triomphe des jeux théâtraux dans les comédies-ballets de Molière » (XVIIe siècle, no 188 (1995), pp. 457-466) ; « Deux comédies-ballets galantes de Molière : La Princesse d'Elide et Les Amants magnifiques » (« Molière et la fête » ; Actes de colloque international de Pézenas, Ville de Pézenas, 2003, pp. 35-49)など。

増田 真(ますだ・まこと)
 1957年生まれ。東京大学教養学部卒、東京大学人文科学研究科博士課程単位取得退学、パリ第4大学博士課程修了。一橋大学社会学部助教授を経て、現在、京都大学文学研究科助教授。
 主要業績:田村毅・塩川徹也編著『フランス文学史』(共著、東京大学出版会、1995年)、朝比奈美知子・横山安由美編著『はじめて学ぶフランス文学史』(共著、ミネルヴァ書房、2002年)、ル・メルシエ・ド・ラ・リヴィエール『幸福な国民またフェリシー人の政体』(翻訳、ユートピア旅行記叢書、岩波書店、2000年)。

水野 尚(みずの・ひさし)
 1955年生まれ。慶応義塾大学文学研究科博士課程単位認定退学。パリ第12大学(クレティユ)文学博士(2002年)。神戸海星女子学院大学文学部講師、助教授を経て、2004年より同大学教授。
 主要業績:『物語の織物——ペローを読む』(彩流社、1997年)、『恋愛の誕生 12世紀フランス文学散歩』(学術選書、京都大学学術出版会、2006年)、Nerval. L'Écriture du voyage, Champion, 2003. Médaillons nervaliens, Nizet, « Études du Romantisme au Japon », t. II, 2003(編著). Quinze Études sur Nerval et le romantisme, Kimé, 2005(編著).

小倉孝誠(おぐら・こうせい)
 1956年生まれ。1987年、パリ第4大学文学博士。1988年、東京大学大学院博士課程中退。現在、慶應義塾大学文学部教授。専門は近代フランスの文学と文化史。
 主要業績:『19世紀フランス 夢と創造』(人文書院、1995年、渋沢・クローデル賞)、『歴史と表象』(新曜社、1997年)、『〈女らしさ〉はどう作られたのか』(法藏館、1999年)、『いま、なぜゾラか』(共著、藤原書店、2002年)、『身体の文化史』(中央公論新社、2006年)など。訳書:フローベール『紋切型辞典』(岩波文庫、2000年)ほか多数。

吉田典子(よしだ・のりこ)
 1953年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。現在、神戸大学国際文化学部教授。専門は19世紀フランス文学・社会文化史・視覚文化論。
 主要業績:「ショーウインドーの中の女たち」(『表現文化研究』第5巻第1号、2005年)、「ゾラ『パリの胃袋』とマネの静物画」(『日仏美術学会会報』第24号、2004年)、ゾラ『ボヌール・デ・ダム百貨店--デパートの誕生』(翻訳、ゾラ・セレクション、藤原書店、2004年)、ウィリアムズ『夢の消費革命』(共訳、工作舎、1996年)、バルザック『金融小説名篇集』(共訳、バルザック「人間喜劇」セレクション、藤原書店)ほか。

森本淳生(もりもと・あつお)
 1970年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程中退。ブレーズ・パスカル=クレルモン第2大学文学博士。京都大学人文科学研究所助手を経て、2005年より一橋大学大学院言語社会研究科助教授。
 主要業績:『小林秀雄の論理──美と戦争』(人文書院、2002年)、『未完のヴァレリー──草稿と解説』(田上竜也と共編訳著、平凡社、2004年)、Paul Valéry. La genèse du sujet et l'Imaginaire. De la psychologie à la poïétique, 2005(博士論文)。

多賀 茂(たが・しげる)
 1957年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。パリ第4大学文学博士。京都大学総合人間学部助教授を経て、2003年より京都大学大学院人間・環境学研究科助教授。
 主要業績:『言葉と〈言葉にならないもの〉の間に』(共著、行路社、1995年)、『病院環境をめぐる思想──フランス精神医学制度の歴史と現状から見えてくるもの』(編著、科学研究費補助報告書、2006年)。

大浦康介(おおうら・やすすけ)
 1951年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。パリ第7大学博士課程修了。京都大学人文科学研究所教授。専門は文学・表象理論。
 主要業績:『文学をいかに語るか──方法論とトポス』(編著、新曜社、1996年)。P.バイヤール『アクロイドを殺したのはだれか』(翻訳、筑摩書房、2001年)など。

目次

序章 フランス文学と身体——「食」の主題系をめぐって[石井洋二郎]
はじめに——「心理」から「身体」へ
1 世界を食べる——ラブレー『ガルガンチュア』
2 腐臭と嘔吐——ゾラ『パリの胃袋』
3 食欲の社会学——モーパッサン『ベラミ』
おわりに

  第1部 アンシャン・レジームにおける世界と身体

時代と展望 1 ルネサンス文学における精神と身体[宮下志朗]
      2 十七世紀文学における身体の意識と表現[永盛克也]
      3 十八世紀の人間論における身体[増田真]

1章 巨人の文化的・政治的身体性をめぐって[宮下志朗]
 1 『ガルガンチュア大年代記』——シードル的身体か?
 2 『大年代記』増補版——シードル、ビールからワインへ
 3 『賞賛すべき年代記』——ワイン的身体の成立
 4 政治的身体としての人体
 5 悪しき情念と正しき理性、そして排泄
 6 黒胆汁とワインというアナロジー
2章 フランス絶対王政と古典悲劇──「王の身体」をめぐって[永盛克也]
 1 悲劇の王/王の悲劇
 2 王の二つの身体
 3 ルイ十四世と悲劇
 4 『ベレニス』──絶対王政の悲劇
3章 宮廷祝祭における王の姿[秋山伸子]
 1 王のイメージ──「太陽王」ルイ十四世
 2 宮廷バレエにおける王のイメージ
 3 『夜のバレエ』におけるルイ十四世のイメージ
 4 『バレエ、ペレウスとテティスの婚礼』にみるルイ十四のイメージ
 5 『待ちきれないバレエ』にみるルイ十四世のイメージ
 6 ヴェルサイユにおける祝祭「魔法の島の悦楽」と宮廷バレエ
 7 モリエールのコメディ=バレエ『町人貴族』
 8 むすび
4章 語る主体としての身体──ディドロにおける身体と自己[増田真]
 はじめに
 1 身体による言葉と身体の言葉
 2 身体と自己
 3 身体の政治学
 むすび

  第2部 ロマン主義からレアリスムへ

時代と展望 4 心身合一の夢——ロマン主義における身体意識とその表象[水野尚]
      5 レアリスム小説と身体[小倉孝誠]

5章 ネルヴァル的「新生」——『オーレリア』における魂と肉体[水野尚]
 1 二つの存在意識
 2 身体意識の残存
 3 二つの病理学的体験
 4 女神と万物照応
 5 時空間を限定する
 6 第二の現実へ
6章 唇・皺・傷──マルドロールの〈身体なき器官〉[石井洋二郎]
 1 唇という傷
 2 額の皺
 3 身体なき器官
 4 「通体」としてのマルドロール
7章 文学と音の風景[小倉孝誠]
 1 文学と感覚
 2 都市空間に響く物音
 3 《雷鳴よりも騒々しく》──産業革命と音の風景
 4 鐘と記憶の誘発
8章 空虚と襞——ゾラ『獲物の分け前』におけるモード・身体・テクスト[吉田典子]
 1 パリ都市改造とモード産業
 2 スペクタクル化する身体とモードの表象機能
 3 テクストに重囲された女、あるいは空虚の悲劇
 4 絹の罪、テクストの毒

  第3部 ベル・エポックの華やぎの陰で

時代と展望 6 異形の現前——二〇世紀前半のフランス文学における身体の変容[森本淳生]

9章 裂開と神秘──『若きパルク』の構造とその身体論[森本淳生]
 1 涙
 2 蛇
 3 分裂の激化と狂乱の死──『若きパルク』の構造(1)
 4 身体の神秘──『若きパルク』の構造(2)
 5 両義的存在
10章 ブーローニュの森のスワン夫人──プルースト的身体のねじれと二重性[吉田城]
 はじめに
 1 ブーローニュの森
 2 スワン夫人の散歩
 3 キアスマ的身体
 4 カルネ二番の断片をめぐって
 5 メアリー・スチュアートとマルセル・プルースト
 6 草稿からタイプ原稿へ──歴史的人物としてのスワン夫人
 おわりに
11章 フィアスコ——プルーストと性的失敗[吉田城]
 はじめに
 1 娼婦の館での失敗
 2 アドリアン・プルーストにおけるティソの影響
 3 スタンダールとフィアスコ
 4 『失われた時を求めて』の買春体験
 5 『ジャン・サントゥイユ』にみられる悪魔的な売春宿
 6 ルソーとモンテーニュ——フィアスコの考察
 むすび


  第4部 時代を超える身体——怪物性・ポートレイト・ポルノグラフィー

12章 逸脱、排除、自由──怪物的身体をめぐる考察[多賀茂]
 1 monstreという言葉
 2 怪物的身体の系譜──十九世紀はじめまでに怪物的身体に与えられたさまざまな意味合いについて
 3 怪物性の転換──十九世紀に起こったこと、そしておそらく私たちが引き継いでいることについて
 おわりに
13章 カタログ的身体から記号的身体へ——小説における登場人物のポルトレをめぐって[田口紀子]
 1 フランス文学での「ポルトレ」の伝統
 2 カタログ的身体とその解体
 3 隠喩としての身体
 4 同時代の換喩としての身体
14章 ポルノグラフィーにおける言葉と身体——リベルタン小説と猥雑語[大浦康介]
 はじめに
 1 「ポルノ大国」フランス
 2 ポルノグラフィーの近代
 3 『娘たちの学校』と『閨房哲学』
 4 性的身体の名指し
 5 悪罵と冒涜
 むすびにかえて

おわりに[田口紀子]
  
  参考文献解題
  人名・作品名索引
  事項索引
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