プリミエ・コレクション 52
沖縄の人とブタ
産業社会における人と動物の民族誌

比嘉 理麻

A5上製・274頁・税込 3,672円
ISBN: 9784876980758
発行年月: 2015/03
在庫あり

書評

『ジャパンフードサイエンス』Vol.54 No.6
『週刊エコノミスト』2015年9月26日号 読書日記、評者:与那原恵氏
『日本農業新聞』2016年1月10日付 読書面 著者インタビュー
『人文学報』第109号(2016年7月)、197-200頁、評者:大石髙典・加賀谷真梨氏

内容

豚肉は沖縄県民に長寿をもたらす食材とのイメージが県外ではひろまっているが、地元ではブタは悪臭や水源汚染の元凶のように見なされ、きちんと対策を取っているにもかかわらず養豚業者への偏見も根強い。ブタを飼うことと消費することをめぐる人びとの両価的な思いを、歴史も踏まえながら、詳細なフィールドワークに基づいて描き出す。

目次

はじめに

第1章 激変する人—ブタの関係と沖縄社会
 1 人間と動物の人類学
   1-1 功利主義と象徴論
   1-2 動物人格論
   1-3 動物のエージェンシー論
 2 産業化以降の沖縄における人とブタの関係を捉える視座
 3 養豚、屠殺、市場——ブタをめぐる人の営みの可視化
 4 本書の構成

第2章 ブタと沖縄
 1 沖縄における人とブタの関係
   1-1 人とブタの沖縄史
   1-2 養豚の現在
 2 沖縄における豚肉食の重要性
   2-1 豚肉食の特徴
   2-2 沖縄イメージと豚肉料理

第3章 ブタをめぐる両義性の生成——養豚場立ち退きとブタへの好意
 1 「ノット・イン・マイ・バックヤード(Not In My Back Yard)」
 2 戦後の養豚復興から産業化への移行
 3 人とブタの分離
   3-1 ブタの遠隔化
   3-2 悪臭の「発見」
 4 「汚いブタの肉を食す」矛盾
   4-1 肉の特権化と豚肉食の連続性
   4-2 尊いブタのイメージ
   4-3 在来種アグーの復興運動

第4章 揺らぐ嫌悪と好意——養豚の現場で
 1 養豚場の概況
   1-1 企業養豚の概況
   1-2 世帯養豚の概況
 2 専業化に伴う豚舎の改変
   2-1 戦前型ブタ便所から戦後型豚舎への移行
   2-2 新式の機能別豚舎の登場
 3 汚いのはブタか人か——人とブタの境界の侵犯と維持
   3-1 養豚場内外にみる人とブタの境界
   3-2 養豚場内における人とブタの境界
 4 ブタのモノ化
   4-1 ブタの飼育作業のマニュアル化
   4-2 ブタのモノ化
 5 ブタの擬人化
   5-1 ブタの名付けと個体識別
   5-2 感情移入とブタの模倣

第5章 脱動物化されるブタ——近代的食肉産業と屠殺の不可視化
 1 屠殺を捉えるまなざし
 2 屠殺場の概況
 3 脱動物化
   3-1 屠殺場における作業工程
   3-2 ブタと肉の空間的な分離
   3-3 脱動物化の工程
 4 格付け検査による商品価値の付与
 5 動物性とは何か?

第6章 消費する現場の嗜好性——伝統と技と眼差しと
 1 小売市場の概況
   1-1 A市場の概況
   1-2 肉屋の概況
   1-3 豚肉食の特徴
 2 流通形態の変化と民俗分類
   2-1 豚肉流通の変化
   2-2 ブタの部位の民俗分類
   2-3 市場の技と民俗分類——身体的感覚の総体としての名付け
 3 ブタ大腸に集中する消費
   3-1 「部分消費」の誕生
   3-2 売り手による大腸の加工
   3-3 大腸の売買にみる買い手の世代差

第7章 考察と結論
 1 産業化以降の沖縄における人とブタの関係
   1-1 ブタへの嫌悪と境界の維持
   1-2 肉への嗜好性とブタの肯定的な表象
 2 課題と展望

あとがき
引用文献
索  引

プロフィール

比嘉理麻(ひが りま)
筑波大学大学院人文社会科学研究科博士課程単位取得退学,博士(国際政治経済学)(筑波大学,2013年).
1978年生まれ.
2012年4月から現在まで日本学術振興会特別研究員PD(京都大学).
専門文化人類学,沖縄研究.
主著「変わりゆく感覚沖縄における養豚の専業化と豚肉市場での売買を通じて」(『文化人類学』79(4),2015年),「産業社会の矛盾を映し出すブタへの嫌悪と好意沖縄の養豚場が『迷惑施設』になる歴史」(『インターカルチュラル』,2011年),「プロセスとしての民俗分類現代沖縄におけるブタ/肉の商品化の時間と空間」(『日本民俗学』265,2011年),『カルチュラル・インターフェースの人類学』(共著,新曜社,2012年)など.