プリミエ・コレクション17
「記憶違い」と心のメカニズム

杉森 絵里子

A5上製・144頁・税込 2,052円
ISBN: 9784876982134
発行年月: 2012/06
在庫あり

内容

外出した先で家の鍵をかけたか不安になる,言った・言わないで家族と大喧嘩……
誰もが日常に経験するこうした「記憶違い」はどのようにして起こるのだろうか? また,私たちは「記憶違い」が引き起こす数々の問題とどう付き合って行けばよいのだろうか? 自己の体験,行動に関わるインプットモニタリング/アウトプットモニタリングのメカニズムにおける[時間判断]に着目した最先端の認知科学実験で,この謎を解き明かす。

目次

まえがき

1章 「記憶違い」の科学
 はじめに
 1-1 ソース判断とそのエラー
   1-1-1 声が似ていると混同しやすい:記憶の質をベースにしたソース判断
   1-1-2 「あの人なら言いそうだ」から生じるエラー:思い込みソース判断
   1-1-3 「誰から聞いた?」は「誰に言った?」より難しい:ターゲット判断と比較したソース判断
   1-1-4 なぜ健康グッズの広告を「もっともらしく」感じるのか?:ソース判断の脆弱性
 1-2 リアリティ判断とそのエラー
   1-2-1 自信がないときは「想像しただけ」:リアリティ判断のエラー傾向
   1-2-2 そこにありそうだから「見た」に違いない:連想が引き起こすリアリティ判断エラー
   1-2-3 何度も想像するうちに現実のような気がしてくる:度重なる想像が引き起こすリアリティ判断エラー
   1-2-4 言葉によって歪められる事実:事後の会話が引き起こすリアリティ判断エラー
 1-3 リアリティ判断と時間判断

2章 「以前に見たはず」-インプットモニタリングとそのエラーのメカニズム
 はじめに
 2-1 一般的なインプットモニタリング研究の実験パラダイム
 2-2 時間判断を組み込んだ新しい実験パラダイム
   2-2-1 【2日連続学習実験】:リアリティ判断と時間判断
   2-2-2 【時間経過と2日連続学習実験】:時間経過がリアリティ判断と時間判断に及ぼす影響
 2-3 時間判断はリアリティ判断に卓越するか?
   2-3-1 【今日どうだったか実験】:事前の経験がインプットモニタリングに及ぼす影響
   2-3-2 【分からなくてもいい実験】:「分からない」という選択肢がインプットモニタリングに及ぼす影響
 2-4 インプットモニタリングエラーと時間判断(まとめ)

3章 「あれ,きちんと済ましたっけ?」-アウトプットモニタリングとそのエラー
 はじめに
 3-1 先行研究の三つの実験パラダイムの問題点
   3-1-1 単語記憶テスト研究の実験パラダイムを利用した研究
   3-1-2 展望的記憶研究の実験パラダイムを利用した研究
   3-1-3 インプットモニタリング研究の実験パラダイムを利用した研究
 3-2 インプットモニタリング研究の実験パラダイムを利用した発話アウトプットモニタリング研究
   3-2-1 【言ったか言ってないか実験】:課題の難易度とアウトプットモニタリングの関係
   3-2-2 【言ったのはあなた? わたし? 実験】:課題の難易度と知覚類似度がアウトプットモニタリングに及ぼす影響
 3-3 独自の実験パラダイムの考案と,明らかになったエラー要因
   3-3-1 【やり忘れ実験】パラダイム
   3-3-2 【集中実行実験】:学習時の反復がアウトプットモニタリングに及ぼす影響
   3-3-3 【うわの空実行実験】:実行時の二次課題がアウトプットモニタリングに及ぼす影響
   3-3-4 【時間経過と集中実行実験】:時間経過がアウトプットモニタリングに及ぼす影響
   3-3-5 【慣れっこ実験】:系列学習がアウトプットモニタリングに及ぼす影響
 3-4 「やったかどうか」が正確に判断できなくなるのはなぜ?-アウトプットモニタリングエラーの原因(まとめ)

4章 「記憶違い」のメカニズム-インプットモニタリングエラー・アウトプットモニタリングエラーのまとめ
 はじめに
 4-1 インプットモニタリングとアウトプットモニタリングの共通点
 4-2 インプットモニタリングとアウトプットモニタリングの相違点
 4-3 これまでの研究との関連

5章 「記憶違い」研究の未来-個人差
 はじめに
 5-1 ポジティブな人とネガティブな人—妄想様傾向の個人差とインプットモニタリング
   5-1-1 【自分への評価実験】:妄想様傾向と記憶の関係
 5-2 聞こえてくる声と心の声の区別が得意な人と苦手な人—幻聴様体験の個人差とインプットモニタリング
   5-2-1 幻聴様体験とDRMパラダイム
 5-3 喋った感覚が強く残る人と残らない人—幻聴様体験の個人差とアウトプットモニタリング
   5-3-1 【変わった声実験】:幻聴様体験傾向と記憶の関係
 5-4 自分の記憶に自信がある人とない人—確認強迫傾向の個人差とアウトプットモニタリング
   5-4-1 確認強迫様体験傾向とアウトプットモニタリングの検討
 5-5 「記憶違い」の個人差についてのまとめ
 5-6 「記憶違い」の未来

参考文献
謝  辞
索  引

プロフィール

杉森 絵里子(すぎもり えりこ)
京都大学教育学部教育科学専攻卒業,同大学院教育学研究科博士課程修了(教育学博士)。専攻は,記憶,ソースモニタリング,フォールスメモリー,幻聴,認知神経科学など。現在,日本学術振興会海外特別研究員として,Yale University Department of Psychologyに所属。