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生物資源から考える 21世紀の農学

食品の創造

安達 修二 編

A5上製・240頁

ISBN: 9784876983407

発行年月: 2008/07

  • 本体: 3,600円(税込 3,960円
  • 在庫あり
 
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内容

医薬品と食品を比べてみよう。薬は苦くても良いが食品はそうはいかない。しかも十分な量を出来るだけ安価に供給しなければならない。大量ゆえに生産や消 費に避けがたく伴う「ゴミ」の問題も考えねばならぬ。あまりに身近でありながら、奥深く難しい……人類の幸福に直結する総合科学としての食品の科学の魅力を余すところ無く伝える。

プロフィール

編者略歴
安達修二(あだち しゅうじ)
 京都大学大学院農学研究科教授
 (農産製造学,食品生物科学専攻)
1951年 兵庫県豊岡市生まれ
1978年 京都大学大学院農学研究科博士課程中途退学
1978年 京都大学工学部助手
1984年 新居浜工業高等専門学校工業化学科助教授
1988年 静岡県立大学食品栄養科学部助教授
1990年 京都大学農学部助教授
2003年より現職

主要論文:
Simulated moving-bed chromatography for continuous separation of two components and its application to bioreactors. J. Chromatogr. A, 658, 271—282 (1994).
Heterogeneity during autoxidation of linoleic acid encapsulated with a polysaccharide. J. Food Eng., 59, 237-243 (2003).
「第3章 回分クロマト」『クロマト分離工学』橋本健治編著,培風館(2005)(分担執筆)
「乳化・分散」,「品質保持と保存安定性」,「粉末化脂質の酸化安定性」,「調味料の浸透」『食品工学ハンドブック』日本食品工学会編,朝倉書店(2006)(分担執筆)

◇執筆者一覧
序 文  安達修二(編者略歴参照)
第1章 米谷 俊(こめたに たかし)
江崎グリコ健康科学研究所(食品工学専攻)
1954年 兵庫県生まれ
第2章 喜瀬光男(きせ みつお)
(株)ファンケル 総合研究所 発芽米特別研究班(実践栄養学専攻)
1970年 沖縄県生まれ
辻 智子(つじ ともこ)
元(株)ファンケル総合研究所長(天然物化学専攻)
1956年 鳥取県生まれ
第3章 平田 孝(ひらた たかし)
京都大学大学院農学研究科教授(応用生物科学専攻,海洋生物生産利用学分野)
1948年 埼玉県生まれ
第4章 中西一弘(なかにし かずひろ)
岡山大学工学部生物機能工学科教授 (生物化学工学,食品化学工学,応用生化学専攻)
1945年 兵庫県生まれ
第5章 白井義人(しらい よしひと)
九州工業大学生命体工学研究科教授(リサイクル工学専攻)
1956年 京都府生まれ
第6章 伏木 亨(ふしき とおる)
京都大学大学院農学研究科教授(栄養化学,食品生物科学専攻)
1953年 京都府生まれ
第7章 大東 肇(おおひがし はじめ)
福井県立大学生物資源学部教授(生命有機化学,食品生物科学専攻)
1944年 京都市生まれ
第8章 山田友紀子(やまだ ゆきこ)
農林水産省大臣官房審議官兼消費・安全局(食品安全学専攻)
大阪府生まれ

目次

序 文

第1章 酵素による新規な糖質の合成と食品への利用(米谷 俊)
はじめに
(1)酵素の多様性と食品への利用
(2)澱粉の構造と糖質関連酵素
1 リン酸化オリゴ糖カルシウムと齲蝕予防
(1)リン酸化オリゴ糖カルシウムの生成
(2)齲蝕の発症
(3)リン酸化オリゴ糖カルシウムの齲蝕予防作用
2 サイクロデキストリン合成酵素による可溶性フラボノイドの生成
(1)フラボノイドの生理活性
(2)酵素による糖転移反応
(3)アルカリ耐性酵素によるアルカリ域でのフラボノイドの糖転移反応
(4)ヘスペリジン配糖体の生理活性とその利用
3 ブランチングエンザイムによる新規なデキストリンの合成とその利用
(1)ブランチングエンザイムによる新規なデキストリンの合成
(2)ブランチングエンザイムの活性増強について
(3)クラスターデキストリンの食品への利用
おわりに

第2章 21世紀の主食をめざして—発芽玄米の技術開発と機能性—(喜瀬光男・辻 智子)
はじめに
(1)食をとりまく環境の変化
(2)食がもたらす疾病構造の変化
1 発芽玄米の栄養成分—白米,玄米との比較
2 発芽玄米の機能性
(1)糖尿病
(2)高血圧
(3)脂質異常症
(4)アレルギー
(5)脳機能
3 発芽玄米の工業生産—生産技術の確立
(1)発芽条件と品質
(2)発芽玄米の乾燥方法
(3)進化するドライタイプ発芽玄米
おわりに

第3章 水産物の色—悪玉色素と善玉色素—(平田 孝)
はじめに
1 生鮮水産物の創造
(1)エビやカニも墨を作る
(2)黒変酵素はヘモシアニン
(3)黒変を促進する多彩な機構
(4)黒変防止の新技術
2 藻類のカロテノイドは多機能
(1)植物はビタミンAを含まない
(2)水圏生物のカロテノイド
3 海苔の色素を活用する
(1)海苔は7色
(2)海苔色素の健康機能
(3)天日干しの海苔を「創る」

第4章 食品製造における汚れと洗浄(中西一弘)
はじめに
1 汚れについて
2 タンパク性汚れの金属表面への付着
3 洗浄
(1)水洗浄
(2)薬剤洗浄
(3)その他の洗浄方法
おわりに

第5章 生ごみからプラスチックと燃料を作る—生ごみは宝だ—(白井義人)
はじめに
1 都市ごみ問題
(1)生ごみについて
(2)北九州市における生ごみの排出状況
2 生ごみの乳酸発酵
3 生ごみ発酵液から乳酸の分離精製
(1)乳酸の分離精製のプロセス
(2)生成乳酸の利用
4 生分解性プラスチックについて
(1)ポリ乳酸
(2)PHA
5 生分解性プラスチックの問題点と将来への展望
(1)生分解性プラスチックの問題点
(2)第Ⅰ期の成果に対する反省
6 ポリ乳酸のケミカルリサイクル
7 ポリ乳酸製カップのイベントでの利用・回収
8 ポリ乳酸の大量生産と生ごみ糖化戦略
(1)生ごみは運べるか?
(2)資源・エネルギー源としての生ごみ
おわりに

第6章 おいしい食品を創る(伏木 亨)
はじめに
1 食品のおいしさの構成要素
(1)おいしさを4つの要素としてとらえる試み
(2)生理的な欲求にもとづくおいしさとは
(3)味覚以外の情報もおいしい
(4)薬理学的おいしさとは
2 油脂に対する嗜好性
(1)油脂は味覚か
(2)脂肪の口腔内化学受容と受容体候補
(3)油脂に対する動物の選択と特異性
(4)動物は油脂に執着する
(5)脂肪への執着の成立には内臓からのエネルギー信号が必要
(6)脂肪のおいしさとは
3 だしのおいしさ
(1)鰹だしに対しても油脂と同様の執着現象が観察される
(2)鰹だしへの執着に関係する要素
(3)鰹だしへの嗜好性における初期経験の寄与
4 食べ物のコク
(1)コクには時間的・空間的な広がりが重要
(2)応答する舌の部位は一様ではない
(3)コクの感覚の三層構造
5 動物と人間の生理的な共通条件に着目した,実験動物によるおいしさの解析
(1)食物や飲料の嗜好性を客観的に評価する系が求められている
(2)ビールの多飲量性を探る
(3)たくさん飲めるビールは存在する
(4)ヒト利尿ホルモン濃度からみた多飲量性
(5)実験動物による解析の可能性
おわりに

第7章 食による生活習慣病の予防(大東 肇)
はじめに
1 発がんプロモーション抑制活性を検索する簡便試験法と有用食材のスクリーニング
2 EBV活性化抑制試験によるがん予防性植物食素材のスクリーニング
3 注目すべきEBV活性化抑制成分と発がん抑制動物実験の成績
4 発がん抑制の作用機序
5 予防成分の代謝・吸収の解析—AURおよびNOBを例として
6 食によるがん予防—現状における問題点と今後の展望
7 がん予防から生活習慣病予防へ
おわりに

第8章 食品安全の考え方とレギュラトリーサイエンス(山田友紀子)
はじめに
1 食品安全の概念
(1)食品が安全であるとはどういうことか
(2)安全と安心の違い
2 食品安全行政の国際的なトレンド
(1)フードチェーンアプローチ
(2)科学に基づく政策
(3)それに対してわが国では?
3 食品安全行政に携わるために必要な基礎知識
4 食品安全にかかわるリスクアナリシス
(1)用語の定義
(2)リスクアナリシスの枠組み
(3)リスクコミュニケーション
5 科学と技術
(1)Science:科学
(2)Technology:技術
6 レギュラトリーサイエンスとは
7 レギュラトリーサイエンスの活用例
8 食品安全行政に必要な科学データと研究
9 食品安全に関して大学に期待すること

索 引
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