プリミエ・コレクション 48
動物の計画能力
「思考」の進化を探る

宮田 裕光

A5上製・208頁・税込 3,456円
ISBN: 9784876983971
発行年月: 2014/03
在庫あり

内容

我々の思考能力はどのように進化してきたのだろうか。この壮大な謎を解く鍵となるのが,ヒトから系統的に遠く脳構造も大きく異なる鳥類の「思考」である。本書では,著者が独自に確立した迷路実験を軸に,鳥類における行動計画能力とその特徴を明らかにする。さらに,ヒトを含む他の動物種での知見も踏まえ,思考の進化史を考察する。

目次

口絵
第1章 動物の思考と計画能力
1―1 動物の思考研究とその歴史
1―2 思考の定義とプランニング
1―3 ヒト以外の動物は計画能力を持つか
1―4 動物の計画能力の実験的研究
1)動物のプランニング(1):現在の欲求を満たすもの
2)動物のプランニング(2):将来の欲求を満たすもの
1―5 本書の研究と構成
 
第2章 回り道:ハトは経路を事前計画するか
2―1 ハトのプランニング能力を研究する方法
2―2 コンピュータ画面上の空間移動と回り道
1)装置とハトの訓練―実験の手続き
2)迷路(回り道)課題―実験の概要と結果
3)ハトのナビゲーションと回り道の計画―考察
2―3 すでに解き方を知っている課題の特定
1) 既知の課題を特定できているか?―課題選択プランニングテスト1
2) 刺激変化の大きさを統制してみると―課題選択プランニングテスト2~3
2―4 ハトの回り道行動とプランニング
1)ハトにおけるナビゲーションと回り道課題の遂行
2)課題遂行開始前のプランニング

第3章 先手読み:ハトの短期的計画と修正能力
3―1 迷路課題を用いた新たなテスト手続き
3―2 十字形迷路によるハトの先手読み
1)参加したハトと十字形迷路課題の訓練
2)先読みのテスト
3)移動の向き,反応時間と先読み―実験結果と考察
3―3 手裏剣形迷路による事前計画
1)手裏剣形迷路の訓練とテスト手続き
2)移動の向き,反応時間と事前計画―実験結果と考察
3―4 ハトの短期的計画能力とその進化

第4章 道順計画:複数地点を訪れるハトの経路選択
4―1 巡回セールスマン問題と動物の道順選択
4―2 2個の目標はどの順で訪れるか
1)参加したハトと実験手続き
2)近い目標を最初に訪れる―実験結果と考察
4―3 3個の目標をいかに効率的に巡回するか
1)実験手続き
2)効率良く目標を巡回する―実験結果と考察
4―4 目標配置に関わらず選ぶ経路は一定か
1)実験手続き
2)巡回経路が変化する―実験結果と考察
4―5 群を形成した目標を最初に訪れるか
1)実験手続き
2)群を最初に訪れる? ―実験結果と考察
4―6 回り道があると経路を変えるか
1)実験手続き
2)遠い目標を最初に訪れるケース―実験結果と考察
4―7 ハトの経路選択とその方略

第5章 鍵開け:キーアの事前計画と生活史
5―1 キーアの生活史と認知能力
5―2 スライド式の事前観察板を用いた課題
1)参加したキーアと実験手続き
2)鍵選択の効率性と探索性―実験結果と考察
5―3 1枚の事前観察板を用いた課題
1)新たな実験装置と手続き
2)適切な鍵を選択する―実験結果と考察
5―4 小さな事前観察板を用いた課題
1)新たな装置と手続き
2)事前観察の効果はあるか? ―実験結果と考察
5―5 2段階の鍵操作を必要とする課題
1)新たな装置と手続き
2)誤りを素早く修正する―実験結果と考察
5―6 キーアの計画能力とそれを規定する要因


第6章 種間比較:幼児の迷路計画と抑制
6―1 ヒト幼児の計画能力と鳥類との比較
6―2 幼児の回り道行動とプランニング
1)参加児と実験手続き
2)近道の経路を選ぶ―実験結果と考察
6―3 十字形迷路による幼児の先読みと抑制
1)参加児と実験手続き
2)先読みと抑制の発達―実験結果と考察
6―4 幼児の迷路計画と種間共通の選択圧

第7章 思考の進化史を考える
7―1 ハト・キーア・幼児のプランニング
7―2 脳の進化と思考の発現
7―3 鳥類の生態とプランニング
7―4 異なる水準の計画とその統合的理解
7―5 プランニングのメタ認知と意識


コラム1 思考は脊椎動物だけのものか?
コラム 2 行動データの解釈
コラム 3 問題解決の遍在性

文献
あとがき
図表出典
索引

プロフィール

宮田 裕光(みやた ひろみつ)
青山学院大学ヒューマン・イノベーション研究センター助教
京都大学文学部人文学科卒業,同大学院文学研究科博士後期課程修了。2009年3月,博士(文学)。日本学術振興会特別研究員,(独)科学技術振興機構ERATO研究員を経て現職。