プリミエ・コレクション5
臨床教育と〈語り〉
二宮尊徳の実践から

中桐 万里子

A5上製・258頁・税込 3,888円
ISBN: 9784876985647
発行年月: 2011/06
在庫あり
正誤表(2011.7.19)PDF

書評

『教育学研究』第79巻第3号(2012年9月)、25-27頁、評者:須田将司氏

内容

教育や子育ては人間相手の営みであり、マニュアルによる固定化した対応は不可能であり、だからこそ、新しい実践知が求められる。農民たちとともに日常の営みを生きた実践家、二宮尊徳をテクストとして選定し、日常生活を再発見するための手がかりとなる「気づき」を生み出す契機を求めて、新しい臨床教育学を提唱する。

目次

はじめに
第1章 臨床教育と二宮尊徳との多層的接点―新しい時代への応答
1 二宮尊徳(研究)への現代的関心
2 近代的思考様式への反省と転回
3 現代的学問の誕生と課題
4 京都大学の臨床教育学―その誕生と変遷
5 なぜ新しい知が必要なのか
第2章 新たな方法へ
1 二つの出会い
2 方法の要件―見立てと実践
3 事例としての二宮尊徳―テクスト研究の位置づけと意義
4 テクストとしての報徳言説
5 出会い方の工夫―新たな方法へ
第3章 尊徳研究の類型化
1 多様なる尊徳像
2 尊徳研究の動向
3 出会い方への着目
4 仕法の実態分析からみた尊徳像
5 思想からみた尊徳像
6 教科書にみる尊徳像
7 海外における尊徳像
8 海外におけるもうひとつの尊徳像
9 精神医学における尊徳像
10 臨床教育学における先行研究
11 出会い方の自覚と工夫―研究の在り方(方法)をめぐって
第4章 『三才報徳金毛録』という〈語り〉
1 『三才報徳金毛録』との出会いへ
2 『金毛録』をめぐるこれまでの研究
3 「一粒丸」としての『金毛録』言説
4 言説形態への着目―図像言説という見立て
5 詩的言説という見立て
6 円環的構造の機能
7 反復の機能
8 農の「業」というモチーフ
9 「工夫」というモチーフ
10 出会いがもたらした意味発見
第5章 『二宮翁夜話』という〈語り〉
1 『二宮翁夜話』との出会いへ
2 語態への着目
3 〈態〉の地平との出会い
4 応答的行為としての限定性
5 「報徳」というモチーフ
6 〈イメージとしての日常〉を描く語態
7 出会いが拓く創造性

おわりに
二宮尊徳『三才報徳金毛録』図版一覧
初出一覧
あとがき
人名索引

プロフィール

中桐万里子(なかぎり まりこ)

京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。
京都大学博士(教育学)。専門は、臨床教育学。
親子をつなぐ学びのスペースリレイト代表、国際二宮尊徳思想学会常務理事、聖和大学専任講師を経て関西学院大学講師。

主な著作
皆藤章編『風景構成法のときと語り』(共著、誠信書房、2004年)、「「言説形態」という研究視角―図像言説あるいは詩的言説としての「語り」」(国際二宮尊徳思想研究会『報徳思想と中国文化』、学苑出版社、2003年)、「二宮尊徳の〈方法〉としてのことば―『三才報徳金毛録』という語り」(教育哲学会、『教育哲学研究』第89号、2004年に所収)