ホーム > 書籍詳細ページ

チャリティとイギリス近代

金澤 周作

A5上製・434頁

ISBN: 9784876987634

発行年月: 2008/12

  • 本体: 5,000円(税込 5,500円
  • 在庫なし

傷みのあるもののみ在庫あしております。ご希望の方はメールでお問い合わせ下さい。

 
  • mixiチェック

内容

国家福祉が主流を占める現在、チャリティはキリスト教の倫理、あるいは前近代的な遺制とみなされがちだ。しかし欧米、とくにイギリスはチャリティ大国としてその活力を保っている。なぜこの国はかくも膨大なエネルギーを注ぐのか。その歴史的前提を求めて、本書は18世紀半ば以来の百年余にわたるチャリティ実践の歴史をはじめて活写し、救貧法史や福祉国家形成史、近代化論や帝国史といった切り口では知りえない福祉社会のもう一つの源を掘り起こす。

受賞

第11回 損保ジャパン記念財団賞
第8回 NPO学会 林雄二郎賞

書評

『みすず』'09年1・2月合併号、31頁、評者:近藤和彦氏
『週刊 読書人』'09年7月31日、第6面「2009年上半期の収穫から」、評者:近藤和彦氏
『ヴィクトリア朝文化研究』no.7 (Nov. 2009)、117−121頁、評者:坂本優一郎氏
『日本NPO学会ニューズレター』Vol.11 No.4.、19頁
『「子ども」の保護・養育と遺棄をめぐる学際的比較史研究』(比較教育社会史研究会)ディスカッション・ペーパーWEB版・第1号、66-68頁、評者:内山由理氏
『法制史研究』59、389-394頁、評者:小室輝久氏
『エコノミクス』第14巻第4号、63-81頁、評者:岡村東洋光氏
『西洋史学』2009 No.236、90-92頁、中野智世氏
『社会経済史学』Vol.75, No.6、82-84頁、高田実氏
『史學雜誌』第119編 第7号、101-110頁、評者:伊東剛史氏
『人間福祉学研究』2010.11 Vol.3 No.1、139-144頁、評者:八木橋慶一氏
『関西西洋史論集』XXXII、49-51頁、評者:鍵谷寛佑氏
『歴史と経済』第210号、66-68頁、評者:岩間俊彦氏
『西洋史論叢』第32号、3-10頁、評者:山中 聡氏
『東京大学宗教学年報』XXIX(2012年)、215-223頁、評者:清水俊毅氏 全文

プロフィール

金澤周作(かなざわ しゅうさく)
1972年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。京都大学博士(文学)。川村学園女子大学文学部准教授を経て,2009年より京都大学大学院文学研究科准教授。主な著作に,「近代英国における難波船略奪—地域共同体と全国社会—」『西洋史学』(第193号,1999年),「チャリティと女性—『レディの天職』再考—」河村貞枝・今井けい編『イギリス近現代女性史研究入門』(青木書店,2006年),「学びを支える社会と力—近代イギリスの教育とチャリティ—」南川高志編『知と学びのヨーロッパ史—人文学・人文主義の歴史的展開—』(ミネルヴァ書房,2007年),「旧き腐敗の諷刺と暴露—19世紀初頭における英国国制の想像/創造—」近藤和彦編『歴史的ヨーロッパの政治社会』(山川出版社,2008年)など。

目次

序章 偽善・不合理・前近代?——博愛活動とイギリス  

第一章 さまざまなチャリティのかたち           
第一節 遺産の半永久的な運用——信託型
(一)慈善信託の起源と議会による調査
(二)『ダイジェスト』の分析
(三)慈善信託への期待
第二節 寄付者の民主主義——結社型     
(一)篤志協会の特色
(二)ロンドンにおける篤志協会の種類と規模の推移—①データの構築—
(三)ロンドンにおける篤志協会の種類と規模の推移—②データの分析—
    (四)ロンドン以外の地域における篤志協会の活動
第三節 貧者の相互扶助を管理下に——友愛組合支援型
第四節 コミュニティの記憶とアイデンティティ——慣習型   
第五節 善意と浪費の相克——個人型            
第六節 チャリティの近代的モザイク

第二章 近代国家とチャリティ
第一節 通史にチャリティを導入する
第二節 誰が誰をどのように救うのか——救貧法の再検討
(一) 小史
(二) チャリティと救貧法—研究史—
(三) チャリティと救貧法—いくつかの事例—
第三節 難破船とイギリス近代——海難救助の歴史     
(一) はじめに
(二) 漂着物の保全
(三) 人の救助
(四) 難破の予防
(五) おわりに
第四節 慈悲深いイギリス——帝国とチャリティ
(一) 相対化の視点
(二) 評価

第三章 慈善社会で生きるということ  
第一節 与える人、受け取る人——階級・ジェンダー・ネイション
(一) 王族
(二) 地域有力者
(三) 富裕層
(四) 女性(与え手)
(五) 受け手
(六) 英国人/イギリス人
(七) おわりに
第二節 日常と空間
(一)年中行事としてのフィランスロピ
(二)共同体の形成          
第三節 チャリティのイデオロギー
(一) はじめに
(二) チャリティの不健全運営
(三) 選別と非選別
(四) 「貧しい」こと
(五) おわりに
第四節 転換と持続——一九世紀後半の「投票チャリティ」論争
(一) はじめに
(二) 投票チャリティの世界
(三) 投票チャリティ批判の経過
(四) 投票チャリティをめぐる議論
(五) おわりに
第五節 チャリティが自然化した社会                   

終章 「チャリティの近代」のゆくえ

あとがき

参考文献
索引
このページの先頭へ